防災の日から熱海市伊豆山地区土石流災害に思うこと
9月1日は防災の日であるが、ここ2年、コロナ感染症の拡大により訓練は中止になっている。
私は、昨年度までの2年間、賀茂地域局長として、災害時の方面本部長の責務も負っていたので、防災訓練の重要性も理解しているつもりである。「訓練でできないことは、本番でもできることではない。」訓練はシナリオがあったとしても、実施することで自衛隊や消防・警察・海保関係者との連携も密になり、お互いの顔が見える関係になることは、非常に重要であった。
去る7月3日午前10時20分ごろ、熱海市伊豆山地区で土石流災害が発生した。
今回は、災害とオープンデータの活用についてお話したいと思う。
7月の熱海伊豆山地区土石流災害では、静岡県が持つ3次元点群データ(オープンデータ)の活用により、被害の原因とされている「盛り土」の存在をかなり早い段階で具体的なボリュームとともに指摘することができた。
それだけに留まらず、そのことにより、早期に確度の高い原因想定ができたことで、2次災害を防ぐ意味でも非常に役に立った。更には、オープンデータの活用により得られた情報は、今後の原因究明における科学的立証にもなり、土地改変等を伴う土地利用への様々な法規制等に大きく影響を与えるものとなるだろう。
静岡県では、土地の表面を点の集まりとして3次元で精緻に表現できる「3次元点群データ」を2017年から全国に先駆けて、オープンデータとして公開している。
オープンデータカタログトップページ図
ドローン動画のオープンデータの活用事例(1)
「時を戻そう!」
7月3日午前10時50分ごろ、交通基盤部の未来まちづくり室の杉本班長は、伊豆山地区の土石流のニュース速報をみて、すぐに親交のある専門家や技術集団をSNS上で集め、産官学の「静岡点群サポートチーム」を結成した。
※杉本班長聞き取り及び7月13日の日本経済新聞の社会面記事を参考
過去の地形変化を分析した結果、被災現場最上部での「盛り土」の存在を突き止めた。また、土砂災害現場の元の姿と災害後の姿を、3次元点群データを使って重ね合わせた結果、土石流として流出した土砂のボリュームを約5万4000立方メートルと推定した。
これらは、すぐに難波副知事に報告され、県の初動対応の支援に役立った。
我々デジタル戦略局も交通基盤部(杉本班長)とともに、週明けすぐに、災害におけるオープンデータの活用が有意義だったことを知事報告した。
ドローン動画のオープンデータを活用した事例(2)
これらは、県の3次元点群データがオープンデータ化されていたことや、官民問わず有志の皆さんの熱い思い、いち早い情報の集約によって、為し得たものである。その中心的な役割を果たした交通基盤部(みらいづくり室)は、災害時の地元建設業者との協定があったといえ、それ以外でも日頃の技術者間における技術向上や新たな技術の導入の点でつながりを大事にしていたことによることが、素早い情報の収集につながったものであり、非常に素晴らしかったと思う。
それと同時に、災害時には的確な情報がいかに重要であるかということも改めて分かった。
私は、デジタル戦略担当部長として、最前線で戦う危機管理部局職員の皆さんを、私たちの業務の中で何の形でもいいので支援できたらと思っている。デジタル戦略局が管理している県のオープンデータが災害時に非常に役に立ったと言うことは、それ以外のデータも県政の様々な場面で活用され役に立つことは、容易に想像される。
デジタル戦略局も様々なデータの一層のオープンデータ化を図り、誰にも簡単に使っていただけるよう今まで以上に検索しやすい環境を整備し、一層の利活用がされるよう努めていく。
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