実践NOTE572 「授業を生徒間の勇気づけの場に」
「授業を生徒間の勇気づけの場に」
静岡県立三島長陵高等学校 教諭 吉川彩加
生徒の自己肯定感を高める

三島長陵高校は、東部の定時制・単位制高校です。在籍生徒の中には、心身の病気や障害、経済を含む家庭の問題、いじめや不適応などの事情を抱える生徒もいます。生徒の自己肯定感を高め、生涯学び続けていくための主体性や、自律・協働のための力を育てることが課題となっています。今回は「勇気づけ」の視点を取り入れた論理国語の授業実践を御紹介します。
教室を「発信し認め合える場」にするために

チャレンジする生徒
学年もクラスも違う、他者との関わりに抵抗のある生徒たち。5月に取り組む「言葉を定義する」授業は、他者と関わることの面白さ、自分の考えが認められることの喜びを感じてもらうことが目的のひとつです。
ちがいをゆたかさに
生徒たちは「社会」「自由」「友達」からひとつお題を選びます。抽象的な概念ばかりですが、イメージマップを使って言語化することで多角的な視点を持つことを意識できました。
イメージマップをもとに文章化したオリジナルの定義を共有しました。同じお題を選んでいるのに逆の発想が見られた例もあり、言語化したことで生徒たちは多様なものの見方を楽しむことができました。
生徒たちは、物事には多様な側面があること、言語化して他者と共有することの価値を学びました。最後に授業のまとめとして、相手の考え方の良かった点・感心した点を言葉で伝え合いました。生徒からは「楽しかった」「またやりたい」という声があがり、「みんなのものの見方・考え方を比べて楽しむ心こそ、この授業の豊かさに繋がるよ」と示しました。


「勇気づけ」を生徒間で
本校で国語の授業をして6年。実感しているのは、すべての子が「考え」を持っているということです。言葉で他者を認める方法を教えることで、このような「考え」の共有の場は生徒間での「勇気づけ」となると私は考えます。自分が他者に認められる経験は、自信に繋がり、他者との学び合いや自己成長を促進するでしょう。
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