実践NOTE548 「ちょっとだけイマージョン」
ちょっとだけイマージョン
静岡県立浜松商業高等学校 教諭 久保田 愛
はじめに
日本語の話者が英語を習得するには2,000時間以上が必要と言われています。しかし、公立学校に通う子どもたちの多くにとって、英語に触れる機会は週に数回の授業のみ、ということが珍しくありません。「実際に英語を使ってみる場面」を学校生活の中で少しでも増やせたらいいなと考えています。
言いたいのに言えない
家庭基礎や体育の授業にALTと参加させていただきました。調理実習では「卵を割る」「さっくり混ぜる」など、英語で伝えたいのに思うように言葉が出てきません。「どうしよう?」と不安げな生徒もいれば、「エッグ、パッカン!」「オープンエッグ!!」など必死に何かを言う生徒もいました。卓球の試合に参加させていただいた場面では、ルールをよくわかっていないALT の誤審が続くも、「間違っています」と言うことができず困っている様子でした。これは、「英語で何と言えばいいのかわからない」以前に、ALT の先生に対して「違うと思う」と意見することに、ためらいがあったためでした。
言えた!伝わった!
ジェスチャーを交えながら「オープンエッグ」と言った先述の生徒に対して、ALTの先生は“Oh, you mean,BREAK AN EGG”と返してくれました。それを聞いて「あー、それそれ!ブレイクエッグ!!」と、興奮気味に返していた生徒の姿はとても印象的でした。「言いたいのに言えない」という経験が、「言えた、伝わった」という喜びにつながっていくことを実感しました。
協力できる学校だからこそ
学校生活の中で英語の使用場面を増やすこれらの工夫は、先生方のご協力があってこそ可能になりました。以前は、授業改善は自分ひとりの力でやらねばならぬことだと思っていました。しかし、今は、学校全体の環境こそが重要だと感じています。
「子どもたちのためになるなら」「それも面白いかもしれない」と、みんなでチャレンジできる本校の環境に感謝し、今後も小さな挑戦を続けていきたいと思います。
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