実践NOTE539 「球技指導の新たな取り組み(チェイスボール) ~運動量の把握だけでない道徳との横断的学習~」
球技指導の新たな取り組み(チェイスボール) ~運動量の把握だけでない道徳との横断的学習~
静岡県教育委員会教育委員 小野澤 宏時
はじめに
ラグビーを目にする機会は増えましたが、プレーするとなると用具の準備やルールの複雑さなど問題がいくつかあります。ルールを少し変更する事でラグビーのゲーム性を体感できるプログラムとなります。今回は、昨年度から三島市立南小学校と静岡市立西奈南小学校で実技講習会を行っている、「タグラグビーを基にした易しいゲーム」を紹介します。
小学校中学年から取り組むことができ、体験した児童からは、「こんなに頭も体も使うことは今までやったことがなかった」といった感想が聞かれました。
チェイスボールとは
鬼遊びからゴール型球技への系統性を持たせた学習教材として【鬼ごっこ(Chase tag)】と【球技(Ball)】を合わせた「チェイスボール」を発案しました。ラグビーを基にしたゲームのため、下記のような利点があります。
- ボールを保持し移動できるためドリブルの獲得が必要ない
- ボールの争奪をタッチで行う事で鬼遊びの延長としてスタートできる
- ボールを繋ぐ事に焦点を当てられ、OFF THE BALLへの考えを深める事で他のゴール型球技にも活用できる
- ボ ールを落とさないで繋ぐためのパスの距離について考えられるようになる
チェイスボールのルール
≪準備≫
- ラグビーボールを使用
- フィールド内に複数のゴールをランダムに配置する ※ケンステップやマーカーなどを色ごとにまとめる
≪攻撃のルール≫
- ボールを持ってフィールド内に設置したゴールを踏むと1点
- 連続して得点を狙うことができる
- 同じ色のゴールを連続して踏んでも得点は加算されない
- ボールを持っている子は守備側2名にタッチされるまで攻撃することができる
≪守備のルール≫
- ボールを持っている子を2名でタッチする、もしくはパスカットすることでボールを奪い返すことができる
他地域での取り組み
(1)世田谷区
文部科学省道徳科教育に係る評価のあり方に関する専門会議副座長である橋本ひろみ先生と共に「道徳との横断的な学習が可能な体育」として研究授業を行いました。道徳の視点での学習カード作成だけでなく、協同問題解決能力について介入前後の変化も調査しました。また全生徒にGPSを装着し授業内での移動距離、速度を客観的に把握する取り組みも行われました。
(2)ミャンマー
全日本空輸株式会社(ANA)が行う教育支援プロジェクトに採用され「仲間と考えながら協力する」をテーマにした授業実践を行いました。現在はミャンマー国内の情勢が不安定なことから中断していますが、みんなで考え解決するための教材として現地の先生たちに採用されています。
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