実践NOTE544 「“教育”と“医療”をつなげているハイブリッドな教員です」
“教育”と“医療”をつなげているハイブリッドな教員です
静岡県立中央特別支援学校 自立活動教諭 青山 香
はじめに
静岡県では、看護師資格を持ち、重症心身障害児の臨床経験を生かして、特別支援学校における医療的ケアをコーディネートする教員を“自立活動教諭”と位置付けています。令和元年度より、県内肢体不自由特別支援学校の5校に6名が順次配属されています。
“教育”と“医療”をつなぐ
児童3名の集団で英語や算数などの教科を指導している教員から相談を受けました。看護師による吸引を年に数回ほど必要とする児童についてです。この児童は、姿勢を工夫したり自分で咳払いをしたりしながら、痰を口の中まで上げてきて口の外へ出すことができるようになり、吸引回数が減ってきました。
「授業中、児童に痰を出しやすい姿勢をとらせたいが、他の児童たちの学習活動が止まってしまう。自立活動教諭の力を貸してもらえないか。」
教員は指導を続け、私が姿勢変換などの支援をすることにしました。児童は自分で痰を上げながら授業を聞くことができ、教員が行う他の児童への指導も途切れません。児童は痰を出しきって車いすに座り、「I’m fine!」と、自分の体調と英語の授業内容とがリンクした答えを笑顔で話していました。児童は自分の身体と向き合い、私たちにどうしてほしいか伝える力も身につき、体調も安定して登校を重ねることができています。
一人ひとり実態に応じた安全な環境設定
教育活動の中で医療的ケアに取り組んでいると、早急に解決するために、関係者の応援を要請して素早く対応することが求められます。例えば、酸素ボンベや吸引器など医療機器のトラブルでは、教員・看護師・養護教諭・自立活動教諭で確認をしています。
子どもの学習の保障と安全なケアの提供のために、医療機器のトラブルや子どもの急変に対応できるよう、実践形式での訓練も積み重ねています。
最後に
私たち自立活動教諭は“教育”と“医療”をつなげているハイブリッドな教員です。今後、看護師資格だけでなく、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の専門資格を持った、新たな自立活動教諭が誕生していきます。特別支援学校において、各専門分野の経験やスキルが求められているからだと気持ちが引き締まります。
まだまだ少数ではありますが、仲間たちと一緒に“教育”と“医療”をつなげていきながら、子どもたちの学びを深めていきます。
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