実践NOTE551 「「授業で人を育てる」を実践するために ~小中9年間の学びをつなげる~」
「授業で人を育てる」を実践するために ~小中9年間の学びをつなげる~
藤枝市立岡部中学校 教諭 瀧口 翠里
はじめに
私は昨年度研修主任を、今年度は研修副主任を務めています。本校は、岡部小学校と朝比奈第一小学校とともに、三校共通の研修テーマを「自ら考え つなげ 深める」とし、9年間で子どもを育てる意識を大切にしながら、校内研修を進めています。
「5つの視点」の周知と意識づけ
第2期藤枝市教育振興基本計画(令和5年3月策定)には、「子どもが主役となって生き生きと自己実現し躍動する授業を実践し、自立的・協働的に学ぶ力を育む授業づくりをしていくこと」という文言とともに、教育理念「授業で人を育てる」を実践するために大切にしたい考え方として、「自己決定」「相手との関わり」「存在感」「人間的なふれあい」「発達の可能性」(以下「5つの視点」)が挙げられています。
この考え方を意識していくために、昨年度の小中合同研修会では、本校が公開する全ての授業案に5つの視点と目指す生徒の姿を載せました。小学校の研修主任からは、「共通の視点をもつことができ、小学校でもどう取り入れるかを考えるきっかけになった」という言葉がありました。
今年度は、5つの視点が書かれた作業シートやプレートを用いて事後研修会を行うことで、授業者の手立てや生徒の姿と5つの視点のつながりを考えられるようにしています。
『教科の学び』と『人としての学び』を両輪とした授業づくり
授業において私が大切にしていることは、思考が深まるような問いの設定、発言と発言のあいだの「間」、自然な相談や相手を意識した発言のために机の形態を「コの字」にすることなどです。これらは小学校の授業づくりから学んだことです。「教科の学び」に強い中学校の特性と、「人としての学び」に強い小学校の特性を両輪とした授業づくりを推進することで、生徒が小学校で培ってきた「共に学び合おうとする姿勢」が中学校での学びに生かされ、資質・能力の育成につながると考えています。
おわりに
発達段階への理解を深め、育成したい生徒の姿を共有していくことは、小中9年間の学びをつなげるために欠かせないことだと感じています。「小中で連携して授業で人を育てる」という意識をさらに高めていけるような研修にするために、今後も検討を重ねていきたいです。
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