実践NOTE540 「生徒が「みずから」言葉に向き合う授業づくり」
生徒が「みずから」言葉に向き合う授業づくり
牧之原市立榛原中学校 教諭 中嶋 淳介
以前、先輩の先生が生徒に次のようにおっしゃっていました。
「どんなことでもみずからやってみる。みずからの手でつくり上げる。それではじめてあなたが伸びるんだよ」
国語でも、「みずから」言葉に向き合える授業ができたら、といつも考えています。うまくいくことばかりではありませんが、私の実践を紹介させていただきます。
「みずから」言葉に向き合うために
授業を生徒が「みずから」言葉に向き合う時間にするために、私は次のことを大切にして授業に取り組みました。
1.「取り組んでみたい」と思えるような単元の課題の設定
2.「身につけたい言葉の力」の意識化
3.自己調整のための対話の場面の設定
これらを意識して行った授業をご紹介します。
「もしも〇〇が和歌のできごとを文章にしたら…」~古文に親しむ~
三大和歌集の和歌を読み味わうことで古文に親しみを覚えたり、当時の人々の生活やものの見方を想像したりすることを目的にした学習では、「もしも〇〇が和歌のできごとを文章にしたら…」という学習活動を設定しました。これは、『もしも文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(2017、神田圭一、菊池良共著、宝島社)という著作をヒントにしています。最初に生徒たちにこの本に出てくる文章のいくつかを提示し、これを三大和歌集の和歌を使ってやってみることを説明しました。生徒たちは古文の表現をよく学び、それぞれの和歌についてどの人物が書いたらその人らしく、面白いものになるかを仲間と話し合い、それをもとに「みずから」意欲的に文章を書くことができました。例えば、「東の野に炎の立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ」という和歌では、朝方太陽と月が同時に出ている様子を、気象予報士が実際にワイドショーで話しているかのような文章を作った生徒がいました。また、「憶良らは今は罷らむ子泣くらむそれその母も我を待つらむそ」という和歌では、家庭生活における親の役割を説く家庭科の先生の話を作った生徒がいました。
「みずから」を目指して
生徒自身が「みずから」言葉と向き合って学ぶ、そういう授業ができて初めて生徒の本当の力になります。しかし、実際にはそういう授業ができることばかりではなく、毎日試行錯誤の連続です。これからもさまざまな先生方、そして何よりも生徒の姿から学び、よりよい授業ができるよう、自分の力を高めていきたいと思います。
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