実践NOTE549 「ひとがずっと ちきゅうがずっと ~エコ活プロジェクト~」
ひとがずっと ちきゅうがずっと ~エコ活プロジェクト~
静岡県立浜松視覚特別支援学校 教諭 池野 夏美
はじめに
SDGsについて初めて学習をしたとき、「僕たちにできることはない。」と話していた6年生の2人が、エコ活プロジェクトを通して「僕たちが変われば、周りの人が変わっていって、世界が続く。」と語るようになりました。2人が中心となって活動した令和5年度の1年間の取り組みについて紹介します。
「僕たちがやらなければならないんだ」
総合的な学習の時間「エコ活」の学習をする中で、学校近隣の企業が、古着を回収して難民支援をする「服のチカラプロジェクト」を行っていることを知りました。社員さんからの勧めと指導を受け、プロジェクトへの参加を決めました。
そこで、難民の置かれている現状についてデータを基に学習を行い、難民の少女の手記も読みました。すると2人は、少女の辛さや悲しみに心を動かされ、「なんとかしたい。」とこのプロジェクトに本気で取り組み始めました。
「この活動を広めるためならば」
多くの人にこの取り組みに協力してほしいと願った2人は、「スペシャルメッセージ」を考えて、全校集会でプレゼンをしました。高等部の生徒から「私の小さい頃の服を持ってくるよ。」と言われ、自分たちの本気の思いが伝わったことを実感していました。
その後、取り組みを知った小学校からプレゼンの出張依頼を受け、居住地域と本校近隣の小学校へ行くことになりました。初めて出会う大勢の人の前で話すことに不安を抱えていた一人の児童も、「2人一緒ならやれる。」と勇気を出し、活動を広げるために力強く協力を訴えました。2人の訴えは小学校の児童らの心を揺さぶり、わずか1週間で1,000着近くもの服が集まりました。また、取り組みが新聞で紹介されると、多くの地域住民の方が服を届けてくださいました。
「僕たちにできることはある」
最終的に、多くの方からの協力を得たことで、3,000着40箱を難民キャンプに向けて発送しました。トラックを見送る2人の表情からは、社会の一員として責任を果たしたことの充実感や、自ら周囲に働きかけたことで協力を得られた喜びが読み取れました。
おわりに
活動の締めくくりには、「これからも人とのつながりを大切にして、新しい活動にも挑戦し続けます。」と力強く宣言した2人です。これからも、彼らが多くの人とつながり、地域の中でよりよく生き、学び続けていけるよう、私たちは地域や家庭と力を合わせて支援していきます。
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