実践NOTE542 「特別支援学級の学級編制基準引下げによる教育効果を期待して」
特別支援学級の学級編制基準引下げによる教育効果を期待して
伊豆の国市立大仁小学校 教諭 前田 朗子
8名1学級を2学級へ
特別支援学級への理解が進み、支援学級は年々増加しています。併せて、障害が多様化し、より個に応じた支援を目指すために、多人数学級における指導は困難を極めるケースが多く見られます。そこで、研究指定校として加配教員を配置し、8 名を2 学級に分け、その教育効果を検証していきました。
学習環境の充実
まず、担任の受け持ちが4学年から2学年に減ったことで、児童が直接担任から受けられる指導時間は国語・算数で平均1.8倍増加し、自習時間が減りました。単学年授業は0時間から11時間に増え、異学年異教科授業が18時間から5時間までに減ったことで、児童・教師共に集中できる授業時間が大幅に確保されました。また、空間が広くなることで、パーソナルスペースを保ちながら、活動に合わせた教室レイアウトが可能になりました。物理的にも心理的にも児童同士の注意や注目行動が減ったことは、障害特性を持ちながらも生活を充実させる一助になったと考えます。
予想をくつがえされた児童アンケート
実際には、8名が1学級として学習や生活をする場面があるため、定期的に児童の意識調査をしていきました。「少人数(2学級)が良い」は18ポイントから21ポイントまで上がり、予想通り始めから高ポイントを獲得しました。しかし、「多人数(1学級)が良い」も12ポイントから20ポイントまで上がり、「多人数は低評価が続く」という私の予想はくつがえされました。これは、少人数学級で学習や生活環境を安定させられたことが好転し多人数でも良好な関係を築いていくことができた、と分析しました。
少人数での成功体験を通常学級へ
自閉症児はコミュニケーションに課題があると言われていますが、友達と上手に関わる体験を通して、人とのつながりをさらに求めていることが分かりました。小集団の生活から始めて、集団登校班や縦割り班、通常学級へと人間関係が広がっていくことが期待されます。出席率96.7%が表すように、何より楽しく学校へ登校できることを願っています。
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