Eジャーナルしずおか第267号(抜粋)令和6年1月発行
富士宮東高校美術部の皆さんに【黒板アート】を制作してもらいました!
黒板アートは、黒板とチョークを画材として描くアート作品です。
富士宮東高校は、黒板・ホワイトボードメーカーが主催する「日学・黒板アート甲子園」において、毎年さまざまな賞を受賞している常連校。今年度の大会においても、「黒板の部 メイン大会」で見事優秀賞を受賞しています。
今回は、池上教育長のメッセージからイメージを膨らませ、黒板アートとして表現していただきました。
作品がどのように出来上がったのか、制作過程や制作した生徒へのインタビューを県教育委員会ホームページに掲載していますので、ぜひご覧ください。
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富士宮東高校美術部の皆さんに黒板アートを制作していただきました!〜黒板アート制作裏話〜
作品の制作過程や制作者へのインタビューはこちらをご覧ください!
池上教育長からのメッセージ
今年度に入り、学校行事や部活動もコロナ禍以前に近い状態まで戻ってきました。学校は学びの場であると同時に人格形成の場でもあることを、改めて強く感じている人も多いのではないでしょうか。
静岡県では皆さんが「有徳の人」として育つことを願っています。その「有徳の人」を形作る柱のひとつに、多様性を尊重し自他を大切にする点があります。学校行事や部活動では、自分と異なる価値観や考え方に触れることがあり、苦しい思いをする場面もあるかもしれません。けれどもそんな時、ただ接触を避けてしまうのではなく、ぜひ人の声に耳を傾けて、それぞれの考え方の根幹に思いを馳せてみましょう。
多様性はやっかいで面倒に思うこともありますが、同じ考え方の人ばかりでは意識できない思わぬ気づきをもたらしてくれます。勇気をもって、自分とは違う価値観や考え方に自らを開いてみましょう。新たな自分に出会えるかもしれません。
静岡県教育委員会 教育長 池上 重弘
実践NOTE531
個別最適な学びを進めるミニ自由進度学習
菊川市立加茂小学校 教諭 増田 有正
自由進度学習の第一歩「学びの手引き」
近年、個別最適な学びの面から自由進度学習が注目されています。今回はその入門編として、小学2年生のかけ算を例にミニ自由進度学習の実践を紹介します。まず、単元の指導計画「学びの手引き」を子どもに配り、単元のゴール(本単元ではオリジナル九九ブック作り)を子どもと共有します。子どもが学習の見通しをもてるようにするためです。手引きには自己評価欄があり、子どもは毎回自分の理解の具合を評価します。これらの手立てが学びを自己調整する力の発揮を促します。
学習スタイルに合わせて学ぶ場を選ぶ
授業では、最初にその回の課題について内容を確認します。次に子どもが、(1)先生と一緒に丁寧に理解をしていきたいか、(2)仲間と対話をしながら解決していきたいかを選びます。(1)の子は、教室前方の席に集まり、少人数指導の形で学んでいきます。(2)の子は、わからないところは、仲間と話し合い、自分で答え合わせをしながら学んでいきます。(2)の子のために、教室にヒントコーナーを設けておきます。これらの手立てが指導の個別化につながります。
興味・関心に合わせて学習活動を選ぶ
課題を解決した子は、「自分学び」の中から自分の興味・関心に合わせて学習活動を選んで取り組みます。本単元では、九九ビンゴや九九アプリなど、発展的な学習を6つ用意しました。これらは一部難しい内容を含むため、同じ課題を選んだ子同士で対話をしながら解決していました。取り組んだ課題は九九ブックに綴じて自分だけの成果物になるようにしました。これらの手立てが学習の個性化につながります。
ミニ自由進度学習の効果
学習後「自分に必要な学びを考えながら学ぶことができましたか」の質問に対し、約9割の子が肯定的回答をしました(うち、強肯定6割)。振り返りでは、「自分で考える力が付いた」「いつもより話し合った」「自分学びが楽しかった」などの記述が目立ちました。加えて、3枚のテストの知識・技能の平均点は90点を超えました。これらのことから、学びを自己調整する力が伸び、学習内容への理解も深まるこの学習法は、個別最適な学びの充実に向けて有効であるといえるでしょう。
実践NOTE531は以上です。
実践NOTE532
『主体的な生活を創造する子』を育てるために
静岡大学教育学部附属幼稚園 教諭 瀬戸尾 和紀
はじめに
本園では、幼児が自ら環境に関わることで主体性が育つと考え、さまざまな豊かな体験ができる環境構成や援助を意識して保育を行っています。
試して、考えて、工夫することを大切にする
園内にはどんぐりやくるみなどのさまざまな実が成ります。秋の実を転がす遊びが始まったため、木片を用意しておきました。すると、それを使ってコースを作り、何度も試しながら工夫していました。繰り返し遊ぶ中で、「こっちの方が軽いから速い!」とクヌギや他の実でも試し、転がる速さが実の形や重さに関係があることに気付き始めました。友達と競い合うことで、“どうすれば勝てるのか”を考え、試行錯誤する意欲も高まっていきました。
子どもたちは興味や関心があることに自分から関わることで、さまざまな発見や驚きがあり、「もっと知りたい」「やってみたい」という意欲に繋がっていました。
ICT機器も環境に取り入れて
各クラスにタブレットとモニターが導入され、子どもたちがタブレットを自由に使えるように保育室に置きました。虫の模様に興味をもった子は撮影して観察したり、映画ごっこをしている子たちは録画して自分たちの動きを見返し、よりよい動き方を考えたりするようになりました。
11月には、金沢大学附属幼稚園の友達とオンライン交流を行いました。モニターに相手の子どもたちの顔が映ったときには、喜びや驚きでいっぱいでした。遠い地域の友達との共通点や違いに興味や関心が高まり交流が広がっていきました。
ICT機器が環境として身近にあることで、より楽しく探求心が育まれ、いろいろな人との関わりを生むなど体験の幅が広がりました。
おわりに
豊かな環境を活かし多様な経験をすることで、幼児の興味や関心が深まり、主体的に遊びや生活を創っていく力が育つことに繋がっていきます。子どもの興味・関心を捉え、その環境を価値づけ意識していくことを今後も行っていきたいと思います。
実践NOTE532は以上です。
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