静岡県教育委員会

“ふじのくに”の未来を担う「有徳の人」づくり

Eジャーナルしずおか第271号(抜粋)令和6年5月発行

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ページID1063331  更新日 2024年5月7日

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シリーズ小中学校における働き方改革最前線

 令和5年度「業務改善『夢』コーディネーター」による学校の働き方改革の取組の中から、ICTを活用し、校務の効率化に取り組んだ「沼津市立長井崎小中一貫学校」の先進的な取組を紹介します。

webアプリケーションを活用した現場の業務改善

webアプリケーションを活用した現場の業務改善

Webアプリケーションで笑顔あふれる学校に

 本校(沼津市立長井崎小中一貫学校)は開校して4年目になります。開校1年目は雑務が非常に多く、休む暇もないほど多忙を極めました。しかしそれは逆に、「この業務は、こうなったら楽になるのになぁ。」というアイデアが多く得られる機会となりました。そのような中で3年という月日を掛けて、日々生まれてくるそのアイデアたちを、Google社が提供しているスプレッドシートやフォーム等(以下、Webアプリケーション)を活用し、少しずつ具現化していきました。今後、先生方と子どもたちが笑顔で接する時間が増え、「働くことが楽しい」「学校が楽しい」とお互いに思える学校が増えていくことを願い、本校で実装している業務改善のためのシステム構築の実践事例を一部紹介します。

図:長井崎小中一貫学校システムネットワークイメージ

月行事予定・週報作成システム ★削減時間:21.5分/日

図:月行事予定・週報作成システム

 日々変更が生じる「年間行事予定」はウェブで管理。いつでもどこでも閲覧が可能なので、全教職員に紙媒体で配付はしていません。紙媒体では最新情報がキャッチできないからです。その月の最新の行事予定を、1-Clickでアクセスして知ることができるのが利点です。また、「年間行事予定」データから最新情報の週報も作成可能。先生方からも「週報の予定が、アップデートされていて助かる」との声が聞かれました。

週時間割作成システム ★削減時間:23.8分/日

図:週時間割作成システム

 「週時間割作成システム」では週を指定して作成ボタンを押せば暫定週時間割が作成されます。そこに「年間行事予定」の行事予定、出張・休暇等の情報が自動で表示されます。教務主任は、その情報を確認しながら授業の入れ替えや調整を行います。その後、作成された週時間割データから、学級単位の時間割や補欠依頼表も作成できるので先生方からも好評です。このシステムで全学級の授業時数も管理しています。

連絡事項掲示板 ★削減時間:20.4分/日

図:連絡事項掲示板

 提案者は事前に「連絡事項掲示板」に必要項目を入力しておきます。1- Clickで開くことができるので一斉に打合せを始めることができます。週に1度の打合せしかないので、各自が目を通せば良い内容は記載内容を読んでもらいます。発言の必要がある先生は「発言」の項目に○を付け、共通理解を図りたいことや補足事項を伝えるようにし、打合せの効率化を図っています。

欠席連絡管理システム ★削減時間:18.6分/日

図:欠席連絡管理システム

 朝、ちょっと早く出勤して仕事しようと思ったのに、保護者からの欠席の電話対応に追われてしまうことってありますよね。本校では、この問題を解消するために欠席連絡をフォームで行っています。保護者はスマートフォン等で欠席のためのアンケート(学級、名前、欠席の種別と理由、体温、症状)を入力。保護者から送信された情報は、この欠席連絡管理システムに全て集約され、全教職員が児童生徒の出欠状況を閲覧できるようになっています。

おわりに

西内うらおくん
長井崎小中一貫学校
マスコットキャラクター
西内うらおくん

 学校の業務にWebアプリケーションを活用することで、先生方から「ストレスなくスムーズに仕事ができるようになった」「確認したいときに、いつでもどこでもすぐに確認できるので、とても便利」といった「業務の効率化」や「働きやすさ」を実感した声が上がっています。その結果、学校での朝や放課後の時間に「ゆとり」が生まれ、子どもの話を笑顔でゆったりと聞いてあげたり、親身になって相談にのったりする時間が増えたのはもちろん、先生方のご家庭でのプライベートな時間も大切にできる職場になってきたと感じています。

実践NOTE540

生徒が「みずから」言葉に向き合う授業づくり

牧之原市立榛原中学校 教諭 中嶋 淳介

写真:生徒の姿から色々なことを感じ、学びたいと考えています
生徒の姿から色々なことを感じ、
学びたいと考えています

 以前、先輩の先生が生徒に次のようにおっしゃっていました。
 「どんなことでもみずからやってみる。みずからの手でつくり上げる。それではじめてあなたが伸びるんだよ」
 国語でも、「みずから」言葉に向き合える授業ができたら、といつも考えています。うまくいくことばかりではありませんが、私の実践を紹介させていただきます。

「みずから」言葉に向き合うために

写真:生徒の「みずから」を引き出したいと考えています
生徒の「みずから」を
引き出したいと考えています

 授業を生徒が「みずから」言葉に向き合う時間にするために、私は次のことを大切にして授業に取り組みました。
1.「取り組んでみたい」と思えるような単元の課題の設定
2.「身につけたい言葉の力」の意識化
3.自己調整のための対話の場面の設定
 これらを意識して行った授業をご紹介します。

「もしも〇〇が和歌のできごとを文章にしたら…」~古文に親しむ~

写真:生徒の作品

 三大和歌集の和歌を読み味わうことで古文に親しみを覚えたり、当時の人々の生活やものの見方を想像したりすることを目的にした学習では、「もしも〇〇が和歌のできごとを文章にしたら…」という学習活動を設定しました。これは、『もしも文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(2017、神田圭一、菊池良共著、宝島社)という著作をヒントにしています。最初に生徒たちにこの本に出てくる文章のいくつかを提示し、これを三大和歌集の和歌を使ってやってみることを説明しました。生徒たちは古
文の表現をよく学び、それぞれの和歌についてどの人物が書いたらその人らしく、面白いものになるかを仲間と話し合い、それをもとに「みずから」意欲的に文章を書くことができました。例えば、「東の野に炎の立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ」という和歌では、朝方太陽と月が同時に出ている様子を、気象予報士が実際にワイドショーで話しているかのような文章を作った生徒がいました。また、「憶良らは今は罷らむ子泣くらむそれその母も我を待つらむそ」という和歌では、家庭生活における親の役割を説く家庭科の先生の話を作った生徒がいました。

「みずから」を目指して

 生徒自身が「みずから」言葉と向き合って学ぶ、そういう授業ができて初めて生徒の本当の力になります。しかし、実際にはそういう授業ができることばかりではなく、毎日試行錯誤の連続です。これからもさまざまな先生方、そして何よりも生徒の姿から学び、よりよい授業ができるよう、自分の力を高めていきたいと思います。


 実践NOTE540は以上です。

実践NOTE541

幼児教育と小学校教育の円滑な接続をするために

松崎町立松崎幼稚園 教諭 植松 純子

 遊びを通して学ぶ幼児期の教育から、教科等の学習を中心とした小学校教育へと移行する中で子どもの発達や学びの連続性を確保するためには、「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」を手掛かりとし、幼稚園と小学校の教職員が保育と教育との共通点や違いを、対話や活動を通して相互理解することが必要であると考えます。

先生大集合!

写真:大集合!
大集合!

 令和5年度から町教育委員会主催で“先生大集合”と称し「知り合う」をテーマに、町内幼・保・小・中・高・特別支援学校を加えた全校種の教職員と地域協力隊の方が一堂に会しました。年3回の集会を通して体験を共にし関わりを深めることで、子どもたちのことを話し共に育てていこうとする土台となりました。

幼保の横のつながり

写真:「僕3番がいい」「いいよ!」
「僕3番がいい」「いいよ!」

 幼保の横のつながりをつくることを目指し、町内私立保育園の5歳児との交流を年4回実施しています。運動会ごっこでは、紅白のチームを意図的に編成し、リレーで走る順番決めを子どもたちに任せてみました。幼保のみんなで意見を出し合い、友達を応援しバトンをつなげたことで協同性が育まれました。

幼保小の縦のつながり

 小学校での交流活動(プール見学・運動会練習見学・弁当交流・マラソン大会見学・体験入学等)を年4~5回程度計画的に行っています。小学校入学を意識し、期待感を高めるようにしました。交流後、幼・保・小の教職員が交流の良かった点や改善点等意見交換し、次年度のよりよい交流につなげるようにしました。また、「交流を通してどのような力がついたのか」「5歳児に育まれる資質・能力とはどのようなものなのか」と、学びのつながりに視点を置いた話し合いをし、幼保小の教職員が認識を共有しました。横のつながりや縦のつながりを深めることは、子どもたちの小学校入学に対する不安を軽減し、安心感を高めることにつながっていると思います。

写真:「名前書けるかな?」
「名前書けるかな?」
写真:交流後の教職員のふりかえり
交流後の教職員のふりかえり

 実践NOTE541は以上です。

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教育委員会教育政策課
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