Eジャーナルしずおか第248号(抜粋)令和4年6月発行
静岡県の学校を、元気で魅力あふれる教職員の手で、夢いっぱいの学校にするために学校における業務改革の取組を進めています。
平成31年2月に策定した「学校における業務改革プラン」の取組状況を踏まえ、プランを改訂しました。
一人一人の教職員と組織としての学校、それを支援する教育委員会が一丸となり、「児童生徒のため」、「教職員自身」のため、業務改革を進めていきましょう。
目標指標等の状況(一部)
年度 | 小学校 | 中学校 | 高校 | 特支 |
---|---|---|---|---|
H30 | 95.9% | 94.7% | 94.6% | 97.3% |
R元 | 96.9% | 97.1% | 96.4% |
100.0% |
R2 | 97.5% | 95.9% |
100.0% |
100.0% |
教職員が主体的に業務改善を議論し、実践する環境が整ってきています。
年度 | 小学校 | 中学校 | 高校 | 特支 |
---|---|---|---|---|
H30 | 90.3% | 85.9% | 41.8% |
81.1% |
R元 | 95.3% |
92.4% |
57.3% | 86.5% |
R2 | 92.1% | 88.8% | 60.8% | 89.2% |
増加傾向ですが、学校種別の差異が見られます。
年度 | 小学校 | 中学校 | 高校 | 特支 |
---|---|---|---|---|
H30 | 7.6% |
29.8% |
9.1% | 0.05% |
R元 |
5.7% |
26.1% | 9.0% | 0.07% |
R2 | 3.4% | 14.9% | 7.6% |
0.07% |
縮減傾向にあり、地道かつ重層的な取組の効果が表れてきています。
年度 | 小学校 | 中学校 | 高校 | 特支 |
---|---|---|---|---|
H30 |
47.8% |
50.3% |
55.0% |
58.8% |
R元 | 55.3% |
53.5% |
56.0% | 60.0% |
R2 |
54.0% |
59.7% | 55.8% | 59.8% |
改善が図られてきていますが、時間的余裕を生み出すため、更なる取組の推進が必要です。
重点取組(5本柱)の状況(一部)
1.人的資源の配置・活用
- スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの全市町支援体制整備
- スクール・サポート・スタッフの全小中学校配置
2.校務の分類・整理と見直し
- 学校連絡・情報共有サービスの全特別支援学校導入
- eラーニング教職員研修管理システムの導入、電子教材等の共有
3.教職員の働き方の見直し
- 勤務時間管理システムの全県立学校導入
- メンタルヘルス研修を延べ約4,000人が受講(R1~R2)
4.効率的・効果的な部活動の実現
- 部活動指導員を高校延べ45人、中学校延べ71人配置(R1~R2)
- 運動・文化部活動の専門的技能を持った地域人材の派遣
5.地域・家庭、関係機関等との連携・協働
- コミュニティ・スクールを小・中学校17市町212校、高校20校、特支22校で導入(R3)
- しずおか寺子屋を13市町67か所で実施(R3)
今後の業務改革の方向性
今後も、教職員による主体的な業務改善の取組や、学校や教育委員会による5本の柱からなる重点取組を着実に継続・発展させていきます。
重点取組を下支えする次の3つの視点を踏まえ、教職員の時間と心身に余裕を生み出していくことを目指します。
ICT化の推進
デジタル技術を活用して、学習、働き方、学校運営を効率化・高度化させ、県下全体の変革を促進させる「スクールDX」を推進していきます。
業務改善への行動変容・横展開
「自分ごと」として業務改善に取り組む教職員・学校を支援できるよう、学校の働き方改革推進プロジェクトなどのモデル校の改善手法等を全県に展開・波及させていきます。
実効性を高める組織体制
R4年度新設した教育DX推進課を中心に、ICTを最大限に活用し、学習指導や校務、働き方の改革を一体的に推進します。
学校の業務改善の推進に向けて…
教職員
学校の実情や課題等を踏まえ、皆で議論を行いながら、身近なところから、主体的に改善を進めていきましょう。
学校(校長)
学校の業務改善の目標を設定し、自らのリーダーシップに基づく、組織的な改善を進めていきましょう。
教育委員会
学校や教職員の負担を軽減するよう、国や関係機関等とも連携し、業務改善を支援する取組を進めていきます。
実践NOTE493
業務改善の具現化を目指して
三島市立北小学校 主幹教諭 伊藤亮
できることを増やしていく
本校は、令和3年度より働き方改革推進校の指定を受けました。「できることを1つずつ」という思いで、健康観察アプリ活用による電話対応の削減、登校時間変更による時間外勤務の削減、スクールサポートスタッフやICT支援員活用による子供と向き合う時間の確保、終業時刻を知らせるチャイムの導入などの取組を増やしてきました。
従来のやり方に改革を
運動会といえば今まで早朝から準備を行っていましたが、7時40分前には準備をしないことを校内で取り決めました。通常の出勤時間でも対応できる準備内容を各担当が計画して事前準備を進めることで、早朝出勤による過度な負担を軽減することができました。
また、学校便りや給食の献立、保健便りをタブレット端末や保護者のスマートフォンに配信することで印刷業務の削減を実現しました。「紙のお便り」は、学校には欠かせない存在でしたが、保護者の協力を得て業務改善を進めました。
変える意識、変わる意識
業務改善を進めるためには、その原動力となる「働き方改革への意識」が必要です。そこで、日頃の働き方についてざっくばらんに話し合う機会を設けたり、業務改善に向けたスローガンを学年や事務部の輪番で作成したりすることを通して、働き方に関わる話題が身近な所で行き交う職場づくりに努めました。その成果として、校内アンケートでは、「自分なりに業務改善のめあてをもっている」という回答が97%に達しました。
業務改善の歩みを止めない
本校の業務改善に向けた取組は、令和4年3月7日発行のEジャーナルしずおか第245号で動画による紹介をさせていただきました。令和3年度には15項目以上の取組を実践し、留守番電話をセットする時刻には全教職員が帰宅する日が多く見られるようになりました。令和4年度は、放課後の会議や研修を行わない日を計画的に設定し、自己研鑽の時間を確保したり年次休暇を取りやすくしたりするなど、一層業務改善を推進していきます。
実践NOTE493は以上です。
実践NOTE494
SDGsを取り入れた課題解決型学習の実践
静岡県立浜松工業高等学校 教諭 藤井邦光
持続可能な開発のための教育
新学習指導要領前文で、生徒が「持続可能な社会の創り手」となるよう、持続可能な開発のための教育(以下ESD)を学校教育全体で目指すと明記されました。一方、2015年、国連によって「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました。SDGsの17の目標達成においても教育が担う役割は大きく、ESDの推進が強く望まれています。このような背景から、私はSDGsを組み込んだ課題解決型学習を計画し、実践してきました。
世界の課題を知ろう
私が担当する建築科3年生の必修科目「課題研究」(総合的な探究の時間の代替科目)にてSDGsを組み込んだ課題解決型学習に取り組んでいます。
生徒はSDGsの調査と理解から学習を始めます。調査を通して、世界にはどのような課題があるのかを知り、解決に向けて私たち一人ひとりがどう行動すればよいのかを考えることが第一歩です。
その後、各生徒が主体的に課題設定をします。各種団体が募集する建築設計競技からテーマを選択する生徒、学校内における課題を設定する生徒もいました。そして、SDGsを課題解決の新たな切り口として参照します。
SDGsをヒントに課題解決へ
建築設計に関心がある生徒は、「茶室」をテーマにした建築設計競技において、SDGs「13気候変動に具体的な対策を」をヒントに、自然災害に対する強靱性及び適応力を強化する茶室建築を考えました。また、木材加工が好きな生徒は、SDGs「12つくる責任つかう責任」をヒントに、学校のベランダを活用する東屋を製作しました。
結果、事後アンケートでは、「SDGsをヒントにすることで、アイデアを飛躍させることができた」と100%の生徒が回答しています。
社会への発信
生徒たちが創出した作品やアイデアは、積極的に学外の意見を取り入れることを心がけました。大学教授等へプレゼンテーションし、アドバイスを頂くことで学びの深化につながると考えたからです。その結果、外部から評価を頂くことは深い学びだけでなく、社会性の獲得や生徒の意欲向上にもつながっていったように感じます。
今後も工業の学びを活かし、外部と連携を取りながら本校生徒が「持続可能な社会の創り手」となるよう授業実践を進めたいと考えています。
実践NOTE494は以上です。
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