Eジャーナルしずおか第260号(抜粋)令和5年6月発行
静岡県総合教育会議
静岡県では、総合教育会議において知事と教育委員会が十分な意思疎通を図り、地域の教育の課題やあるべき姿を共有して、教育行政を推進しています。
◆ 令和5年度の協議テーマ(予定)
- 第1回 グローカル人材の育成
- 第2回 個々の能力や個性を生かす教育の推進
- 第3回 教育デジタルトランスフォーメーションの推進
- 第4回 子どもの健やかな成長を支える教育の推進
◆ 地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会
総合教育会議における協議をより社会全体の意見を反映したものとするため、様々な分野の有識者による「地域自立のための『人づくり・学校づくり』実践委員会」を設置し、総合教育会議に先立ち、協議事項などについて知事が意見を聞いています。
また、実践委員会の施策提案機能の強化を図るため、令和2年度から「才徳兼備の人づくり小委員会」を実践委員会に設置し、中・長期的課題を検討しています。
◆これまでの総合教育会議による主な成果
- ふじのくにグローバル人材育成基金の設置
- しずおかスポーツ人材バンクの運用
- 静岡式35人学級編制の充実 など
▼ 2016年に「ふじのくにグローバル人材育成基金」を創設し、これまでに1,626人の高校生・教職員の留学などを実現。
今年はコロナ禍で難しかった海外渡航を本格化していく。
🎤 地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会 🎤 矢野委員長インタビュー
これまでの実践委員会や総合教育会議についての感想や、今後の抱負などについてインタビューしました。
多様な委員が参画する実践委員会、輝く中学生の姿が印象的なDream授業
Q これまでの実践委員会や総合教育会議で特に印象深い出来事は?
A 実践委員会では各界から様々な立場の委員が参画し、多様で活発な議論が交わされています。これまで、様々な施策が実践委員会・総合教育会議を経て具現化されました。「静岡式35人学級編制」では、それまでの25人の下限を撤廃し、完全な35人以下学級を国に先駆けて実現したことは画期的だと思います。
また、実践委員会の委員も講師を務めている「未来を切り拓くDream授業」は、参加してくれた中学生一人ひとりの個性豊かで元気いっぱいな姿がとても印象的で、素晴らしい取り組みだと思っています。
◀ 未来を切り拓くDream授業
中学生30人を対象に3泊4日で開催。
一流の講師による講義やグループディスカッション・発表などを実施。
今年は8月1~4日に開催予定。
呼吸法と古典の力を実感、寺子屋「お爺ちゃんの論語塾」での実践
Q 矢野委員長が主宰されている「お爺ちゃんの論語塾」について教えてください。
A 2010年7月から、小学校1年生以上を対象に自宅で月2~3回のペースで開催しています。挨拶、素読、暗唱を3原則として、論語や大学、中庸、菜根譚、最近では貞観政要など様々な古典を読み、驚くことに子どもたちは自然と覚えてしまいます。毎回、挨拶のあと6分間の「静かな時間」を設けます。姿勢を正して15〜25秒間ゆっくり息を吐いて吸う、これを何度か繰り返す。入塾当初は長い時間座っていることも難しかった子が、2~3ヶ月後には徐々に落ち着き、靴をそろえ、大きな声で挨拶もし、自然と礼儀正しくなっていく、呼吸法と古典の力を感じます。この子たちが大きくなって人生の岐路に立ったときに、ここで覚えた言葉が拠り所になればと願っています。
◀ 「お爺ちゃんの論語塾」で使用しているテキストは矢野委員長の自作で、白文と書き下し文が併記されている。
長期的な視点と具体的な検討が必要、東アジア文化都市は検討の好機
Q 今後の実践委員会に対する抱負は?
A 教育は、やってすぐに効果が出るものではなく、種を蒔き、芽が出て、花が咲き、実が生るように、長期的な視点で考えるべきものだと思います。そのうえで、やるべきことは具体性をもって検討する必要があります。例えば、静岡県が東アジア文化都市に指定されたのは非常に稀な機会。こうしたことをきっかけに、今後の方策を見出していくと良いと思います。子どもたちの持つ無限の可能性を伸ばしたいと願っています。
矢野委員長プロフィール
矢野 弘典氏(やの ひろのり)
一般社団法人ふじのくにづくり支援センター理事長、公益財団法人産業雇用安定センター会長
「地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会」委員長は平成27年度より就任
実践NOTE517
Google Classroomを活用して観点別評価の業務軽減?!
静岡県立川根高等学校
教諭 豊島 宏
Google Classroomと観点別評価
令和4年度入学生から観点別評価がスタートすることになり、評価規準の設定や、評価材料の集約等、試行錯誤を重ねてきました。Google Classroomを使い観点別評価の負担感を軽減できないかと自分の取り組みをまとめてみました。
Classroom × Forms = テストの自動化
Google Forms(以下フォーム)とClassroomを使って、オンラインでのテストが実施できます。フォームの機能を使うことで、選択式問題の場合、解答後すぐ自動採点し生徒に通知することができるほか、問題をシャッフルして表示することもできます。記述問題に関しても、一人ずつ確認し評価・コメントができるため、個別にきめ細かな指導を行うことも可能です。
Classroom「課題」機能の活用(ルーブリックの作成と公開)
Classroomの「課題」では、生徒への通知から提出まで一か所で行うことができます。また、ルーブリックを作成し公開する機能を活用することで、生徒へも明確に指示ができます。作成したルーブリックは、他の課題、科目などでも再利用ができるため、課題ごとの設定だけではなく単元や科目、教科全体のルーブリックを作成することで、目標を繰り返し提示できます。
その他の利用方法の提案と留意点
Googleドキュメント等のコメント機能を活用して、進路指導時、志望動機の添削のオンラインでの実施や、書き直し時間の短縮などができます。
また、デジタルの特性を生かしてレポート課題を何度も再提出させることで、指導目標の達成に寄与できると考えられます。
オンラインサービスによって、時間、場所を問わずに情報にアクセスできる反面、扱っている個人情報の適切な利用のためにも、ルールの理解と徹底が必要になると考えられます。(静岡県のGoogleアカウントなどのオンラインツールの利用に関しては、「機密性2B以下(※)」の情報資産が利用可能)
※ 機密性2B:教室内でも生徒と共有できないような情報資産。(評価、定期テストの結果など)
実践NOTE517は以上です。
実践NOTE518
人権教育を学校づくりの柱に!
沼津市立門池小学校
教諭 清水 亜矢子
はじめに
人権教育は、薄い新聞紙を積み重ねるような地道な取り組みと言われますが、私たちは、学校づくりの柱となり得る重要な手立てと考え、研究に取り組みました。
授業を軸に進めることで…
研究の柱の一つは、授業を軸とした取り組みです。
学校生活の大半を占める授業を通して人権教育を推進することで、学校生活全般にその波及効果が期待できると考えました。
授業の中で大切にしたことは「あたたかな聴き方・やさしい話し方」です。この取り組みを、小中9年間を通して人権尊重の視点で価値付け、ステップ表などを活用しました。系統的に実践を進めることで、子どもたちの受容的、共感的な姿や、一人一人を尊重する雰囲気が出来上がってきました。
教職員が一番の教育環境!
もう一つの柱は、環境を整える取り組みです。学校において、子どもたちの最大の教育環境は、私たち教職員です。教職員一人一人が人権尊重のモデルになるため、人権感覚を高めていくことが大切であると考えました。これは、沼津市が取り組む不祥事根絶につなげるための取り組みでもあります。
そこで、私たちは、これまでの教育活動を人権尊重の視点で振り返り、活動の意義を確認し、価値付け、見直すことから始めました。
小学校では、全体研修や打合せの一部の時間を活用し、人権に係るテーマについて小グループで話し合いました。
中学校では、教職員も「あたたかな聴き方・やさしい話し方」を意識して子どもと接することが重要と考え、教職員版ステップ表を作成し、実践しました。
終わりに
このたび、中学校区で県の人権教育研究事業の指定を受けたことにより、人権教育が小中9年間を通じた人づくりの新たな目標となりました。
人権教育は、イベント的に単発で行われるものではなく、地道に日々継続して実践されることで効果をあげるものだと思います。今後、人権教育を持続可能な取り組みとして学校や地域に根付かせることが課題です。
実践NOTE518は以上です。
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