静岡県教育委員会

“ふじのくに”の未来を担う「有徳の人」づくり

Eジャーナルしずおか第258号(抜粋)令和5年4月発行

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ページID1053042  更新日 2023年4月5日

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令和5年度 教育行政の基本方針

令和5年度 教育行政の基本方針

 静岡県教育委員会では、令和5年度、すべての子どもたちのウェルビーイングを目指し、他者と協調して新たな価値を創造する力の育成に向け、学校・家庭・地域の連携・協働の下、以下の取組を重点的に推進します。
 特に、予測困難な時代を生き抜く力を育む探究的な学びの充実、誰一人取り残さない教育の実現、教職員や児童生徒の人権意識醸成の更なる推進に取り組み、本県の未来を担う「有徳の人」を社会全体で育成していきます。

1.「文・武・芸」 三道の鼎立を目指す教育の実現

1.「知性」・「感性」を磨く学びの充実

 児童生徒一人ひとりの能力を最大限に発揮させるとともに、学びに向かう力・人間性、他者と協働する力を高める教育を推進します。

個別最適な学び・協働的な学び・探究的な学びの深化
  • 「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善、STEAM教育の推進
  • 静岡式35人学級編制の継続、小学校高学年の教科担任制導入促進による指導の充実
  • 探究的な学びの質の向上を図る情報共有の仕組みの構築と教員研修の充実
ICT等の活用による新たな学びの展開
  • 個別最適な学びの実現に資するデジタルプラットフォームの実証
  • 特別支援学校におけるICT活用の推進
乳幼児の教育・保育の充実
  • 特別な配慮を必要とする幼児等への対応に係るモデル実証や幼児教育サポートチームの活用
子どもの読書活動の推進
  • 成長過程に応じた本に親しむ機会の提供と読書活動の啓発

2.「技芸を磨く実学」の奨励

 児童生徒が生き方や仕事に対する価値観について考え、希望する進路を実現できる力を育みます。また、スポーツに親しむ環境づくりや体力の向上を図ります。

社会的・職業的自立に向けた教育の推進
  • キャリア・パスポートの活用等による体系的・系統的なキャリア教育の推進
スポーツに親しむ環境づくりと健康教育の推進
  • 部活動指導員等の充実、休日の部活動の段階的な地域移行も含めた地域との連携・協働
  • 児童生徒の体力向上に向けた取組の推進
多彩で魅力的な文化・芸術の創造・発信
  • 「 東アジア文化都市2023静岡県」を契機とした文化芸術活動の奨励

3.学びを支える魅力ある学校づくりの推進

 安定した教育基盤の整備や、時代に対応した多様で魅力ある学びの場づくりを進めます。

高等学校等の魅力化・特色化
  • 多様な学習ニーズに対応するオンリーワン・ハイスクール、演劇・スポーツなど新学科設置等の推進
  • 地域の意見を踏まえた県立高校の在り方の検討と具現化
教職員の資質向上及び学校マネジメント機能の強化・教職員の働き方改革の推進
  • 新たな資質を持つ教員の育成、ICT活用指導力の強化
  • 教職員のこころと体のサポートの充実、コンプライアンスの徹底
  • 学校運営のあり方の見直しや、働きやすい職場環境づくりによる「校務のDX」の推進
学校施設等の安全・安心の確保
  • 学校施設の計画的な整備・建替え・長寿命化改修、特別支援学校の施設狭隘化解消
  • 県立学校のトイレの洋式化、環境に配慮した施設整備の推進
  • 被災地訪問等による防災人材の育成、関係機関との連携による安全対策の推進

2.未来を切り拓く多様な人材を育む教育の実現

1.多様性を尊重する教育の実現

 多様な価値観を認め、互いに支え合う教育を推進するとともに、課題を抱える子どもたちを誰一人取り残すことのないよう、支援体制の充実を図ります。

人権を尊重する教育の推進と人権文化の定着・多様な課題に応じたきめ細かい支援
  • 教職員や児童生徒の人権意識醸成の更なる推進、生徒の意見を踏まえた校則の検証・見直し
  • ヤングケアラー等、困難を抱える児童生徒への相談・支援体制の強化
  • 公民連携の強化による選択可能な居場所づくり
特別な支援が必要な児童生徒への教育の充実
  • 医療的ケア児への就学支援の充実
  • インクルーシブ教育システムの理念に基づく「共生・共育」の更なる推進
外国人県民・外国人児童生徒への教育の充実
  • 外国人児童生徒へのきめ細かな日本語指導、不就学解消の支援、キャリア形成の支援

2.グローバル・グローカル人材の育成

 グローバルな視点と地域への関心を併せ持ち、国際社会や地域に貢献できる人材を育成します。

国際的な学びと地域学の推進
  • 「 ふじのくにグローバル人材育成基金」によるオンラインも活用した海外交流機会の提供
  • 県立高校への国際バカロレア教育の導入によるグローバル教育・探究学習の推進
  • 地域の歴史や文化を知り、郷土のよさを実感できる学習機会の充実
優れた才能や社会に貢献する力を伸ばす教育の充実
  • SDGs教育やアントレプレナーシップ教育等の充実
地域産業を担う人材の育成
  • 農業・水産高校とAOI・MaOIプロジェクトとの連携
  • 産業界から専門高校にCEOや技術者を招聘する「マイスター・ハイスクール」事業の推進

3.生涯を通じた学びの機会の充実

 誰もが心豊かな人生を送れるよう、生涯にわたって学び続けられる環境づくりを推進します。

全世代に対する学びの機会の充実・誰もがともに学ぶことのできる機会の充実
  • 知の探究と創発の拠点となる新県立中央図書館の整備
  • 県立ふじのくに中学校(夜間中学)の開校、運営

3.社会総がかりで取り組む教育の実現

1.社会とともにある 開かれた教育行政の推進

 地域や学校・市町の多様なニーズ、社会全体の意見を反映した開かれた教育行政を推進します。

社会全体の意見を反映した教育行政の推進、市町と連携した教育行政の推進
  • 外部有識者等の意見を踏まえた、教育振興基本計画の取組の評価、施策への反映
  • 市町教育委員会への訪問等を通じた課題の聴取及び学校支援充実に向けた助言等

2.地域ぐるみの教育の推進

 複雑化・多様化する教育課題の解決に向け、学校、家庭、地域、企業等の連携・協働を進め、地域ぐるみで子どもたちの学びや育ちを支える環境づくりに取り組みます。

学校・家庭・地域の連携推進・家庭や地域における教育力の向上
  • コミュニティ・スクールの設置推進・運営充実と、地域学校協働活動との一体的推進
  • 寄附金を活用した、主体的な学びを深める教育の充実等に向けた取組の拡大
  • 多様性を強みとする体験活動や家庭教育の充実

実践NOTE513

地場産物を活用し、その意義を伝え理解し合うために

小山町立須走小学校
栄養教諭 末守 祐子

小山町の学校給食

授業中の筆者

 小山町では、各学校に併設された給食施設の単独調理場方式により、子どもたちは、各学校で炊飯した御飯を味わうことができます。年間を通して町内産のコシヒカリを使用し、白飯だけではなく、地元で収穫されたたけのこやさつまいもを炊き込んだご飯や、おこわなども楽しめることが自慢です。子どもたちは、米や水掛菜が小山町の特産物であることをよく知っていますが、給食に使用している他の地場産物にも関心を持ってほしいとの思いがありました。

地場産物の活用

生産者のお話

 子どもたちがより地場産物に興味関心を持つためには、どんな取り組みを行ったらよいかを駿東地区栄養士会で検討し、実践しました。毎月1回ふるさと給食の日や年2回ふるさと給食週間を設定し、子どもたちが地場産物について理解を深め、親しむ機会としています。
 これまでも、給食時間の放送や掲示資料、授業などで地場産物の紹介を行ってきました。また、「生産者さんに感謝する会」では、自分たちの身近に生産者がいることを知ったり、生産者の農作物への思いを聞いたりすることで、食に関わる人への感謝の気持ちを育んできました。

ふるさと給食週間人気メニュー投票

投票をしている様子

 11 月のふるさと給食週間では、どのメニューがおいしかったかを投票する「人気メニュー投票」を計画し、子どもたちは、掲示資料にシールを貼って投票しました。結果を献立表に掲載し、人気メニューは1月の学校給食週間中に再度給食で味わうことができました。「投票に参加できるのも結果を見るのも楽しい」、「どれに投票する?」などと友達と一緒に取り組むことは、ふるさとの味を意識して味わうきっかけになりました。

子どもたち自身が関わる

クイズを出題する子どもたち

 人気メニュー投票の他にも、給食委員会の子どもが考えたクイズも好評でした。そのような子どもたち自身が関わる取り組みを考え活動することで今まで以上においしく味わったり、食材や生産者を知ったり、感謝の気持ちで食べたりすることができました。今後も、給食を生きた教材として活用し、関係職員と連携、協力しながら、食育を通して郷土への愛着や感謝の心を持てる子を育てていきたいです。

実践NOTE513は以上です。

実践NOTE514

学校周辺地域の“人・もの・こと”を生かしたコミュニティ・スクール

静岡県立掛川特別支援学校
教諭 鈴木 歩梨

はじめに

 本校は、掛川市立病院の跡地を活用し、医療、保健、福祉、介護、教育に関する施設を一体的に整備した「希望の丘」の一角を担う開校8年目の学校です。開校以来、この地域の特色を活かし、希望の丘内の施設や学校周辺地域の“人・もの・こと”を積極的に活用した様々な地域交流を進めています。

ふれあい活動の実践

「小学部の一日ウォーク」

一日ウォークの様子

 小学部は「地域とふれあう・地域で活動する」をテーマに、学年ごと学校近隣の公園や施設に出掛け学習しています。11月には小学部全体で『一日ウォーク』を行い、地域から募集して集まってくださった掛特応援隊と一緒に、公園、掛川城、粟ヶ岳の3コースに分かれ歩く活動を行いました。歩きながら話をしたり昼食を一緒に食べたりして、楽しく交流することができました。

「地域で学ぶ中学部」

さつまいも収穫の様子

 中学部では、地域の施設や特産物について調べたり、地域の人から学んだりする学習に取り組んでいます。雑巾や牛乳パックを活用した椅子を作って近隣施設に届けたり、地域の農園でさつまいもの収穫をしたりしました。地域で積極的に学び、生き生きとした表情で体験活動をする生徒たちの姿が見られました。

「肢体不自由教育の地域での活動」

花壇づくりの様子

 希望の丘内施設の利用者や職員の皆さんと一緒に『掛川東病院の花壇づくり』に取り組み、花の苗を植えました。広い花壇にたくさんの花が咲いてくれることを願いながら一つずつ植え、土や植物に触れながら地域の皆さんと同じ場所で穏やかな時間を過ごすことができました。花壇の様子を見に行くことがとても楽しみになりました。

おわりに

 地域の“人・もの・こと”に恵まれた本校のコミュニティ・スクール=「ふれあい活動」は、校内で身に付けた力を校外でも発揮できるとても有効な活動になりました。学校運営協議会で「ふれあい活動」の成果や課題を検討しながら、地域とのつながりを前進させることができました。コミュニティ・スクールは、本校の教育活動に好循環をもたらしています。

コミュニティ・スクール イメージ図

実践NOTE514は以上です。

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