第32回川原地区社会福祉協議会
第32回
地域みんなの居場所をつくる「川原地区社会福祉協議会」
こんにちは。静岡県中部地域局です。
地域活動に取り組む方々や、イノベーションを起こしている企業にスポットを当て、地域と関わるようになったきっかけや活動内容について、中部地域局の職員がインタビューし、みなさんが元気になる情報をお届けします。
第32回となる今回は、静岡市駿河区で、支援が必要な方と支援する方、両方のニーズに合わせて多様な取組を展開されている、川原地区社会福祉協議会の、仁科寬治会長、長島明子副会長、大野夕映書記兼企画運営副委員長にインタビューしました。
川原地区が抱える福祉の課題を受けて
川原地区社会福祉協議会が発足したのは、2005年のことです。
仁科会長は、当時から児童会に携わっていましたが、20年近くが経過した現在、福祉活動をしている方の高齢化が顕著になっています。これまでの川原地区社会福祉協議会の活動は、いわゆる団塊の世代の方が中心だったのですが、その方たちがもうすぐ80歳を迎えようとしているのです。次の世代にどうバトンタッチをしていくか、保護司、民生委員などに携わってる方も悩みを抱えています。定期的にボランティア活動に参加してくださる方も、特定のメンバーに限られてしまっています。
そこで、福祉活動に若い世代の方をリクルートするためにも、SNSの活用を進めています。また、ホームページを充実させるなど、広報活動に力を入れています。
広報活動を行わないと、何をしているかが外部に伝わらず、結果的に、新たに協力してくださる方がいなくなってしまいます。
川原地区社会福祉協議会は、長島副会長と大野書記が、インターネットとSNSによる発信に慣れているので、その点をアドバンテージにして活動しています。
令和5年には、ヤングケアラーとして自由を奪われている子どもたちの問題に気づき、独自に啓発冊子を作成しました。この冊子は川原地区社会福祉協議会のホームページでも閲覧することができますので、読者の皆様にもぜひ御覧いただきたいと思います。
「啓発冊子 ヤングケアラー いま私たちにできることから 地域で子どもを見守るためのハンドブック」
URL
https://www.kawaharacsw.com/%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B1%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%BC
世代をこえて、できることをできる人が支援する
川原地区社会福祉協議会では、支援活動に参加してくださる方に無理をさせないことを、常に意識しています。「できることを、できる人が、できる時に」行うということが合言葉です。人にはそれぞれ得意な分野があり、支援する側も支え合って活動していかなければ長続きしません。
それは世代についても同様で、中学生と年配の方では、経験も得意な分野も異なります。
川原地区社会福祉協議会では、長田南中学校の生徒さんと連携して福祉活動に参加してもらっていますが、生徒さんにはただ、言われたことを手伝ったり、単純作業をするのではなく、自分で必要な行動を考えて取り組んでいただいています。このことが、自主性を高める成長につながり、中には大人になってから福祉関係の仕事に就いた方もいます。
また、中学校を卒業して大学生や専門学校生になっても、ボランティアとして参加を続けてくださる方もいます。こうした学生については、川原地区出身で県外大学の教職課程等で学ぶ方や、他地区出身の県内教育学部の方などが、夏期休暇を利用して、子どもの居場所づくりの企画に参加してくれるなど、協力の輪が広がっています。
そうした学生の方に話を聞くと、福祉活動をしたい意欲があっても、活動できる場所が分からないという悩みがあることが分かりました。そこで、川原地区社会福祉協議会が、学生の方に適した活動の場を紹介することにしました。それまで福祉活動は地域内の住民で行うことが半ば常識となっていたのですが、外部の方を積極的に受け入れていくことも大切だという、新たな気づきにつながりました。
また、活動に参加してくれる会員を拘束しないことも重要だと感じています。スケジュールが合わなければ、無理に参加しなくてもいいくらいのスタンスで、寛容に構えることが、結果的に会員の参加の継続につながります。
住民の顔がつながる地域の再生を目指して
川原地区社会福祉協議会では、住民の皆さんが全員顔見知りであることが、とても重要だと考えています。
例えば防災について思いを巡らせると、皆が顔見知りであれば、誰が避難所にたどり着いていないかがすぐに分かって救助に向かうことができたり、避難所に自力でたどりつけない方を支援する計画を事前に用意することもできます。
川原地区社会福祉協議会では、地区内の地図にプロットされた防災に関連する地点を時間内に回りきるという、ゲーム形式の防災イベント「防災ロゲイニングinかわはら」を行い、地理に詳しくなると同時に、参加した方と顔見知りになれるという効果を発揮しました。
地域の方の顔が分かるということは、その方の状態が分かることにつながり、さらには必要な支援を用意することにつながっていくのです。1世代前の日本では、近所の方は皆知り合いで、お互いが空いた時間に子どもの面倒を見るというような光景がありました。私たちは、そうした地域の力を取り戻したいと考えています。
現在、川原小学校の児童数が著しく減少しています。結婚していない人が多く、したくてもできない方も増えています。その原因には、家族を支える将来への不安が拭えないことがあります。
また、平均収入の減少もあり、下校後に家に帰っても居場所がない子どもたちが増えています。私たちは、そうした子どもたちのため、地域に居場所を用意していきたいと考えています。
子どもたちが成長しても、進学で東京に出て行ってしまい、ふるさとに帰ってこない問題も深刻です。
地域の皆が顔の見える存在になって、川原地区を自然な助け合いにあふれた地域にすることで、これらの問題が改善されていけばと取組を続けています。
静岡市駿河区のここが好き!
まず、安倍川の土手から見える富士山です。散歩の途中で雄大な富士山を心ゆくまで眺められることは、他県の方からすれば、信じられない贅沢なことだと思います。
また、広野海浜公園の朝日も絶景です。
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