第6回350年続く伝統製法を今に守り抜く

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ページID1035196  更新日 2023年1月13日

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島田市の「海産物処ふじ田」の藤田嘉士さん

こんにちは。静岡県中部地域局です。

地域活動に取組む方々にスポットを当て、地域と関わるようになったきっかけや活動内容について、中部地域局の職員がインタビューし、みなさんに情報をお届けします。第6回となる今回は、島田市に店舗を構えている「海産物処ふじ田」の、藤田嘉士(ふじたよしひと)さんにインタビューしました。

写真:海産物処ふじ田1

地元のお店を見つめなおすきっかけになれれば

「海産物処ふじ田」は、元々両親から続く店でした。地域と関わりながら商売を続けてきましたが、20年くらい前から商店街が寂れてきました。ネット通販も広がっていますし、特定のお店一軒のためだけに、お客さんが足を運んでくれる世の中でもないですよね。自分のお店の売り上げだけを考えるのではなくて、周りのお店とか地域全体が盛り上がってないと足を運んでもらえないんじゃないかと思いました。10年ぐらい前から、仲間と企画して島田の公園とか空いている場所でマルシェをやるようになりました。

マルシェというのは、地域のいくつかのお店が集まり、安心・安全な商品を提供する市場の開催を通じて、人と人との交流によるコミュニティが生まれる場です。そこで地域の魅力を発信しながら、地元商店等の活性化につながればと考えて進めていました。

しかし、去年コロナ禍が始まり、マルシェイベントはすべて中止になりました。私も含めて、出店していた仲間たちは困ってしまったのです。こぢんまりとしたものでも、商売の機会を設けたい。そこで、「エール市場」を始めました。エール市場とは、日曜日にうちの駐車場を使って飲食店を中心に5~6店舗が出店し、その場で軽食を楽しんだり、テイクアウトもできるミニ商店街ですお客さんにとっても遠出がしにくくなりましたので、近いところで楽しんでもらえればということもありました。近場にも、魅力的な商品がいっぱいあるんだよって、地元のお店屋さんを再認識してもらえる機会にもなればなと思って。静岡の良いものを見つめ直しましょうという提案ができればと思ってやっています。

この話を焼津の松葉畳店(※)さんにしたら、私の思いに共感してくれて、同じ取組を始めてくれたんです。藤枝のneucoffee(ノイコーヒー)さんも賛同して、エール市場に取り組んでくれています。こうした動きが、どんどん広がっていってくれれば嬉しいと思っています。

エール市場っていうキーワードで、いろんなお店屋さん同士での協力や、お客さんが地元のお店を積極的に利用する支援の気持ち、そうした動きが広まっていけばいいなと思っています。

写真:海産物処ふじ田2

楽しさと熱量が、協力の輪を広げる

エール市場以外には、「しずおか百貨良品展」というマルシェの主催をします。これは、令和3年9月に静岡市のSBSマイホームセンター静岡東展示場、11月に藤枝市のSBSマイホームセンター藤枝展示場で開催するものですが、静岡県内のいいお店、いい商品というのを、1度見てもらいたいということと、地域の良いものを、地元の人に気づいてもらいたい、知ってもらいたいという気持ちがあります。イベントでは、告知が特に大事だと考えています。SNS中心で、仲間たちと一緒に楽しいイベントの熱量を発信していくと、ラジオ局や新聞が協力してくれたりします。島田のイベントと言っても、市で垣根を作らずに、県の中央部の志太地域を楽しくしたいと考えています。

写真:海産物処ふじ田3

350年続く伝統製法を、今に守り抜く

「海産物処ふじ田」の特徴として、「生かつお手火山(てびやま)」という、昔ながらの鰹節を取り扱い続けているところがあります。

手火山式は、一本釣りの生かつおで刺身にできるぐらい鮮度のいいものを、職人による手作業で、直火のあぶりと燻しを繰り返して風味と香りを引き出していきます。元々、かつお節は皆この製法で作られていたのですが、今では県内で一軒だけになってしまいました。時代が移り変わるうちに、珍しいものになってしまった手火山式は、職人さんも採算が合わないような、かなり手間のかかる仕事なんですけど、こだわりを持ってずっと続けてくれています。私もその、職人さんのこだわりをかつお節に込めて、お客さんにご提供できればいいなと思っています。

写真:海産物処ふじ田4

控えめなのが、島田の良さ

私は島田市生まれで、高校生まで島田市で過ごしました。東京に出た後、家業を継ぐために帰ってきたのですが、その頃には島田市の商店街がシャッター通りと言われるようになってしまっていましたね。島田市は、商売を始めるに当たっては正直特別有利な場所という訳ではないと思います。でも、やさしい人が多い、隠れたいいお店があるという、表に出にくい良いところがありますので、エール市場などでそうしたところを知ってもらえればと思います。

リレーのバトンは藤枝市の渡村(とむら)さん

藤枝市内の古民家カフェneucoffee(ノイコーヒー)オーナーの渡村さんへ、藤田さんから一言。

「フットワークの軽さ、世の中のお母さんを応援する思いの強さというのを感じてうれしい気持ちになりました。子供とお母さんが一緒に楽しめる空間作りをされているのは、本当にいいお店だなって思います。これからもお互い頑張りましょう。」

このページに関するお問い合わせ

中部地域局地域課
〒426-0075 藤枝市瀬戸新屋362-1 藤枝総合庁舎2階
電話番号:054-644-9102
ファクス番号:054-645-1152
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