第31回新たな地域の交流拠点「石畳茶屋 縁-en-」
第31回
こんにちは。静岡県中部地域局です。
地域活動に取り組む方々や、イノベーションを起こしている企業にスポットを当て、地域と関わるようになったきっかけや活動内容について、中部地域局の職員がインタビューし、みなさんが元気になる情報をお届けします。
第31回となる今回は、島田市で、旧東海道金谷宿の石畳茶屋を新たな地域の交流拠点としてリノベーションし、発展させている事業責任者の森大亮(もり だいすけ)様にインタビューしました。
伝統ある東海道金谷宿を引き継ぎ、地域に恩返し
私は、島田市金谷地区を拠点にLPガスなどのインフラ事業に携わってきた、株式会社増商(ぞうしょう)に所属しています。
インフラ系の会社は、地域の発展のおかげで事業が拡大していく性質を持っています。そうして地域のお世話になってきた恩返しの意味も込めて、令和5年7月に「石畳茶屋-縁-en-」の運営を始めました。
この施設は、元々島田市が所有する「東海道金谷宿お休み処」でしたが、当社が新たに市の行政財産使用許可を受けて、和食カフェ、私設図書館、たる型サウナなど、多彩な楽しみ方ができるよう工夫してリニューアルしました。
和食カフェでは、地元の金谷で採れた野菜を、かまどで炊いたごはんとともに味わう一汁一菜のメニューを中心に提供しています。懐かしさを感じさせる縁側も、部屋の南側にありますので、晴れた日はひなたぼっこをしながら、ゆっくりと時間を過ごすことができます。
図書館は、毎月決まった金額をいただいて自分専用の本棚が持てる、一箱本棚オーナー制度を導入しているのが特徴です。それ以外にも、皆さんからの寄贈で揃えた様々な本があり、無料で読むことができます。また、Wifiと電源もありますので、パソコンを持ち込んでワーキングスペースとしても使っていただけます。この図書館は「みんなの図書館」と名付けました。私は、ただ本を集めるだけでなく、地域の方が本の提供を通して運営に参画し、集まって楽しんでもらえることを願っています。
図書館には駄菓子コーナーも設けて、お子さんたちがお金を使う勉強をしながらおやつを食べられるようにしました。合わせて畳のキッズコーナーを用意して、お子さんが自由に寝そべったり、遊んだりできるようにしました。こうした工夫により、親子連れのお客さんにも集まりやすく、長い時間楽しんでいただけるようになっているといいなと思います。
たる型サウナは、大井川産のひのきを使い、地元の大工さんによって作られた、こだわりの施設です。サウナを暖めるガスストーブも当社製ですので、地域の産物と技術が詰まったくつろぎの空間を、貸切で楽しんでいただければと思います。体が十分に暖まったら、富士山を眺めらながら休めるウッドデッキも用意してあります。
そのほかにも、茶屋ののれんは遠州織の布を使うなど、できるだけ地場産品を活用するようにしています。
「石畳茶屋-縁-en-」ホームページはこちら
「石畳茶屋-縁-en-」 Instagramも、ぜひ御覧ください
https://www.instagram.com/ishidatamichaya_en/
島田市を盛り上げる願いを込めて
現在、全国で人口減少が続いていますが、島田市も例外ではありません。私は、ふるさとが縮小していくことを、とても寂しく感じています。そうした状況を少しでも改善するために、「石畳茶屋 縁-en-」を活かしていきたいと考えています。
この茶屋の隣にある旧東海道石畳は、過去に一度撤去されたのですが、30年ほど前の町長が金谷地区の皆さんに声かけをして、一人一つの石を持ち寄り、石畳を復元する活動を行いました。そうした活動により、復元された石畳には旧金谷町の方々の魂がこもっていると考えています。そのような場所の隣で事業を行うことに大変大きな意味があると考えています。
私は普通の「会話」と、話し合ううちにアイデアが生まれる「対話」を分けて考えていますが、島田には何かに取り組みたい方が集まって「対話」ができる場所が不足しているように思えています。
そこで、この茶屋に集まる皆さんに、「対話」を楽しんでいただきたいと願っています。そこで生まれたアイデアが、街を元気にする力になっていくと考えるからです。
そのためには、お客さんのターゲット層を絞らず、なるべく多様な方に集まっていただける施設にしなくてはなりません。
たる型サウナも、ここになるべく長い時間滞在していただける要素のひとつとして整備しました。また、普通のサウナではない個性的な造りにすることで、島田市に少ないと思われる尖ったコンテンツとして発信できるようにしました。最近は、東京からサウナを楽しみにきてくださるお客さんもいます。このようにして、金谷地区を訪れる関係人口を増やしていきたいと考えています。その方たちに、地域の八百屋さんから仕入れた料理を味わっていただくなど、少しでも地域経済に貢献していくことを目指しています。
「石畳茶屋 縁-en-」から広がる夢
私は、島田市には宿泊できる場所が少ないと感じています。そこで、その一助となることも含めて、サウナスペースに隣接した林を整地してキャンプ場にできればと構想しています。
それ以外にも、島田には魅力的な古民家がありますので、それをリノベーションして既存事業の住宅のリフォーム事業のショールーム的な役割を持たせた会員制の宿泊施設を作り、県外から人を呼び込みたいとも将来的には思っています。
また、大井川は強い潜在力をもったコンテンツだと感じていますが、その水こそが魅力的な資源なのです。
今、第3次サウナブームと言われていますが、水はサウナとの相性が抜群です。現代では、風呂と言えば浴槽を指しますが、昔はサウナと同じ仕組みの蒸し風呂が一般的でした。蒸し風呂には1,300年の歴史があり、日本人のDNAに刻み込まれています。かの徳川家康も、ふんどし姿で蒸し風呂を楽しんだと伝わっています。そこから着想を得て、遠州織のふんどしでサウナを楽しむというスタイルも仕掛けていきたいと考えています。
島田市のここが好き!
私は島田市の皆さんの人柄が好きです。島田市が好きな方にも、好感を覚えます。
島田市には、自分の住む街にプライドを持っていて、街を良くしたいと考えている方が多いと思います。
そうした方の祖先が築いた、島田宿、金谷宿といった、宿場町ならではの文化も大切にしていきたいですね。
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