第23回県外の若者に牧之原市の魅力を伝える、榛南自動車学校
合宿免許の若者に牧之原市の魅力を伝える、株式会社榛南自動車学校
こんにちは。静岡県中部地域局です。
地域活動に取り組む方々や、イノベーションを起こしている企業にスポットを当て、地域と関わるようになったきっかけや活動内容について、中部地域局の職員がインタビューし、みなさんが元気になる情報をお届けします。
第23回となる今回は、牧之原市の大規模な自動車学校として、市と連携協定を結んで、毎年約3千人の合宿免許生徒に牧之原市の魅力を伝えている、株式会社榛南自動車学校の水野悦裕代表取締役社長にインタビューしました。
牧之原を、生徒たちの思い出に残る場所に
私(水野社長)は、東日本大震災が起こった平成23年に、迷いながらも社長職を引き継ぎました。牧之原市は、海を持つ街です。この街も、津波の恐怖のため、敬遠されてしまうのではないかと危機感を覚えました。
しかし、その年の9月に合宿免許を行う決心をし、やってきた生徒たちのうち、希望者について、市内の名所を巡るバスツアーを行いました。静波海岸に行って、10分間の約束で自由行動にしたら、時間になっても誰も集まってきませんでした。皆、海に魅せられていたのです。
津波で敬遠されていると思っていた海が、実は魅力を失っていないことに気がついた私は、教習の合間に観光を絡めた合宿免許を、積極的に展開し始めました。せっかく遠くから来てくれた生徒たちにとって、牧之原が思い出に残る場所になってほしい。
合宿免許の人数が増えると、全員をまとめてバスツアーに連れて行くことが難しくなり、7人乗れるテスラという車を買って、私自身の運転で、時間の空いた生徒をドライブに連れて行くようになりました。
最近、大手の専門学校が榛南自動車学校に生徒を送り込んでくれるようになりました。大人数だったことを活かして、静波海岸の清掃ボランティアを企画し、市役所に相談に行ったことが縁になり、今年の7月に牧之原市と、市外の若者への魅力発信協定を結びました。
牧之原市への移住促進の可能性
本校の指導員にも、三重県、滋賀県、京都府、大阪府といった他府県から移住してきて就職した人たちがいます。彼らに、なぜ本校に来たのか聞いてみたところ、合宿免許を静岡で取得した時に、いいところだと思ったからとのことでした。これをきっかけに、もしかしたらこれからやってくる生徒の中からも、移住者が出るかもしれないと考え、地元企業の求人情報を掲示するようになりました。
何事も、最初からあきらめずに行動してみなければ分かりません。東京の就職フォーラムに知り合いから誘われ、成果はないだろうと思いながら出展したところ、22人の就職希望者が来てくれて、うち2人の採用につながりました。
牧之原の人たちは謙虚なので、地元にそんなに魅力があるとは思っていない方が多いのですが、他県の人からはいいところだねと言われます。
本校には、年間3千人の生徒が来てくれますが、それだけ魅力のある土地だということではないかと思っています。この街の持つポテンシャルについて、最初から過小評価することはないと思います。
自動車学校が、若者をつなぐ場に
今、少子化が大きな問題となっていますが、私には、出会いに消極的な日本人の特性が影響している気がしています。
合宿免許は、若者が約2週間共に過ごす場所です。特に、試験の合否という共通の心配を持っていることが、仲が深まる要素になります。
私は、宿舎でもちつき大会を開催するなど、イベントを行って生徒が仲良くなるきっかけ作りをしています。友達ができることが、一番いい思い出になります。牧之原で心に残った思い出をきっかけに、いつかこの街を再び訪れてくれればと思います。
私は、特に不合格になった生徒を、市内のドライブに連れて行きます。つらい人にこそ、牧之原に良い思い出を残してもらいたいと思うからです。
今後挑戦していきたい取組
牧之原市片浜にある、片浜小学校の校舎を再利用した宿泊施設「カタショーワンラボ」は、今とても人気を集めています。本校も、カタショーワンラボと連携して、合宿免許の生徒をそこへ泊めることで、皆でわいわい楽しく過ごせるように仕掛けていくのも面白いと思っています。
牧之原を気に入ってくれた生徒には、仕事と住む場所を合わせて案内したいとも考えています。
また、市役所に来たインターンシップの学生に市内の案内をして、インターンシップ後に免許取得に来てもらうという連携も企画しています。
合宿免許の宿泊先ですが、実は個室のホテルよりも寮に入ってもらった方が、お互い教え合うので、合格率が高くなります。カタショーワンラボも相部屋ですが、これからは相部屋率を高めていくのが良いかもしれませんね。
また、免許取得後の大学生に、少し街に残ってもらい、この街について研究してもらって、街をより良くする提言を受けるというのもありだと思います。
本校の若者が集まる特性を活かして、牧之原市の人口増に貢献していきたいと願っています。
牧之原市のここが好き!
私の家は、10代にわたって牧之原市に暮らしています。
そのことがこの街への強い愛着につながっていますし、長い歴史が積み上がってきたおかげで、今の自分がいることに感謝しています。
私は歴史に興味があり、戦国時代に思いを馳せながら歩くのが好きなのですが、戦国時代に今川氏に敗れた勝間田氏について、勝間田城址とともに、もっと大事にしてPRしてほしいと思っています。
また、過去の地震・津波が牧之原に与えた被害を調べてみると、思ったほどの大きな被害は受けていないことが分かりました。
地震と津波を過度に恐れずに、この街はまだ発展していけると信じて進みたいと思っています。
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