第29回大井川の恵みを得て、野菜のおいしさを追求する桑高農園

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ページID1057948  更新日 2023年11月24日

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第29回桑高農園の桑高史之さん

桑高史之さん

こんにちは。静岡県中部地域局です。

地域活動に取り組む方々や、イノベーションを起こしている企業にスポットを当て、地域と関わるようになったきっかけや活動内容について、中部地域局の職員がインタビューし、みなさんが元気になる情報をお届けします。

第29回となる今回は、吉田町で、高品質・多品種な野菜を栽培している、桑高農園の桑高史之(くわたかふみゆき)様にインタビューしました。

ITエンジニアから、ふるさとでの野菜栽培へUターン

桑高農園の風景

私は、システムエンジニアとして、自治体向け住民情報システムのシステム構築と、維持管理に携わっていました。完全に仕事中心の生活で、全国を飛び回る毎日が続き、自宅にもほとんど帰っていないような日々を過ごしていました。

しかし、サラリーマン生活16年目に、高い報酬よりも精神の安定を欲するようになり、ふるさとの吉田町へ帰りました。

私の実家は元々農家で、桑高農園を運営していました。私はコンピューターから、文字通り畑違いの、米と野菜を相手にする生活を始めました。

その頃、ヨーロッパで修行してきた料理人が、日本に戻って学んだ料理を作ろうとすると、種類によっては野菜が手に入らないという事態が複数起こっていました。そこで、藤枝にあったビストロサリューという店のシェフから私の父に、そうした野菜を栽培してほしい旨、依頼がありました。

それをきっかけとして、様々な料理人からの要望に応え、栽培する野菜を増やしていきました。

桑高農園では野菜の発送もしていますが、近隣の料理人の方たちは、桑高農園を訪れては、自ら野菜を吟味して収穫していきます。収穫した野菜の量は自己申告制で、お互いの信頼関係に基づいた方法をとっています。

今では、年間約70種類の野菜を栽培し、吉田町をはじめ、藤枝市、焼津市、静岡市、東京等の料理店とも取引するようになってきました。

日々珍しい種を探すうち、山形の庄内地方を食で盛り上げている奥田政行シェフとも知り合いになり、桑高農園の野菜を送るようになりました。

このように全国区になってきている桑高農園の野菜ですが、収益の主力を担っているのは、昔ながらのレタス、米、とうもろこしです。そうしたメインの作物がしっかりしているからこそ、料理人のニーズに応じた多彩な野菜の栽培に挑戦できるのです。

大井川の伏流水がはぐくむ、野菜の味わい

カリフラワーを収穫する桑高さん

桑高農園では、大井川の伏流水からなる用水を引いており、その水を直接使って野菜を栽培しています。その効用で、すっきりとした味が生まれます。また、桑高農園の農地は水はけが良いので、水が滞留して古くなることがなく、常に新鮮な状態で供給されます。その代わり、肥料が抜けるのも早くなるので、その分コストがかかるという面もあります。

肥料は、野菜の状態に合わせて有機、化学の両方を使用しています。私のモットーは

「美味しい野菜づくりにこだわる」ですので、最もおいしくなるよう、野菜の顔色を見ながら水をやったり、適した肥料を施したりしています。

地産地消の共同配送システム「やさいバス」

やさいバス株式会社が運営するやさいバスは、生産者と飲食店をつなぐ役割を担って運用されています。各生産者が自身で値付けした野菜をWEB上に出品し、飲食店等の購買者からメール又はLINEで注文が届いたら、野菜をやさいバスのバス停に持って行き、やさいバスに配送を依頼します。購買者は、近くのバス停でやさいバスから野菜を受け取ります。

やさいバスの運行エリアは、近隣地域内です。配送料金は宅配便の3割程度と、格段に安いことが強みです。

私は、やさいバスが実証実験を行っている時点から、生産者として参加していました。実証実験の開始から3年目には、民間企業にいた頃の経験を活かし、システムエンジニアとして仕様設計を行ったりもしました。

ここ3年はコロナの影響で飲食店からの注文は減ったのですが、一方で松坂屋、SOGO広島といった大手の取引先とつながることができました。

やさいバスは他県にも広がり、今では14都道府県で展開しています。

地域に野菜の素晴らしさを広めたい

桑高農園では、20年ほど前から、吉田町内すべての保育園にとうもろこしをプレゼントしています。地元でおいしい野菜を作っていることを、子どもたちに知ってもらいたい思いから、ずっと続けています。

他に、牧之原中学校にて社会科の授業にWEB会議で参加をしました。農業の問題点だけでなく、農業の良さ、魅力も知ってほしいと願うからこそ、参加をしています。

今後挑戦していきたい取組

現在の桑高農園は家族経営なので、雇用型の経営に転換していく必要があると考えています。並行して、日本ではまだ少量しか生産されていない野菜の品種を、飲食店のためにもっと増やしていきたいと考えています。

また、民間時代に身につけたITスキルを活かして、野菜を直売するサイトも、より使いやすく改良していきたいと考えています。

吉田町のここが好き!

吉田町の人は、良い意味でのんびりしているところが美点だと思います。先輩の農家の方も、人懐こくて優しく、私のような農業未経験者もすぐに受け入れてもらえました。

また、コンパクトな町なので、地元は皆、顔の見える関係です。中学校が町に1校しかないので、みんなが同級生、同窓生です。

このページに関するお問い合わせ

中部地域局地域課
〒426-0075 藤枝市瀬戸新屋362-1 藤枝総合庁舎2階
電話番号:054-644-9102
ファクス番号:054-645-1152
chubu-chiiki@pref.shizuoka.lg.jp