第19回電球製造会社がきのこ栽培?イノベーションの記録に迫ります

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ページID1043801  更新日 2023年1月20日

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島田市で異業種への挑戦を続ける、株式会社大井川電機製作所

写真:作業着姿の佐々木社長・宮田部長


こんにちは。静岡県中部地域局です。
地域活動に取り組む方々にスポットを当て、地域と関わるようになったきっかけや活動内容について、中部地域局の職員がインタビューし、みなさんに情報をお届けします。
第19回となる今回は、島田市の川根地区で、それまでの主力商品とは異業種のハナビラタケを栽培・販売する取組を拡大している、株式会社大井川電機製作所の佐々木孝行代表取締役社長(写真左側)と、宮田健二取締役技術部部長(写真右側)に、インタビューしました。

電球製作会社がきのこ栽培!イノベーションが起こるまで

写真:本社工場の外観


株式会社大井川電機製作所では、主に自動車用を中心とする白熱電球の生産を行っています。しかし、近年のLED化への流れで受注は減少傾向にあります。このことを見越して、2014年に社内でプロジェクトチームを結成し、電球にとらわれない新業種への参入を検討し始めました。
そこで話題になったのが食品で、チョウザメやわさびなども候補に上がりました。他にも様々な野菜を検討しましたが、植物工場を始めるのは困難という結論に傾きつつあったところで、浮上したのがきのこでした。きのこであれば、小規模な屋内で栽培が可能だと考えたのです。
ただし、普通のきのこの栽培に参入しても、市場が成熟しているため、新参者が苦戦するのは明らかでした。そこで、標高1,000mほどのカラマツの根元や切り株に発生する、「ハナビラタケ」というきのこに目を付けました。栽培の難度は高いですが、競合者が少ない点に希望が持てると考えたのです。
2014年の夏に、ハナビラダケの栽培研究が本格的にスタートしました。1年後には試作用設備の準備が終わり、試作を始めました。ハナビラタケを育てるには、「菌床」が必要なのですが、非常にデリケートな取扱いが必要で、余分な菌をしっかりと殺菌しておかなくてはなりません。電球の製造で使っていた乾燥炉を転用して使ってみましたが、かびが発生するなどの問題が出て、試行錯誤を繰り返しながら、うまくいくまでに3年を要しました。
生産がうまくいくようになってくると、次はどこへどのように売るのかということを考えなくてはなりません。この販路開拓の問題に取り組み、解決してくださったのが、島田市出身の農産物営業代行事業者である大畑悠喜さんでした。これはまさに運命の御縁だと思っています。

写真:ホホホタケ工場の外観


2020年には、島田市落合にあった元茶工場の建物を購入、改築して本格的なハナビラタケの生産を始めました。商品名も、親しみやすい「ホホホタケ」としました。
ホホホタケの生産が軌道に乗るまでには、色々な困難や、試行錯誤がありました。そのたびに、種菌メーカーが知恵を貸してくれたり、前述した大畑さんに出会えたり、勇気を出して踏み出してみると、人の縁が後押ししてくれるということがあったと思います。
ホホホタケは、今では東京の豊洲市場や大田市場、大阪など、全国に販路が広がっています。また、浅草の高級すきやき屋や、料亭で使っていただいて好評を得たり、伊勢丹に置いてもらったりもして、高級化路線でも成果を上げています。

写真:白色のホホホタケの外見

当社に、伝統的に地元の方が多い訳

株式会社大井川電機製作所は、元々東京で電球の口金を製作していた会社が、電球本体を製作するために、五十数年前に島田市川根に工場を作ったのが始まりです。
当時は、お茶の栽培が今よりも盛んでしたが、農閑期には地域の方の手が余っていました。そこで、その方達を雇用したのが地域の方を中心とした社員構成の始まりです。
その後も、地域のお茶の生産が縮小して、お茶に携わってきた方々が当社に移ってきています。当社でも、地域の雇用維持を常に念頭に置いて、新事業に挑戦しています。

「ホホホタケ」をみんなに食べてもらいたい!

写真:ホホホタケのパッケージ


全国に出荷を始めたホホホタケですが、知名度はまだまだ伸びしろがあると考えています。日本人みんなが、ハナビラタケというきのこがあって、そのブランドがホホホタケということを知っているという状態までいくことが理想です。
マイタケやエリンギのように、昔はマイナーでしたが、現在は普及したきのこの例もあるので、そうした路線でいきたいと考えています。
また、売り方も工夫したいところです。富山や群馬にもハナビラタケの産地があるのですが、生産が安定していないと、問屋に買いたたかれてしまうのです。常に安定した生産と供給が約束できるからこそ、安定した価格で買い取ってもらえるのです。
ホホホタケは、味や香りの良さはもちろん、そうした安定供給できる体制を確立することで、他のハナビラタケと差別化できると思います。
何より、一度食べていただければ、ホホホタケのおいしさが分かっていただけると確信しています。

島田市のここが好き!

いい意味で田舎なゆえに、素朴でいい方が多いと思います。普段はのんびりしているようで、困った時には驚くような瞬発力があります。本社の従業員の方も、いざという時には部署を越えて協力し合うことができ、皆で力を合わせて課題を乗り越えていくことができます。
環境面では、本社のすぐ後ろを、大井川鐵道さんのSLが通っているところがすごいですね。ここならではの魅力だと、いつも感じています。
また、シカ肉、イノシシ肉などを使ったジビエ料理が、この地区の持つ豊かな自然ならではの味だと思います。

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