第12回焼津の伝統から学び、伝えるSDGs
焼津市の「株式会社岩清」の岩﨑智子さん
こんにちは。静岡県中部地域局です。
地域活動に取組む方々にスポットを当て、地域と関わるようになったきっかけや活動内容について、中部地域局の職員がインタビューし、みなさんに情報をお届けします。第12回となる今回は、焼津市本町にある、創業180年以上の歴史を持つ水産加工会社「岩清(いわせい)」の岩﨑智子(いわさきともこ)取締役(写真左)にインタビューしました。
焼津の伝統から学び、伝えるSDGs
元々、当社の社長が焼津水産高校の出身だったことがきっかけで、4年前から焼津水産高校の講座に協力させていただいています。座学での授業もしておりますが、やはり現地を知っていただく見学会が好評をいただいています。
具体的には、20~40名ほどの生徒さんに、当社の保存倉庫や大型冷蔵庫の見学に来ていただき、座学では伝わらない設備の体験に活用していただいています。当社は古くから焼津に根付き、焼津とともに歴史を刻んできましたので、現場を見ていただくことが少しでも地域への貢献になればと考えています。
そのほかに、静岡福祉大学に招かれて、150人ほどの学生の皆さんに、SDGsの講義をさせていただいています。私は大学を出た後、外資系の企業に勤務していたのですが、縁あって焼津にUターンしてまいりました。
前の会社に勤めていた際に、多彩な国籍の方と接し、それぞれのバックボーンに大切な文化があることを学びました。そうした互いの文化を尊重し、共に発展していくためには、SDGsに沿った活動が必要になります。SDGsは国連が提唱した目標ですが、今、世界中でその理念に共鳴した動きが強まっています。
SDGsというと、とても高邁な理念に基づく高いハードルの集合のように感じてしまう方も多いと思いますが、実は焼津では昔からそうした取り組みができていたことに気づきました。具体的には、捕れたカツオを食べるだけでなく、残滓を肥料に活用して、まったく捨てるところのない完全な活用を実現していました。こうしたお話しを講義に織り込んで、学生の皆さんに少しでもSDGsを身近に感じていただけるようにしました。
また、SDGsには平等の実現などの人権尊重の理念も含まれていますが、これも本来日本人が持っていた思いやりの心を忘れずに人と接すれば、おのずと実現できることにも気がつきました。こうした気づきを、今後とも学生の皆さんに伝えていきたいと考えています。
これからの社会に向けて、岩清ができること
高齢化社会に対応していくためには、ウェルネス系QOL(クオリティオブライフ)を意識したものづくりが必要になります。岩清では、子どもや魚が苦手な方でも食べやすい、粉末状にした鯖節が麺に練り込まれた鯖ラーメンのほか、シニア層の方でも安心して召し上がれるように、減塩魚介ラーメンを開発しています。
また、静岡県水産技術研究所と共同で、中東向けの「ハラール対応鯖ラーメン」を開発しました。昔ながらの水産加工技術を応用することで、これからも社会のニーズに沿った商品を提供していければと考えています。
海から眺める、雄大な富士山
私は中学から静岡市の学校に通っていたこともあり、故郷である焼津についてよく知っていると言える自信がありません。でも、岩清の工場から見える富士山は、裾野まで雄大に広がっていて大好きです。今は目の前の仕事が忙しく、地域の方と交流する余裕がなかなか持てませんが、地域のお祭りに氷を提供するなど当社が昔から続けてきたことを通して、少しでも生まれ育ったふるさとに貢献できればと思っています。
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