医薬品・医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準(GMP)について

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ページID1025365  更新日 2023年1月13日

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医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準は、平成5年より、医薬品、医薬部外品の製造業の許可要件として制定された厚生労働省令です。

また、平成17年度の薬事法改正に伴い、医薬品等の製造販売承認の製造所における承認要件となりました(薬事法第14条)。

GMP(Good Manufacturing Practice)

医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第179号)

GMP三原則

  1. 人為的な誤りを最小限にすること。
  2. 製品の汚染及び品質低下を防止すること。
  3. 高い品質を保証するシステムを設計すること。

適用範囲(薬事法施行規則第96条)

医薬品・医薬部外品(各々別途指定したもの)の製造業者又は認定を受けた外国製造業者は、その製造所における製造管理又は品質管理の方法を、薬事法第14条第2項第4号に規定する基準に適合させなければなりません。

体外診断用医薬品については、医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(QMS省令)が適用となります。

医薬品

次に掲げるものを除いた医薬品

  1. ねずみ等の駆除又は防止のために使用され、人体に直接使用しない医薬品及びその原薬
  2. 滅菌又は消毒のために使用され、人体に直接使用されない医薬品及びその原薬
  3. 生薬の粉末化、又は刻む工程のみの医薬品
  4. 薬局製造販売医薬品
  5. 医療用ガスで厚生労働大臣が指定したもの
    (亜酸化窒素、酸素、窒素、二酸化炭素、亜酸化窒素及び酸素の混合物)
  6. 日本薬局方に掲げられ、人体に対する作用が緩和で厚生労働大臣が指定するもの
    (アラビアゴム、アラビアゴム末、白色ワセリン、親水ワセリン等)

医薬部外品

薬事法施行令第20条第2項の規定により製造管理又は品質管理に注意を要するものとして厚生労働大臣が指定したもの

主な要求事項として

  1. 製造部門と品質部門の設置
  2. 製造管理者(責任技術者)の業務
  3. 職員の配置(GMP組織)
  4. 製品標準書の整備
  5. 手順書等の整備
  6. 構造設備の管理
  7. 製造管理
  8. 品質管理
  9. 出荷管理
  10. バリデーションの実施
  11. 変更管理
  12. 逸脱管理
  13. 苦情処理
  14. 回収処理
  15. 自己点検
  16. 教育訓練
  17. 文書・記録管理

業務を実施するポイント

(1)製造部門と品質部門の設置

製造業者等は、製造所ごとに製造部門と品質部門を設置し、それぞれ製造所の組織、規模及び業務の種類に応じて責任者を置き、また、製造・品質に係る業務を適切に実施しうる能力を有する人員を十分に確保しなければなりません。

また、品質部門は、品質保証(QA)と品質管理(QC)から成り立つのが望ましく、製造部門からは独立していなければなりません。

(2)製造管理者(責任技術者)の業務

製造管理者(医薬品)又は責任技術者(医薬部外品)の業務で行わなければならないのは、次のとおりです。

  • (ア)製造・品質管理業務を統括し、適性かつ円滑な実施が図られるように管理する。
  • (イ)品質不良その他製品の品質に重大な影響が及ぶおそれがある場合においては、所要の措置が速やかに採られていること及びその進捗状況を確認し、必要に応じ、改善等所要の措置を撮るよう指示する。
    1. 製造管理者の資格→薬剤師(薬事法第17条第3項)または薬事法施行令第88条に掲げる者。
    2. 責任技術者の資格→薬事法施行令第91条に掲げる者。

(3)職員の配置(GMP組織)

製造管理者(責任技術者)、製造管理責任者、品質管理責任者等の製造管理及び品質管理教務を適性かつ円滑に実施しうる能力を有する責任者を、製造所の組織、規模及び業務の種類に応じて適切に設置し、その氏名や役職、会社全体及び製造所全体での位置などを文書及び組織図等からGMPを円滑に遂行する上で支障がありそうな点がないか確認できるようにしてください。

また、製造管理者(責任技術者)が製造所内の組織最高責任者(工場長など)になっていない場合には、書類等で製造管理責任者(責任技術者)が必要な権限を有していることが確認できるようにしなければなりません。

(4)製品標準書の整備

製品標準書は製造所ごとに作成し、品質部門の承認を受け、医薬品等の品目ごとに作成します。

  • (ア)製造販売業者との取決め事項、品質標準書との整合性→製造工程、製造方法、試験方法など
  • (イ)承認事項との整合性→名称、成分、試験方法、製造方法、規格、有効期限、用法・用量など
  • (ウ)製造指図書との整合性→剤形、外観、ロット番号、製造手順、原料の名称・配合量・仕込量など
  • (エ)原料、資材及び製品の試験検査記録との整合性→試験検査項目、検査結果の判定方法など

(5)手順書等の整備

製造業者は製造所ごとに次に掲げる基準書と手順書を作成し、保管しなければなりません。また、各基準書、手順書の内容に伴ってその記録の管理も必要となります。

  • (ア)衛生管理基準書(構造設備及び職員の衛生管理)
    作業環境の清浄管理。作業員の健康管理及び安全管理。構造設備及び作業室の清浄・整理整頓。服装及び入退室基準。作業室内での行動基準。防虫対策。
  • (イ)製造管理基準書(製品等の保管、製造工程の管理など)
  • (ウ)品質管理基準書(検体の採取方法、試験検査結果の判定方法など)
  • (エ)製造所からの出荷の管理に関する手順
  • (オ)バリデーションに関する手順
  • (カ)変更管理に関する手順
  • (キ)逸脱管理に関する手順
  • (ク)品質等の情報の処理に関する手順
  • (ケ)回収処理に関する手順
  • (コ)自己点検に関する手順
  • (サ)教育訓練に関する手順
  • (シ)文書及び記録の管理に関する手順

(6)構造設備の管理

GMPハードと称される設備基準で、薬事法第13条の規定により医薬品(医薬部外品)の製造業の許可要件とされ、GMP省令及び「薬局等構造設備規則」中に規定されています。また、原薬GMPガイドライン(ICHQ7A)として国際基準でとりまとめられたものを標準的なものとしています。

  • (ア)GMP省令→製品等はロットごとにそれぞれの保管条件に従って品質に影響のないように、また資材は管理単位ごとに適正に保管する。
    第9条→製品の製造所の構造設備
    第23条→無菌医薬品の製造書の構造設備
    第26条→生物由来医薬品の製造書の構造設備
    第32条→医薬部外品の構造設備(第9条を準用。ただし、第5号を除く。)
  • (イ)薬局等構造設備規則→製品等及び資材を区分して、衛生的かつ安全貯蔵するために必要な設備を有する。
    第2章第1節→医薬品
    第2章第2節→医薬部外品

Q7Aより

こちらはあくまでもガイドラインとしての参考事項ですが、GMPの要求事項に準じたものとなっています。

構造及び設備
  1. 構造設備は、清掃・保守・作業が容易で汚染防止した設計と建設をする。
  2. 混同及び汚染並びに交叉汚染防止のため適切な面積を有する。
  3. 原材料等及び作業員の動線を考慮して設計する。
  4. 指定事項については、特定の作業区域又はその管理体制を設ける。
  5. 適切で清潔な手洗い設備及びトイレット設備を従業員に用意する。
  6. 必要な場合、装置、原料、製品等の汚染を防止するための適切な殺鼠剤、殺虫剤、防かび剤、燻蒸剤及び清掃消毒剤の使用に関する文書による手順を設定する。

(7)製造管理

製造管理基準書、製品標準書及び衛生管理基準書などの手順書等に基づき、具体的に製造作業を行うために、標準作業手順書(SOP)、製造指図書、製造記録書など必要な書類を作成し、保管管理します。製造記録はロットごとに、追跡可能性(トレーサビリティ)、製造数量、出荷承認数量を含めた記録を作成することが求められます。

  • (ア)原材料等の管理
  • (イ)ユーティリティ・製造用水
  • (ウ)工程装置
  • (エ)製造及び工程内管理
  • (オ)包装及び表示
  • (カ)保管及び出荷

(8)品質管理

品質管理基準書、製品標準書、衛生管理基準書及び関連する標準作業手順書などの手順書等に基づき、計画的に試験検査を行うために、製品等の試験検査計画書(試験検査指示書、試験検査依頼書)や試験検査記録書(試験検査性関所)、検体の採取記録、参考品の検査記録、試験検査器具類の点検整備記録などを作成し、保管管理します。

標準作業手順

  • (ア)検体採取(サンプリング)
    製品等→ロットごとに試験検査を行うに必要な検体を採取する。
    資材→管理単位ごとに試験検査を行うに必要な検体を採取する。
  • (イ)一次標準品、二次標準品の管理
  • (ウ)試薬・試液の調整、表示、使用期間認定→試薬・試液、標準品は購入日、使用期限等を表示する。
  • (エ)参考品の保管管理→参考品の保管条件は、製品の指定保管条件と同様とする。
  • (オ)試験機器の点検・清浄化とその確認→必要な設備、器具はあるか。
  • (カ)計測機器の校正→重要な装置、計測器は校正シールを貼付し、校正結果、次回校正予定日等により、校正に係る現状を認識する。
  • (キ)生データの保存方法
  • (ク)逸脱時の調査報告
  • (ケ)再サンプリング・再試験の実施要否検討
  • (コ)試験検査業務等の衛生管理
  • (サ)試験検査の変更手順
  • (シ)試験検査結果の判定手順→日本薬局方の遵守、期待される結果。

(9)出荷管理

品質部門は出荷の管理に関する手順書に基づき、製造管理及び品質管理の結果を適切に評価し、製造所からの出荷の可否についての業務を行います。

(ア)出荷判定状況

  1. 出荷の可否の判定を決定するの者は、当該業務を適性かつ円滑に実施しうる能力を有する者で、支障が生ずることがない者。→製造管理者、品質部門責任者等
  2. 出荷判定者の決定が適正に行われなければ製造所から出荷はできません。
  3. 各製造記録及び製品の試験記録についても出荷判定者の確認が望ましいです。

(イ)製品の出荷状況

製品の出荷可否の判定年月日と製品の出納記録との間に整合性がなければなりません。

(10)バリデーションの実施

製造業者は、あらかじめ指定した者(バリデーション責任者)に、バリデーションの責任者の業務、各バリデーションの実施時期、計画書の作成、実施結果の報告等について定めさせます。

(ア)バリデーションの対象

製造工程、製造用水供給システム、空調管理システム、洗浄等作業、コンピュータシステム、試験法など。

(イ)バリデーションの実施時期

  1. 当該製造所で、新たに医薬品(医薬部外品)の製造を開始するとき。
  2. 製造手順等に製品の品質に大きな影響を及ぼす変更があるとき。
  3. その他必要なとき。

(ウ)バリデーションの文書化

バリデーション実施計画書により、実施するバリデーションの種類(回顧的、予測的、コンカレントなど)、工程の稼動回数、重要工程及び判定基準等、バリデーションをどのように行うかについて明示し、バリデーション報告書により、得られた結果を要約し、期待される結果が得られていることを検証し、品質部門へと報告します。

(エ)適格性

プロセスバリデーション実施前に、重要な装置及び付帯設備の適格性を確認する。

(オ)プロセスバリデーション

予測的バリデーション、工程管理の定期照査、変更時の再バリデーション、定期的な再バリデーション、回顧的バリデーション、コンカレントバリデーションなど必要に応じて実施する。

(カ)洗浄バリデーション

当該作業を実施することで製品への汚染が十分防止できることを検証する。

(11)変更管理

製造業者は、あらかじめ指定した者(変更管理責任者)に、工程管理が継続的に実施されていることを保証するため、医薬品(医薬部外品)の品質に影響を与える可能性のあるすべての変更事項を対象として評価させます。変更内容によっては、承認の変更、一部変更が必要となります。

(ア)変更による製品の品質への影響を評価

それをもとに変更を行うことについて品質部門の承認を受け、記録を作成し、保管する。

(イ)変更に伴う措置

関連する文書の改訂、職員の教育訓練、その他所要の措置。

(ウ)製造販売業者への連絡

連絡責任者を通して事前に変更の承認をとる。

(エ)必要に応じて変更時の再バリデーションを行う。

バリデーションを行った工程がある場合。

(12)逸脱管理

製造業者は、あらかじめ指定した者(逸脱処理責任者)に、製造手順等からの逸脱が生じた場合の記録、品質への影響の評価、所要の措置等を行わせます。逸脱の内容によりますが、こちらも変更管理と合わせて、必要に応じて承認事項の変更の手続きを行います。

(ア)逸脱の内容の確認

逸脱の内容について記録する。また、あらかじめ設定したランク別に分類分けするのが望ましい。ランクの決定は、責任者による会議や、逸脱処理責任者単独の決定などがある。

(イ)重大な逸脱が生じた場合

製品の品質への影響を評価し、必要な措置をとり、その結果及び措置について記録を作成し、保管するとともに、品質部門に対して文書により報告する。そして、報告された評価の結果及び措置について、品質部門の評価を受ける。品質部門は、報告された内容及びその評価についての記録を作成・保管し、製造管理者(責任技術者)に文書で報告する。

(ウ)製造販売業者への連絡

逸脱管理の結果を、連絡責任者を通して報告する。

(13)苦情処理

製造業者は、製造に係る品質等に関する情報を得た時、あらかじめ指定した者(品質情報・品質不良責任者)に、原因を究明し所定の改善措置を行わせます。

(ア)原因究明

社内、製造所内における連絡の方法及びその対処方法など品質情報等の処理を適切に行うために必要な事項を手順書内に記載する。

(イ)品質情報等の記録

苦情などの内容、原因究明の結果及び改善措置の内容など、原因等が判然としないまま放置されないように記録する。

(ウ)報告の確認

報告について品質部門及び製造販売業者の確認を受ける。

(14)回収処理

製造業者は、製品の品目等に関する理由により回収が行われるとき、あらかじめ指定した者(回収処理責任者)に、回収品の保管等、適切に処理させます。製造販売業者との取決め事項による処理方法を、手順書内に記載しその記録を作成します。当該製造所に起因した回収の場合、記録は品質部門及び製造管理者(責任技術者)に文書で報告します。

(15)自己点検

製造業者は、製造所において、医薬品(医薬部外品)の製造管理及び品質管理が適切に行われているかを、あらかじめ指定した者(自己点検責任者)に定期的に評価させます。適度な実施頻度及び実施範囲、その結果の報告方法、記録方法などを手順書内に記載する。自己点検の結果は製造管理者(責任技術者)へと報告します。

(16)教育訓練

製造業者は、あらかじめ指定した者(教育訓練責任者)に、製造・品質管理業務に従事する職員に対して、製造管理・品質管理に関する教育訓練を計画的に実施させます。教育訓練の実施頻度及び研修対象者の範囲など教育訓練を適切に行うために必要な事項を手順書内に記載する。訓練の内容は記録に残る方法が望ましい。教育訓練結果の記録は製造管理者(責任技術者)へと報告します。

(17)文書・記録管理

製造業者は、文書及び記録についての承認、配布、保管等について、あらかじめ指定した者(文書・記録管理責任者)に実施させます。各種の文書には適切な製造管理及び品質管理を行う上で必要な事項が規定され、矛盾がなく、第三者的な立場で見ても理解出来るような文書でなければなりません。GMPに規定される文書及び記録は、作成の日から5年間保存します。

まとめ

人の記憶はあやふやで、思い込みなどから間違いや錯覚を起こします。また、慣れてくると省略や手抜きもしますし、人との情報の伝達や指示は、本人が思っているほど伝わっていません。

これらの間違いをなくすために、文書による指示や報告、記録が必要となります。また、定められた手順で作業を正確に行うこと、作業内容を定期的に確認することが、医薬品、医薬部外品の高い水準を保つことにつながります。それらを規定しているのがGMPなのです。

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