漁業高等学園 エリート漁業者の養成校

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ページID1067939  更新日 2024年12月4日

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 漁業は、魚介類や海藻類などの水産物を採捕して安定的に供給する役割を担う静岡県の基幹産業の一つです。
 しかし漁業現場では、漁業就業者の減少のほか、大型漁船の操業に必要な海技士資格者(船長、機関士など)も高齢化が進んでおり、未来の漁業を担う若者の育成が重要な課題となっています。
 静岡県では、漁業を志す若者を対象に、全寮制の1年間で漁業の基礎知識と技術を身につけ、漁業に必要とされる資格取得を支援する職業訓練校「漁業高等学園」を運営しています。

写真1 漁業高等学園全景
写真1.漁業高等学園全景

<県立漁業高等学園での授業や実習の内容>

 学園では、漁業者として求められる安全な操業技術の習得、様々な漁業種類の理解及びエリート漁業者として必要とされる資格の取得を重点的に学ぶことができるカリキュラムを用意しています。
 また、大型漁船の運航を担う甲板部員を目指す航海専攻とエンジンなどの保守点検を担う機関部員を目指す機関専攻に分かれて、それぞれの専門科目を修得していきます。

1.安全な操業技術の習得

 生徒が漁業に就労してからケガなどをしないように、船から落ちないこと、ロープの扱いに気をつけること、仲間との意思疎通を図ることなどの船上での基本的な動きを徹底して教えています。

写真2、3 生徒がロープの扱いを習う様子
写真2、3.生徒がロープの扱いを習う様子

2.多様な漁業種類の理解

 沿岸、沖合及び遠洋といった操業する海域、漁法の違いにより、航海日数、1航海あたりの操業日数や1回の操業に要する時間が違うことを、座学だけでなく、漁業体験実習や卒業生が案内する漁船見学などの実体験により学んでいます。
 これは、操業に対する生徒のイメージと現実が乖離することを防ぐ重要な課程で、これにより就業後に離職する割合が低くなっています。

写真3、4 漁業体験実習と漁船見学
写真3、4.漁業体験実習と漁船見学

3.海技士資格の取得支援

 学園では設立初期から大型漁船の運航に必要不可欠な資格である海技士資格の取得を支援するカリキュラムを組んでいます。このような取組は、全国的に珍しく、当学園の特徴の一つとなっています。
 海技士資格の取得には、乗船履歴、筆記試験、身体検査、口述試験の4つの要件があります。身体検査と口述試験の受験には、必要な乗船履歴を有すること、筆記試験に合格していることが条件となります。働きながらの勉強は時間や労力の面で大きな負担となるため、当学園では、在籍中の筆記試験合格を目指した指導を行っています。

4.その他

 海技士資格以外にも、小型漁船を操縦するための小型船舶操縦士資格、漁船に備え付けられた無線機を取り扱うための海上特殊無線技士資格などの漁業者として必要となる資格を在学中に取得出来るようなカリキュラムを用意しています。

<海技士筆記試験合格状況と卒業生の進路>

 当学園では、これまでに延べ581名が海技士筆記試験に合格しています。内訳は、海技士(航海)347名、海技士(機関)234名で、上位資格の合格割合が増加傾向です。
 また、漁業会社による企業説明会を開催するなど、生徒の就職に向けた支援も行っています。
 学園の設立から昨年度までに1,028名の卒業生を輩出しています。内訳は、遠洋漁業に506名、沖合漁業に417名及び沿岸漁業に105名と卒業生全員が漁業会社に就職しました。遠洋や沖合で操業する大型漁船への就職が多くなっています。
 漁業種類別では、遠洋と沖合のかつお一本釣り漁業に529名と半数超が、遠洋まぐろはえ縄漁業に208名、大中型まき網漁業に121名となっています。
 これまでの就職率は100%であり、これは当学園の卒業生がエリート漁業者の卵として漁業会社から大きく期待されていることの表れと考えています。

表1 設立から54期生(令和5年度卒業)までの卒業生の進路

表1 設立から54期生(令和5年度卒業)までの卒業生の進路

 これからも、卒業生が漁業の現場に対応したエリート漁業者となるように、学園の運営を行なっていきます。
 漁業を職業としたい方は、是非とも、当学園の見学説明会やオープンキャンパスに参加して、学園で1年間学ぶことを将来の選択肢として考えてみてください。

内容に関するお問い合わせ

静岡県立漁業高等学園
住所:〒425-0033 焼津市小川3747-2
電話番号:054-627-0219
メール:gyogaku@pref.shizuoka.lg.jp