女性をめぐる人権問題
男女が、お互いにその人権を尊重しつつ責任を分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現を、21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付けた「男女共同参画社会基本法」が平成11年(1999年)6月に制定されました。また、「男女雇用機会均等法」など様々な法制度の整備が画期的に進められてきました。
しかし、依然として性別による固定的な役割分担意識は根強く、それに基づく社会慣行の是正や政策及び方針の決定過程への女性の参画促進など多くの課題が残されています。
さらに、配偶者からの暴力(注1)、セクシュアル・ハラスメント(注2)等の問題や、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)(注3)の尊重など、新たに対応すべき課題が生じています。
- 性別による固定的な役割分担意識にとらわれない人の割合は全国で48.9%(平成16年(2004年)内閣府世論調査)ですが、本県では37.7%(平成17年(2005年)男女共同参画に関する県民意識調査)となっています。
- 本県の配偶者からの暴力の相談及び一時保護件数は、配偶者暴力防止法の制定により相談体制が整った平成13年度から急増しており、本県が平成17年(2005年)に行った「男女共同参画に関する県民意識調査」では、女性の5.9%が暴力を受けたと回答しており、潜在的には多数存在すると思われます。
- 職場におけるセクシュアル・ハラスメント(2)についての相談件数も、静岡労働局によると、ここ数年、年間120~180件程度で推移しています。
平成13年(2001)年7月、県では、男女が互いにその個人としての人権を尊重し、社会の対等な構成員として、自らの意思により社会のあらゆる分野における活動に参画し、共に責任を分かち合う男女共同参画社会の実現に向けて、その取組を一層強く推進するために、「静岡県男女共同参画推進条例」を制定しました。
また、静岡県総合計画の中に、健康で心ふれあう“安心社会”づくりを進めるための男女共同参画の推進を位置付けました。
平成15年(2003年)1月には、同条例に基づき、「男女共同参画社会基本法」で示された、男女の人権の尊重や社会における制度又は慣行についての配慮などの基本理念にのっとり、新たに「静岡県男女共同参画基本計画」を策定し、県の基本的施策を総合的かつ計画的に推進しています。
そして平成18年(2006年)4月には、静岡県DV防止基本計画を策定しました。
男女の人権がともに尊重された、男女平等の社会を実現されるよう、私たち一人ひとりが、性別による固定的な役割分担意識を見直していく必要があります。
※注
(1)配偶者からの暴力
配偶者・パートナーからの身体的・精神的な暴力のことです。単に殴る蹴る等の身体的暴力だけでなく、威嚇(いかく)、無視、行動の制限など、心理的な苦痛を与えることも含まれます。
配偶者暴力防止法では、配偶者からの暴力を次のように定義しています。
- 暴力の相手方:配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)及び元配偶者
- 暴力の内容:身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動(保護命令、警察からの援助に関しては、身体に対する暴力のみが対象)
(2)セクシュアル・ハラスメント
性的な言動に対する相手方の反応によって不利益を与え、または性的な言動により相手方の生活や環境を害すること。
(3)リプロダクティブ・ヘルス/ライツ
平成6年にカイロで開催された国際人口・開発会議において提唱された概念。
リプロダクティブ・ヘルスは、個人、特に女性の生涯にわたる健康の自己決定権を保障する考え方。リプロダクティブ・ライツは、それを全ての人々の人権と位置付ける理念。
リプロダクティブ・ヘルス/ライツの中心課題には、いつ何人子どもを産むか産まないかを選ぶ自由、安全で満足のいく性生活、安全な妊娠・出産、子どもが健康に生まれ育つことが含まれている。
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