企業と人権
企業も、社会との関わりの中にある「企業市民」であり、社会の構成する一員です。
また、その関わりも、消費者、取引先、地域社会、そこで働く従業員など幅広いだけでなく、活動範囲も広範囲に及ぶため、影響力も大きく、その社会的責任も求められています。
そこには、消費者や株主といった直接的な関係を持つ人々をはじめとして、従業員や取引先、地域住民など多くの関係者に対し、公正な対応することなど誠実な企業経営の姿勢が求められています。
近年、企業による食品表示の偽装、リコール隠し、個人情報の漏洩等の事件の発生を受け、コンプライアンス(法令遵守)、プライバシーポリシー(個人情報保護)等が注目され、企業においても、企業の社会的責任を果たしていくことを企業活動の中心にしていこうという考え方が広がってきました。
世界の動きを見ても、平成11年(1999年)に国連のアナン事務総長が提唱した「グローバル・コンパクト」の中で、「人権・労働基準・環境」に関する9つの原則が示されました。その後、平成16年(2004年)6月に、腐敗防止に関する項目が追加されました。
(人権)
1 国際的に宣言されている人権の保護を支持し尊重する
2 人権侵害に加担しない
(労働基準)
3 組合結成の自由と団体交渉権を実効あるものにする
4 あらゆる種類の強制的労働は排除する
5 児童労働を実効的に廃止する
6 雇用と職業に関する差別を排除する
(環境)
7 環境問題の予防的なアプローチを支持する
8 環境に対して一層の責任を担うためのイニシアチブをとる
9 環境を守るための技術の開発と普及を促進する
(腐敗防止)
10 強要と賄賂を含むあらゆる形態の腐敗を防止するために取り組む
国内においても、企業の社会的責任を自覚し、環境や人権に配慮する企業を積極的に評価して投資する「社会的責任投資」(SRI)の関心が高まっています。
こうした社会的責任に対する市民・従業員・投資家の関心の高まりを受け、平成16年(2004年)5月、社団法人日本経済団体連合会は企業行動憲章を改正し、憲章本体の前文に「人権を尊重」することを明記するとともに、企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)を踏まえて憲章本体を修正しました。
今後も、企業の社会的責任に対する関心は高まっていくものと思われます。
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