人づくりちょっといい話7

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ページID1018530  更新日 2023年1月11日

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子どもを誉めるタイミング

私たちが教育を語るときに、その基本としてよく指摘されるのは、子どもの「つ」がつく年齢に物事を全部教えるということ(「つ」がつく年齢とは一つから九つですね。十歳になると駄目なんです)。「つ」がつく年齢に第1期の人格形成が行われるためですね。江戸時代もそうでした。この時代には、三つで躾、五つで読み書き、七つでそろばんと言ったんですね。昔の人は偉いもんですね。

その「つ」のつく年齢で、一番子どもと接している時間が長いのは、やっぱりお母さんですよね。お母さんが育児を担当される場面がどのご家庭でも多いのですが、私がドキッとする言葉があるんです。「育児は育自である」という言葉です。「自分を育てながら子どもを育てなければ子どもは育たないよ」という意味合いです。実際に教育問題に取り組んでもう3年になりますが、ようやく分かってきました。なるほど、私自分が深く教育を勉強しなければ、教育論なんてやってはいけないということが、勉強をするほど分かってくる。「育てる人に育ってもらう」ということが大切なんですね。面白いことに、お母さんが育っていくと、子どもをどういう風に育てたらいいかがお母さんなりに分かってくるんですね。例えば、長男を育てる場合と長女を育てる場合、あるいは長男を育てる場合と次男を育てる場合。同じじゃないことにお母さんが気が付く。それも育児なんです。

例えば「誉めて育てる」とよく言いますね。いろいろな書物を読んだり成功例を聞いたりしますと、みなさん張り切ります。「庭を掃きなさい」「ペットにえさをやりなさい」と命令して、子どもがちゃんとやると「よくできた、よくやったね」と誉めるでしょう?その誉め言葉は、子どもにはそれほど影響はしないんだそうです。親が言わないのに子どもが実行したことを見て「偉かったね、よく気が付いたね、よくできたじゃない」と言われると、これが子どもの向上心に火を点けたことになるんですね。

課題を与えてそれが全部できたことに対して、誉めないよりは誉める方がいいに決まっていますが、ベタ誉めはしないほうがいい。課題を与えないのに子どもが自ら課題を発見して、そして自分の力で自ら成し遂げた時の「よくやったね」という一言。これが子どもの心を開くというんですね。

ある新聞にこんな投書がありました。小学校5年生のダウン症の子に周りのクラスメイトがとても優しいんです。運動会があって、かけっこをしたらビリなんですけど最後まで走った。そしたら翌日クラスメイトからメッセージが来た。内容は「運動会で止まらずに百メートルをよく走ったね、偉かったね」というメッセージなんです。このメッセージをその子はギューッと手の中に握って、涙を流したんだそうです。心が開かれた一時ですね。

草柳大蔵著「午前8時のメッセージ99話」(H21年発行静新新書)より

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