人づくりちょっといい話33
見逃していた利益を見いだす
まさに、秋たけなわといった感じになってきました。「食欲の秋」「読書の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」など、たくさんの「秋」がありますね。一年の命というものがもえ出して実を結び、静かに冬を迎え、そして眠りに入る。その一番充実した感じが、ヒタヒタと私たちに迫っているようにお感じになりませんか
「食欲の秋」ですが、「健康五食」という言葉があるそうですね。「すこやかに」というのが、「健康五食」なんだそうです。「す」は酢、「こ」はゴマ、「や」は野菜、「か」は海藻、「に」はニンニクです。「普段から食べてるよ」とお思いになるかもしれませんが、この5つの食品が、朝昼晩のどれかの食事に必ず5つそろっている、あるいは昼+夜で5つになるように、この5種類の食品を食べていると「健やかだ」ということだそうです。「血がきれいになる」とか「脂を溶かす」などその効果はいろいろありますが、この「すこやかに」という頭文字だけを取って並べるという、日本人の感覚が面白いですね。
ところで、先日東京宝塚劇場が新しく造られましたが、宝塚少女歌劇というのは小林一三(こばやしいちぞう)という人が始めたんです。大阪のウナギ屋が蒲焼を売るときに、店先に少年合唱隊を呼んでいたのですが、それを三越が真似して、「三越少年合唱隊」というものをつくりました。それを小林一三が聴きにいって、「何て素晴らしい宣伝力があるんだろう。三越がボーイソプラノをやるなら、こっちはガールソプラノでいこう」ということで、女の子だけを集めて童謡を歌わせたのが、宝塚少女歌劇の走りなんですね
この人は阪急電鉄を創立し、その沿線を住宅地として開発しました。新しい住宅が並んで、新しい家族が入ったとき、「一番先に売れるものは何だろう?」と考えたのですが、皆さんは何だと思いますか?最初に小林一三が売って大もうけをしたのが、歯ブラシだったんですよ。歯は毎日磨きますから、新しく入ってきた人たちに売れたんです。これで財を成して、商工大臣にもなりました。
私は、これを教育で使えないだろうか、と思ったんですね。例えば、どうも子どもが元気がない。クラスの子どもがもう1つ元気が出せないで、エネルギーが低い感じがする。それに対して「コラッ!元気を出せ」なんて言いますと、殊に今の子どもは、余計に落ち込んでしまうんですよね。そこで「君たちなら面白いものができるんじゃないか?」というテーマを渡すんですね。それで天下の遺利(みんなが気が付かないで見逃していた利益)というものを、子どもたちの間にも生みださせてみる。殊にこれから総合学習の時間が増え、どう活用するかが問題になっていますが、こういった考え方が1つの突破口になるのではないでしょうか
草柳大蔵著「続・午前8時のメッセージ99話」(2002年発行)より
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