人づくりちょっといい話31

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ページID1018527  更新日 2023年1月11日

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「教育資源」をガラガラポンしよう

小泉内閣に柳沢泊夫(やなぎさわはくお)さんという金融担当大臣がいらっしゃいますね。この方が非常に上手にメッセージを出していらっしゃって、今日本の経済が何をやらなければいけないかということをポンと説明されています。今までの政策は景気回復のためでしたが、これから始まる日本の政策というものは、景気回復ではなくて、構造改革のためにさまざまな施策を致します。そのために辛い思いをする人がたくさん出るようでしたら、その人たちを支えるための財政出動を致します、と言うんです。昔と随分違いますね。一種のメッセージ時代といってもよいだろうと思うのですが、このようなメッセージが教育にもあります。

例えば、学校以外で豊かな経験を持った人たちを特別非常勤講師としてお願いし、お話をしてもらう。学校のある地域の人でもいいですね。私は、タレントさんや有名な方は呼ばない方がいいと思うんです。手垢(てあか)のついた言葉でしゃべったり、自己経験しか語らない場合があると思うからです。そうではなくて、世の中のバランスについての話、あるいは自己経験でも自分が失敗したことや、「悪戦苦闘してようやく今日があるんです」という少年時代の話をしてもらうんですね。このような機会を大いに活用していくこと、社会を教育資源として利用するということを、どうぞ皆さんも一緒に考えていただきたいと思うんです。

また、文部科学省が、同じ地域内にある小中高の先生を兼務させるという案を出しました。つまり、高校の先生が小学校へ来て話す、小学校の先生が中学に来て「うちの小学生が今度こちらの学校へ行きますからよろしくね」と言って、「私は小学校でこんなことを教えてきた。ですから皆さん方はこういうふうに受け取ってください」というように、地域内の小中高の先生たちが、連係して流動化したらどうだろうという案なんですね。これは非常に面白いと思うんですよ。
養護の先生や栄養士の先生、事務職員といった、専門性を持っている職員の方が学校にいらっしゃるわけです。そのような方々に、「自分は一体どうやって栄養学を勉強してきたか」「養護とは一体何か。健常者の社会と養護を要する人の社会との接点は何か」といったことを、例えば社会科で授業をしてもらってはどうかという案も出ました。

そうやって考えると、「教育資源」という言葉に置き換えられるものが、学校の中にもあるし、地域社会や家庭の中にもあるんですね。お父さんもお母さんもお出かけになって、話をしてくださったらいいのではないかなと思うんです。そう、教育資源のガラガラポンです。

教育についてのメッセージ、そのメッセージを探り当てる資源はたくさんあるのです

草柳大蔵著「午前8時のメッセージ99話」(H21年発行静新新書)より

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