第17回『脱炭素社会の形成』
「カーボンニュートラル」は、地球規模の大きなテーマです。
「地球温暖化」という言葉が使われて久しい中、昨年9月1日に、気象庁は、「過去126年で最も暑い夏である」と発表しました。昨年は日本のみならず世界も猛暑となり、気温が50℃を超える都市も複数箇所見られました。こうしたことから国連のグテーレス事務総長が「地球沸騰化」と表現したことは、記憶に新しいことと思います。
地球の気温上昇の大きな要因として、温室効果ガスの排出が挙げられます。そして、その排出抑制は国際的な課題であり、特に先進国に課された使命とも言えます。
2015年、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)が開催され、そこで開催国にちなんで「パリ協定」が採択されました。
その内容は、世界各国で、平均気温の上昇を1.5℃未満に抑える努力をしていくことや、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを実質的な共通目標とするものでした。
しかし、昨年12月にドバイで開催されたCOP28において、現行の各国の取組だけでは気温上昇1.5℃未満の目標が達成できないことが指摘されました。日本は世界をリードすべき先進国として、今後一層、脱炭素の取組を加速していくことが求められているのです。
地方公共団体においても、地球温暖化対策は重要な課題です。
本県も「地球温暖化対策」の目標として「2030年度までに、温室効果ガス排出量を2013年度比46.6%削減」という国を上回る目標を掲げ、全組織一丸となって取り組んでいます。
県は目標達成のための取組の一環として、中小企業の脱炭素化の支援を行っていますが、それだけでは脱炭素化の実践企業数を底上げするには限界があります。そうした中、県内に多くの取引先がある金融機関と協力して脱炭素化を進めることは、非常に効果が期待できると考えました。
県内全13の地方銀行、信用金庫のご協力もあり、去る5月31日に、県も発起人として「しずおかカーボンニュートラル金融コンソーシアム」を設立しました。
ここでは、脱炭素支援に資する人材育成や脱炭素経営の調査・研究、省エネメニューの提供など、中小企業に脱炭素化を普及するための後押しをしていきます。
現在、脱炭素社会を目指す流れの中で、地球環境保全は観念だけでなく、ビジネス上の実利の伴う誘導の仕組みも考えられるようになっています。
一方、文化の持つ意味も、また大きいと思います。
先月、駿府城公園で宮城聡SPAC総監督の演出する「白狐伝」の公演を鑑賞しました。
狐の女王の言葉で「大自然が人間に、与えて、与えて、わずかな見返りも求めない。この大自然の永遠の犠牲が見えますか」というものがありました。
地球環境を考えるきっかけは、日常の様々な機会の中にあります。
すべての人に、地球の現状を見直す契機が訪れることを願います。
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