第16回『スタートアップビジネスプランコンテスト』
先月、3月26日に静岡市内で静岡県主催のスタートアップビジネスプランコンテストを開催しました。
コンテストでは、全国のスタートアップに事業アイデアを募りました。その中で、企業の成長が期待でき、本県の持つ課題解決にも資するものに対して、関係機関が助言や支援を行うなど、その企業の飛躍を県が後押ししていきます。
このコンテストに、なんと全国から254の応募があり、その中の書類審査を通った10企業がファイナルに進み、当日プレゼンテーションを行いました。
どうしてこのコンテストが全国のスタートアップの中で話題となり、多くの企業から応募が寄せられたのか。
やはり、自治体主催としては副賞の賞金が破格の額だったこともあるでしょう。グランプリは1000万円、準グランプリ500万円、3位300万円です。
それによって関心が高まったと思いますが、想像以上に実質的な効果があったと感じています。応募をしてきたスタートアップは高い社会的理念を持っていましたし、しかも事業のレベルが高い企業を多く見いだすことができたからです。
厳正な審査の結果、グランプリは、富士市にある「リッパー」という企業でした。脱炭素社会を実現するという理念のもと、セルロースナノファイバーを用いたタイヤ素材を提案したものでした。内容を少し説明します。
一般的なタイヤはカーボンブラックという石油由来の強化剤を用います。そして、製造・廃棄時に二酸化炭素を多く排出し、加えて粉塵によるマイクロプラスチック汚染が課題となっていました。
その強化剤に木材由来のセルロースナノファイバーを用いることで、環境負荷を減らすことができます。付加価値として色も黒から白になります。ということは何色にもなりうるのでしょう。
嬉しく思ったのは、この企業は受賞した翌月には、静岡市で運営されているシェアサイクルに、この素材のタイヤを用いて実証実験を始めるなど着実に事業としての実装を進めていることです。将来は、世界の国のタイヤを黒という常識から脱却させる意気込みだそうです。
ちなみに2位はサビ取り用レーザーを開発した「トヨコー」、3位は魚病の早期検出システムを考え出した「ストラウト」という企業でした。どれも素晴らしいものでした。
実は、4位から10位まで、本当にレベルの高い内容で、こうした企業が本県にとどまらず日本の未来を築いていくと思え、とても心が躍ります。
もちろん、10位に入らなかった企業の中にもとても素晴らしい事業があり、個々にアプローチする価値があると思っています。
静岡県が、スタートアップにとって、実験、実証、実装する国内の最適な場として選ばれる県となるよう、今後も産業だけでなく、環境、文化など多方面で輝きを放つ地域となることを目指します。
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