令和6年度静岡県文化奨励賞
授賞式の開催
令和6年7月29日(月曜日)、静岡県庁別館21階展望ロビーで関係者の出席のもと授賞式を行いました。
静岡県文化奨励賞は、芸術や学術を通じ、本県の文化の振興と向上に寄与する個人又は団体の活動を奨励するもので、令和6年度で63回目となる伝統ある賞です。
授賞式では、今年度受賞者の3者(2名1団体)に鈴木康友知事から賞状と副賞が授与されました。
受賞された成島洋子さん、藤中知幸さん、特定非営利活動法人あたみオアシス21からは、受賞の喜びや、活動の内容、周囲への感謝、今後に向けた抱負などを挨拶で語っていただきました。
受賞者の皆様、誠におめでとうございます。今後ますますの御活躍をお祈り申し上げます。
令和6年度受賞者の紹介
成島 洋子(なるしま ようこ)【静岡市葵区】
(経歴)
静岡市出身。慶應義塾大学文学部卒。
1998年にSPAC(公益財団法人静岡県舞台芸術センター*)の制作部スタッフとして活動を開始。
制作部主任を経て、2008年から芸術局長に就任。静岡市文化振興審議会委員。
*公益財団法人静岡県舞台芸術センター (Shizuoka Performing Arts Center:SPAC)
静岡県が設立した公立劇団として1997年から活動開始。静岡芸術劇場と舞台芸術公園を拠点に国内外で舞台作品の創造、上演をするほか、教育機関としての公共劇場のあり方を重視し、全世代に向けて事業を広げている。
(活動等)
制作部スタッフとしてSPACに参加以降、初代の鈴木忠志、次の宮城聰総監督のもと、SPACが世界的な評価を得る下支えを25年に渡り行っている。
芸術局長就任後は、「ふじのくに⇄せかい演劇祭」や「ふじのくに野外芸術フェスタ」をはじめとするSPACすべての事業を統括し、制作現場を管理する役割を担っている。
特にコロナ禍においては、「ふじのくに⇄せかい演劇祭」の代替として、オンライン開催による「くものうえ⇅せかい演劇祭」を短期間で実施するまでにまとめあげ、マネジメント力を発揮した。
静岡市文化振興審議会委員や公益社団法人ふじのくに地域・大学コンソーシアム短期集中講義「ふじのくに学(演劇論)」の講師を務めるなど、地域における公共劇場の役割、劇場とまちをつなぐ活動を積極的に展開している。
藤中 知幸(ふじなか ともゆき)【静岡市駿河区】
(経歴)
東京都足立区出身。静岡県立清水南高等学校卒業後、1997年鳥羽漆芸・鳥羽鐐一氏に弟子入り。2010年に独立し、「漆器製造販売藤中」を設立、工房を開く。一点物のオーダーメイド作品から、企業とのコラボ商品の制作まで、塗師屋(ぬしや)として活動中。
2022年からは「駿府の工房匠宿」の「木と漆」工房長に就任。
(活動等)
漆芸は販売ルートの減少や材料確保、後継者問題等様々な課題を抱えるなかで、20年以上の経歴を持つ気鋭の漆芸家として活躍している。
「作家」と「職人」の二つの顔を併せ持ち、作家としては、Design Intelligence Award Best100(中国)や工芸美術日工会展日工会賞などを受賞し、その技量と才能が評価されている。また、職人としては企業とのコラボレーションや受注など、制作、営業、販売などの役割を自身で担い、活動の場を広げている。
イタリアミラノ、中国杭州市、台湾など海外での作品発表も精力的に行い、日本の漆芸美術の魅力を海外に伝えている。
工芸団体の運営にも積極的に参加しており、2011年に静岡市立美術館の開館記念として「東海道五十三次ひとめ図」の制作に静岡漆器工業協同組合の一員として参加している。その後、静岡漆器工業協同組合副理事長や静岡県工芸家協会常任理事に就任し、地域の活性化にも貢献している。また、静岡市を中心に活動する若手工芸作家の会「するがクリエイティブ」では、会長を務めた後もリーダー的存在として、若手の育成に注力している。
2022年からは「駿府の工房匠宿」の「木と漆」工房長として、漆文化の普及育成に務め、利用者拡大にも貢献している。
(主な受賞歴)
2013年 グッドデザインしずおか 大賞
2021年 静岡市芸術文化奨励賞
2022、2023年 工芸美術日工会展日工会賞
特定非営利活動法人あたみオアシス21
(概要)
前身の「あたみ女性21会議」は熱海市内居住の21名の女性で1995年に結成され、1998年に起雲閣の保存活動を開始。2005年に同会議解散後、任意団体あたみオアシス21を設立、起雲閣委託業務及び指定管理業務受託に向けてNPO法人格を取得。
(活動等)
熱海市の文化観光の中心的な施設になった、熱海市指定文化財の起雲閣の保存運動から関与し、2010、2011年度は同施設の一部管理業務を、2012年度から2022年度まで指定管理者として管理業務を受託した。2023年度からは、共同事業体を組織し、起雲閣を含めた文化施設の指定管理者として、その価値を高めるような保存・活用を行っている。
その他、地場産品である橙を使ったマーマレードジャムの生産販売など、地域振興にも寄与している。
(起雲閣における主な取組状況)
1998年 保存するための活動開始(あたみ女性21会議)・学習会
1999年~講演会開催、署名活動、視察研修、ボランティアの募集・研修等
2002年 起雲閣ボランティアの会設立
2006年 任意団体あたみオアシス21設立
2009年 起雲閣委託業務及び指定管理業務受託に向けNPO法人格を取得
2010年 起雲閣一部委託業務開始、開館10周年記念コンサートの開催
2012年 指定管理者制度による管理
2023年 包括指定管理者制度による共同事業体での管理
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