平成26年度静岡県文化奨励賞
受賞式の開催
平成26年5月27日(火曜日)、静岡県庁別館21階展望ロビーで授賞式を行いました。
静岡県文化協会会長鈴木壽美子様、水元静岡県教育委員会教育監をはじめ、受賞者の関係者、過年度受賞者など多くの皆様の御出席のもと、受賞者1名2団体に川勝知事から賞状と副賞が授与されました。
学術(民俗学)で受賞された松田香代子さんは、県内の民俗文化の研究に地道に取り組んだことが評価されました。県史や市町村史の編さんに貢献するとともに、富士山信仰の研究や災害伝承の研究にも取り組まれています。
AOI・レジデンス・クヮルテットは、静岡音楽館AOIの開館以来、質の高い弦楽四重奏を提供していることが評価されての受賞となりました。これまでに延べ1万人以上の聴衆がクヮルテットの本格的な演奏を楽しんだことになります。授賞式では、メンバーの1人である小林美恵さんがバイオリンの素晴らしい演奏を披露し、来場者を魅了しました。
資生堂アートハウスは、開館以来、コレクション作品を展示の中心としながら、年に4回の企画展を無料で公開しています。また、ワークショップやギャラリートークを開催するなど地域貢献や次世代育成にも力を入れていることが評価されました。
受賞者の皆様の、今後の活躍にもご注目ください!
平成26年度受賞者の紹介
松田香代子(まつだかよこ)【静岡市清水区】
昭和53年に静岡県立清水東高等学校を卒業し、武蔵大学人文学部日本文化学科日本民俗史専攻に進んだ。昭和62年に静岡県教育委員会県史編さん室の嘱託となって以来、その後も一貫して県内の民俗文化の究明に取り組んできた。その成果は県下の数多くの市町村史民俗編の編さん、調査、報告となって結実し、さらには地道な個人研究の実績を積み上げてきた。
そうした業績により、富士市文化財保護審議委員(平成15年~)、静岡市文化財保護審議委員(平成17年~)等に任ぜられ、さらには山梨県の学術調査(民俗)研究委員にも選ばれ、活躍の場を広げている。
特に、富士山信仰を中心とする山岳信仰の調査研究(富士山御師の住まいと民俗等)は、静岡・山梨の両県にまたがっており、その活動は、富士山世界遺産登録に向けた富士山研究に寄与した。
また、これも県史編さん室勤務の頃から着手し、ライフワークとなりつつある「災害と民俗」に関する調査・研究(災害伝承にみる伝説と知恵等)も、東日本大震災を契機とする“災害”への関心の高まりの中、ますますその重要性を認識されつつある。すなわち、氏の研究成果は最も注目される「静岡の災害」を考える上での大きな教訓や手がかりを引き出すものとしてきわめて重要な意味を持つ活動となっている。
これらの研究のほかにも、和食文化の原点である山村部の食文化、民俗芸能、儀礼習俗等の調査研究にも着実にその成果を示しつつあり、それら民俗文化の究明は、今後の静岡県の発展にも大きく寄与するものであると考えられる。
- 平成7年「静岡県史別編2自然災害史」(共著)静岡県
- 平成21年「富士山須山口登山道調査報告書」(共著)裾野市教育委員会
- 平成24年「千年に一度の大地震・大津波に備える~古文書・伝承に読む先人の教え~」(共著)静岡県文化財団ほか
- 平成25年「六所家総合調査報告書」(共著)富士市教育委員会
AOI・レジデンス・クヮルテット【静岡市葵区】
平成7年の静岡音楽館AOIの開館と同時に、優れた音響を誇るAOIの室内楽ホールを生かし、「究極の室内楽」とも言える弦楽四重奏を恒常的に提供するために、ホールのレジデンシャル・アーティストとして編成された。現在のメンバーは、松原勝也(第1ヴァイオリン)、小林美恵(第2ヴァイオリン)、川本嘉子(ヴィオラ)、河野文昭(チェロ)の4名である。
W.A.モーツァルトとシューベルトをたびたび取り上げ、平成12年に三輪眞弘:弦楽四重奏曲《皇帝》ハ長調(静岡音楽館AOI委嘱作品)を世界初演し、古典から現代まで幅広い作品で優れた演奏を静岡の聴衆に提供している。これまでにP.ロジェ(ピアノ)やP.メイエ(クラリネット)、横山幸雄(ピアノ)、田部京子(ピアノ)、福田進一(ギター)らと共演している。
また、平成22年には静岡県文化財団の主催で菊川文化会館アエル、伊豆市生きいきプラザ、御前崎市民会館、グランシップで野平一郎(平成22年度静岡県文化奨励賞受賞者、AOI芸術監督)と共演し、各地で高い評価を得た。このような活動が評価され、平成24年度には、静岡県文化財団第26回地域文化活動賞特別賞を受賞した。
平成7年のAOI開館以来およそ20年間にわたり延べ1万人以上の静岡の聴衆に地道に質の高い音楽を提供し続けた功績は大きく、今後の発展が大いに期待される。
今後は首都圏など県外での公演の開催も目指しており、その活動を通じて静岡県の音楽文化の高さを広く発信することができると考えられる。
資生堂アートハウス【掛川市】
資生堂は、芸術文化支援活動の一環として東京銀座の資生堂ギャラリーを会場に「椿会美術展」や「現代工藝展」を開催し、出品された絵画、彫刻、工芸品作家の支援を目的としてコレクションしてきた。
資生堂アートハウスは、本社企業文化部に所属しており、昭和53年に美術品と企業資料を収集、展示する美術博物館として開館した。平成14年のリニューアルを機に、美術館としての機能を高め、近現代の優れた美術品を収集・保存するとともに、美術品展覧会を通じてこれらを一般公開している。
昭和53年の設立以来、35年以上にわたりそのコレクション作品を展示の中核としながら、常に上質な展覧会を無料で継続的に開催している。(平成5年以降、20年以上年4回の展覧会を開催)。また、「地域貢献」、「次世代育成」の実践の場として、平成16年以降「子供、大人のワークショップ」を継続的に開催、学芸員によるギャラリートークも平成24年から年12回実施している。
最近では、近隣の市民だけでなく、岐阜市・名古屋市・豊橋市・浜松市・静岡市などの近隣各県からの来館者も増加しており、年間の来館者数は約3万人となっている。
なお、美術館の建物は、高宮真介・谷口吉生両氏の設計により、昭和55年の日本建築学会賞を受賞しており、建物自体がアートとしての価値を有している。
(主な展覧会の実績)
- 平成7年「福原信三/路草写真展―光の詩情―」
- 平成10年「―人間国宝によるー陶芸四人展」
- 平成12年「梅原龍三郎と椿会の作家たち」
- 平成18年「鈴木治作作品展―抽象陶芸と用の器」
- 平成19年「高山辰雄展」
- 平成21年「小村雪岱展遥かな江戸の面影」
- 平成23年「うるし、麗わし五人の人間国宝による漆芸展」
このページに関するお問い合わせ
スポーツ・文化観光部文化局文化政策課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-2252
ファクス番号:054-221-2827
arts@pref.shizuoka.lg.jp