平成25年度静岡県文化奨励賞
受賞式の開催
平成25年5月23日(木曜日)、静岡県庁別館21階展望ロビーで授賞式を行いました。
静岡県文化協会会長鈴木壽美子様、安倍静岡県教育長をはじめ、受賞者の関係者、過年度受賞者など多くの皆様のご出席のもと、受賞者2名1団体に川勝知事から賞状と副賞が授与されました。
文学分野で受賞された勝呂さんは、日本近現代文学や静岡県内の文学者の研究を行うとともに、小説創作や静岡県芸術祭実行委員を務めるなど幅広い分野で文学の研究と実践に取り組んでいることが評価されました。
静岡交響楽団は、県民に密着したオーケストラづくりを目指して定期演奏会やオペラ公演などを行うとともに、東日本大震災復興支援コンサートの開催などにも積極的に取り組んでいることが評価されての受賞となりました。授賞式では、楽員によるフルートとハープの演奏を披露し、美しい音色とハーモニーで来場者を魅了しました。
美術分野で受賞された杉田さんは、多くの書籍の装丁に作品が起用されるなど独創的なデザイン制作活動を行っています。また、大学教授としてデザイン教育にも力を注ぐとともに、県内の施設でワークショップを開催するなど地域の活性化にも貢献していることが評価されました。
受賞者の皆様の、今後の活躍にもご注目ください!
平成25年度受賞者の紹介
勝呂奏(すぐろすすむ)【静岡市葵区】
上智大学大学院文学研究科国文学専攻博士前期課程修了後、私立中高等学校教諭、大学教授として教鞭をとりながら、日本近現代文学の研究・評論、小説創作、文学講演会などバランスのよい研究と実践を続けている。
日本近現代文学の研究・評論では、正宗白鳥、森内俊雄などの考察がある。その成果を著書「正宗白鳥−明治世紀末の青春」(平成8年右文書院)にまとめた。森内俊雄については、作品論の他、「骨の火」(平成15年講談社文芸文庫)収録の年譜等を作成担当した。
本県出身作家の研究・評論では、『小川国夫文学の出発-「アポロンの島」-』(平成5年双文社出版)、「荒野に呼ぶ声-小川国夫文学の樞奥-」(平成12年審美社)、「評伝小川国夫-生きられる文士-」(平成24年勉誠出版)の3著を執筆、さらに「評伝芹沢光治良-同伴する作家(エクリバン)-」(平成19年翰林書房)を完成させた。井上靖については数篇の作品論と編著「井上靖と沼津」(平成17年沼津文学祭実行委員会)がある。「望淵」、「棲み家」などの小説創作では、研究・評論で培った知識と感性を生かし、虚構の中に現代人の日常を緻密な文体で浮かび上がらせる筆力は確かである。
このほか、県内出身の埋もれた文学者発掘に意欲を注いでいるほか、県内各地の文学講座における講演活動や、季刊誌、新聞への執筆、平成7年から県芸術祭文学部門の実行委員や審査員を務め、平成21年の第24回国民文化祭では伊豆市「伊豆文学まつり」の実行委員会顧問として「故里美し」を編纂するなど、文学を通じた文化振興に熱心に取り組んでいる。
- 平成7年第10回はごろも教育研究奨励賞
- 平成7年~17年(14年を除く)静岡県芸術祭実行委員
- 平成8年第36回静岡県芸術祭文学部門(評論)準奨励賞
- 平成13,14,18,19年静岡県芸術祭文学部門(評論)審査員
- 平成16年静岡市芸術文化奨励賞
- 平成17~19年県文学連盟「文芸静岡」編集委員長
- 平成13~現在文芸誌「奏」代表
- 平成21年第8回日本キリスト教文学会賞
特定非営利活動法人静岡交響楽団【静岡市駿河区】
静岡交響楽団は、昭和63年11月に、「静岡室内管弦楽団“カペレ・シズオカ”として設立され、静岡県内初のプロオーケストラとして活動を開始した。平成6年音楽監督・指揮者に堤俊作氏を迎えたのを機に「静岡交響楽団」と改称した。楽団員は県内在住者と県内出身者を中心とした優秀な演奏家で構成されており、「静響(しずきょう)」の愛称で県内外の音楽愛好家に親しまれている。
県民に密着したオーケストラづくりを目指し、公演等を通して県の音楽文化の高揚や地域文化の振興に大きく寄与しており、定期演奏会やオペラ公演、行政・団体・企業主催の行事、青少年のための音楽鑑賞会などに積極的に取り組んでいる。
特に、平成14年からは、静岡県文化財団主催の「グランシップ&静響コンサートシリーズ」及び企業協賛の「静岡ガスニューイヤーコンサート」「静鉄コンサート」を開始し、さらに平成19年からは「静銀コンサート」も開催するなど、コンサート活動を活発に展開し、またその内容も、日本を代表するソリストや海外で活躍する著名な演奏家と共演するなど非常に充実している。
平成20年3月には、承認条件が難しい社団法人日本オーケストラ連盟の準会員の承認を受け、名実ともに一流オーケストラの仲間入りをした。現在、公益社団法人日本オーケストラ連盟が承認しているオーケストラは正会員26団体、準会員7団体で、中部地方で同連盟に加盟するオーケストラは同楽団を含め、わずかに5団体である。
平成23年4月に、音楽による支援活動として仙台フィルハーモニー管弦楽団のメンバーをグランシップに迎え、東日本大震災復興支援コンサートを開催した。平成24年3月には、東日本大震災復興応援「大植英次の絆コンサート」とし、前回と同じく仙台フィルハーモニー管弦楽団メンバーを迎え、グランシップで開催した。公演の収益は、被災地に音楽を届ける活動を行っている「音楽の力による復興センター」に寄附された。
杉田達哉(すぎたたつや)【東京都日野市(静岡市出身)】
静岡市に生まれ、県立静岡高等学校、武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科を卒業した。
平成10年の第1回個展(銀座・ギャラリー舫)以来、公募団体等に属さず、現代美術で著名な京橋「ギャラリー椿」を拠点に作品を発表するなど独自の活動を行っている。
唯川恵氏の直木賞受賞作「肩越しの恋人」を始め、小川国夫氏、曽野綾子氏、遠藤周作氏等の著作30作以上の装丁に作品が起用され、平成20年には美術雑誌「銀花」(文化出版局発行)の「特集・もっと自由に-クリエーターたちの2008」に取り上げられた。
また、「イメージフォーラムフェスティバル」などのポスター制作や、小沢書店発行の月間総合誌「ぷりいず」のアートディレクションを担当。日本印刷産業連合会主催「全国カレンダー展」においては、昭和56年に総理大臣賞、55年、57年に文部大臣賞を受賞した。
平成5年に振興組合紺屋町商店街の依頼により、駅前の紺屋町エリアでサイン計画を2年間かけ起案・実施し、地域の活性化を支援している。この計画は「SDA賞奨励賞」(日本サインデザイン協会主催)を受賞した。
また、平成24年には、静岡の文化遺産である「駿河版銅活字」の継承と普及を目的とし、CCC(静岡市クリエーターセンター)にて「活版2012活字とタイポグラフィ展」を開催し、同時に講演会「徳川家康と駿河版銅活字」を実施した。
また、平成18年から常葉学園大学(現常葉大学)で教鞭をとっており、デザイン教育に力を注ぎ、「地域社会と連携したデザイン教育の研究と実践」案は、文部科学省選定事業として採択され、平成19年から22年の4年間、常葉学園大学の学生とともに実践してきた。その結果、毎年活発に学生作品の研究発表展が静岡県内外で行われ、選定事業を外れた今でも活動は継続中である。その他、静岡科学館「る・く・る」、体験工房駿府匠宿での版画印刷体験や、子どものためのワークショップなど、多彩な活動をしている。
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