トラブル未然防止事例
1労働委員会のあっせん事例では、職場のコミュニケーション不足が目立ちます
(1)労働条件の書面交付
ポイント:労働条件は書面を交付し、説明しましょう。
- 雇用契約期間
- 仕事内容や勤務場所
- 勤務時間や休日
- 賃金
- 退職
に関する事項は、特に書面で明示する必要があります。【労働基準法第15条】
(2)労働条件の変更
ポイント:労働条件の変更は、労働者との合意が必要です。
労働契約の変更は、労働者または使用者の一方的決定ではできません。労働者と使用者の合意が必要です。【労働契約法第3条、第8条】
(3)解雇
ポイント:解雇は、要件が整わないとできません。
- 従業員を解雇するには「客観的合理的な理由と社会通念上の相当性」が必要です。【労働契約法第16条】
- さらに、有期雇用契約期間中の解雇は、契約期間満了を待つことなく直ちに解雇せざるを得ない「やむを得ない」理由が必要となります。【労働契約法第17条】
(4)パワーハラスメント防止の措置義務
ポイント:職場におけるパワーハラスメント防止措置が必要となります。
職場におけるパワーハラスメント防止のために、事業主は以下の対応が必要となります。
- 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
- 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 職場におけるハラスメントの事後の迅速かつ適切な対応
- その他併せて講ずべき措置(相談者等のプライバシー保護、相談したことを理由とした解雇等不利益取扱いをしないことの定め及び周知・啓発)
【労働施策総合推進法第30条の2※、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針 令和2年厚生労働省告示第5号】
※令和2年6月1日施行(中小事業主の場合は令和4年3月31日までは努力義務)
(5)正社員と非正規社員との待遇差
ポイント:正社員と非正規社員との待遇差について、合理的な説明が求められます。
- 正社員と非正規社員(パートタイム、有期雇用労働者)との間で、基本給や賞与、手当、福利厚生などあらゆる待遇について、不合理な差を設けてはいけないとされています。(均衡待遇・均等待遇)【パートタイム・有期雇用労働法第8条、第9条※】
- また事業主は、非正規社員から、正社員との待遇の相違について説明を求められた際には、その内容及び理由について説明する義務があります。【パートタイム・有期雇用労働法第14条※、短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針 平成30年厚生労働省告示第430号】
※令和2年4月1日施行(中小事業主については令和3年4月1日施行)
2新型コロナウイルス感染症の影響で、このようなトラブルが予想されます
(1)整理解雇
ポイント:新型コロナウイルス感染症を理由に、無条件に解雇できるわけではありません。
- 従業員を従業員を解雇するには、「客観的合理的な理由と社会通念上の相当性」が必要です。【労働契約法第16条】
さらに、整理解雇については、以下の4要件を検討した上で判断する必要があります。
- 人員削減の必要性
- 解雇回避努力義務
- 解雇対象者選定の合理性
- 従業員や組合との協議等手続きの妥当性
(2)休業手当の支払い
ポイント:休業期間中は休業手当を支払う必要があります。
- 会社側の都合で従業員を休業させた場合には、休業期間中の休業手当(平均賃金の6割以上)を支払わなければなりません。【労働基準法第26条】
- 休業手当に関し、利用可能な制度として、雇用調整助成金及び新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金があります。(令和2年9月25日現在)
(2)休業手当の支払い
ポイント:派遣先会社との労働者派遣契約の打切りを理由に、派遣労働者を解雇できるわけではありません。
- 派遣先との労働者派遣契約と、派遣労働者との労働契約は別です。
- 派遣先との派遣契約が終了しても、派遣元事業主は派遣労働者に対し、他の派遣先をあっせんする、休業手当を支給するなどの雇用の維持を図ることが必要です。【派遣元事業主が構ずべき措置に関する指針平成11年厚生労働省告示第137号(平成30年最終改正)】
このような内容でお悩みの場合は、各県民生活センターにご相談ください。
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