水質汚濁防止法
水質汚濁防止法では、工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出及び地下に浸透する水の浸透を規制するとともに、生活排水対策の実施を推進すること等によって、公共用水域及び地下水の水質の汚濁の防止を図り、それによって国民の健康の保護するとともに生活環境を保全すること及び、工場及び事業場から排出される汚水及び廃液に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的としています。
静岡県では、水質汚濁防止法に基く工場及び事業場からの届出を受け、届出内容の審査や報告の徴収、立入検査等を行っています。(静岡県内では、静岡市・浜松市・沼津市・富士市が水質汚濁防止法の政令市として、届出の審査や立入検査等、県と同様の業務を行っています。)また、水質汚濁防止法第15条に基づく公共用水域及び地下水の常時監視も実施しています。
届出の様式については、静岡県申請書類等ダウンロードサービスで入手できます(記載例等解説資料この記載例の資料は県環境保全協会の環境法令基礎研修で使用した資料を協会の了解を得て掲載しています。)。
水質汚濁防止法での規制内容の概要について
水質汚濁防止法でかかる規制内容の概要を、事業場等の施設別に説明します。(静岡県内は総量規制制度の指定地域はありませんので、その説明は除いています。)
なお、概要のみの記載となりますので、詳細等は法の条文等をご確認ください。
- 特定事業場
- 有害物質使用特定事業場
- 指定施設
- 有害物質貯蔵指定施設
- 貯油施設等
- 全ての事業者
また、水質汚濁防止法で、都道府県知事は、特定施設や有害物質貯蔵指定施設の状況や、汚水等の処理の方法その他必要な事項に関し報告を求めたり、その職員により特定施設、有害物質貯蔵指定施設その他の物件を検査させることができると法で規定されておりますので、これらに応じる必要もあります。
特定事業場
特定事業場とは、特定施設を設置する工場又は事業場です。
静岡県内(水質汚濁防止法の政令市である静岡市、浜松市、沼津市、富士市を除く)の特定事業場名簿が次のリンク先のページから確認できます。
特定施設とは、
健康被害を生ずるおそれがある物質として政令で定めるもの「(有害物質)という。」を含む汚水又は廃液か、政令で定める項目に関し生活環境を阻害するおそれがある程度の汚水又は廃液を排出する施設として、政令で定められたものです。
特定事業場(有害物質使用特定施設を含む場合を除く)に係る規制は次のとおりです。
- 設置等の届出義務(雨水も含む排水の全量を下水道に流す場合は届出は不要です。)
- 排水基準遵守義務
- 排出水等の測定・記録・保存の義務
- 事故時の措置と報告の義務
- (有害物質の地下浸透により人の健康被害が生じた場合等)地下水の水質の浄化にかかる措置命令
特定事業場にかかる規制等を図示すると次のようになります。
有害物質使用特定事業場
有害物質の製造、使用、処理を行う特定施設(有害物質使用特定施設)を設置する事業場が該当します。
有害物質使用特定事業場に係る規制は次のとおりです。有害物質の扱いが無い場合に比べ、下3つが追加されます。
- 設置等の届出義務(排水の全量を下水道に流す場合でも届出が必要です。)
- 排水基準遵守義務
- 排出水等の測定・記録・保存の義務
- 事故時の措置と報告の義務
- (有害物質の地下浸透により人の健康被害が生じた場合等)地下水の水質の浄化にかかる措置命令
- 地下浸透水の浸透の制限
- 構造等の基準の遵守
- 定期点検・記録・保存の義務
有害物質使用特定事業場にかかる規制等を図示すると次のようになります。
指定施設
有害物質を貯蔵・使用するか、指定物質を製造・貯蔵・使用・処理する施設が該当します。
有害物質貯蔵指定施設以外の指定施設に係る規制は次のとおりです。
- 事故時の措置と報告の義務
有害物質貯蔵指定施設以外の指定施設に係る規制を図示すると次のようになります。
有害物質貯蔵指定施設
有害物質を含む液状のものを貯蔵する指定施設が該当します。
有害物質貯蔵指定施設に係る規制は次のとおりです。
- 設置等の届出義務
- 構造等の基準の遵守
- 定期点検・記録・保存の義務
- 事故時の措置と報告の義務
- (有害物質の地下浸透により人の健康被害が生じた場合等)地下水の水質の浄化にかかる措置命令
有害物質貯蔵指定施設に係る規制を図示すると次のようになります。
貯油施設等
重油その他の政令で定める油を貯蔵し、又は油を含む水を処理する施設として政令で定めるもので、原油・重油・潤滑油・軽油・灯油・揮発油・動植物油の貯油施設と、それらを含む水の油水分離施設が該当します。
貯油施設等に係る規制は次のとおりです。
- 事故時の措置と報告の義務
貯油施設等に係る規制等を図示すると次のようになります。
全ての事業者
事業者の責務(法第14条の4)
事業者の責務として、法律で規定された排出水の排出の規制等に関する措置のほか、その事業活動に伴う汚水又は廃液の公共用水域への排出又は地下への浸透の状況を把握するとともに、当該汚水又は廃液による公共用水域又は地下水の水質の汚濁の防止のために必要な措置を講ずるようにしなければならない。とされています。
無過失責任(法第19条)
工場又は事業場における事業活動に伴う有害物質の汚水又は廃液に含まれた状態での排出又は地下への浸透により、人の生命又は身体を害したときは、当該排出又は地下への浸透に係る事業者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。とされています。
関連リンク
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