第6次ふじのくにユニバーサルデザイン推進計画第3章(テキスト版)

ツイッターでツイート
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページID1012667  更新日 2023年1月13日

印刷大きな文字で印刷

第3章計画の取組視点と施策体系

1.これからの取組の視点

これまでの県の取組やユニバーサルデザインにおける法制度や社会状況の変化は前章のとおりであり、これらを踏まえ、この計画では、今後、重要となる次の3つの視点から取組を進めていきます。

(1)心のUDの促進

誰もが暮らしやすい社会づくりのため、建物や設備、製品等のハード・ソフト分野では、ユニバーサルデザインを取り入れた整備が進められてきました。ハード・ソフト分野での取組が進んできたのは、法制度の整備だけでなく、社会全体で多様性への理解が進んだことが根底にあるからだと考えられます。

ハード・ソフト分野での取組は今後も進んでいくと思われますが、一方で、このような整備には時間や経費がかかるものもあります。しかし、ユニバーサルデザイン化が不十分であっても、例えば、点字ブロックがないところでは目の見えない人の手を引いて誘導するなど、ちょっとした手助けで補っていくことができます。逆に、ユニバーサルデザインを取り入れた施設の整備が進んでいても、例えば、多機能トイレをいつも健常者が使っていると本当に必要な人が使うことができません。このため、施設の整備とともに、みんなでお互いに配慮していくことが必要です。

このような点を踏まえ、この計画では、ハード・ソフト分野の取組を進める基礎となる思いやりの心と、ハード・ソフト分野の取組を補完する支え合いの行動、つまり、ハート分野の「心のUD」の促進を重視して取組を進めます。「心のUD」は、県民一人ひとりが、障害のある人や高齢者など多様な特性や考え方の違いを認め合い、相手の立場に立って思いやりのある行動ができるということです。一人ひとりの心の領域に関わるものであることから、粘り強く自発的な行動変容を促す取組を進めていきます。

これまで配慮が必要な人としては、高齢者、障害のある人、妊娠している人、外国人などが考えられていました。しかし、近年では、LGBTのように性の意識を男性女性の区別だけで分けられなくなっています。同時に、国際的な交流がますます盛んになり、様々な文化や価値観を持つ人と接する機会が増えていくことが予想されます。

「心のUD」の促進については、このように多様性がより広がりを見せていることを踏まえ、自分とは異なる立場や価値観を持つ他者の存在を知るところから普及啓発を進めていきます。相手を知ることで徐々に相手の立場や価値観を理解し、理解や共感から生まれる思いやりの心を支え合いの行動につなげていきます。

(2)SDGsの観点を踏まえた推進

SDGsは、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能なよりよい世界を目指す国際目標であり、17のゴール、169のターゲットから構成された人権や経済・社会及び地球環境の課題解決に関する取組です。SDGsは、「誰一人取り残さない」ことを理念としている普遍的なもので、「すべての人のためのデザイン」であるUDとは理念が重なり、具体的な取組においても共通するものがあると考えられます。

SDGsの取組は、ユニバーサルデザインよりも幅広いもので、ユニバーサルデザインを進めるだけで、SDGsの取組の全てをカバーすることはできません。しかし、例えば、ユニバーサルデザインを導入した施設整備は、SDGsのゴールの1つである「住み続けられるまちづくりを」につながります。また、障害のある人や多様な特性を持つかたの社会参加の促進は、SDGsのゴールのうちの「人や国の不平等をなくそう」につながるなど、ユニバーサルデザインの取組はSDGsの達成に貢献するものです。

近年、SDGsは、社会的に注目されており、特に行政や企業等において積極的に取り組まれていることから、ユニバーサルデザインの取組がSDGsにつながることへの理解が進めば、今後、ユニバーサルデザインへの関心も高まり、その取組を一層促進することが期待できます。

そのため、ユニバーサルデザインの理念の普及においては、SDGsの考え方や取組の共通点も併せて周知していくことで、ユニバーサルデザインへの関心を高めていきます。

(3)ラグビーワールドカップ及びオリンピック・パラリンピックのレガシー継承

2019年にラグビーワールドカップ2019が日本で開催され、県内では小笠山総合運動公園エコパスタジアム(袋井市)で試合が行われました。また、2021年には、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催され、富士スピードウェイ(小山町)、伊豆MTBコース(伊豆市)、伊豆ベロドローム(伊豆市)で自転車競技が行われたほか、海外競技団体のキャンプも行われました。

この時、国内外から多様な特性を持つかたが訪れました。そして、受け入れのために、競技会場周辺や観光施設への多言語表記の案内板導入等の環境整備のほか、選手、観光客等へのおもてなし力向上のため、観光関係者やボランティア等を対象に研修会などが行われたことにより、ユニバーサルデザインが県民により身近なものとなり、理解が進んできました。また、パラリンピックでは、様々な障害のある人が活躍する姿を目にする機会が増え、障害のある人への理解も深まりました。

このように、ラグビーワールドカップ及びオリンピック・パラリンピックは、ユニバーサルデザインの普及に大きな役割を果たしました。

これらの大会は終わりましたが、本県は大会開催を契機としてスポーツ、文化、観光振興などによる地域づくりに取り組み、その成果を大会後にレガシーとして継承していくこととしています。

ユニバーサルデザインの面では、選手、観光客等を受け入れるため、ボランティア等を養成した経験を生かし、障害のある人をサポートする方法等を学ぶ講座の実施や、外国人とのコミュニケーションの手段として「やさしい日本語」の普及などを継続することで、相手を思いやる気持ちや相手の立場に立って行動をする「心のUD」を促進していきます。

2.策施策体系

(1)施策分類

ユニバーサルデザインの推進に当たっては、ユニバーサルデザインの理解及び実践のハート、製品やサービス等の提供のソフト、建物や設備等の整備のハードのそれぞれの分野で進めていく必要があります。このため、本計画では、重点施策であるハートをはじめとして、施策体系をハート・ソフト・ハード分野に分類し、推進内容を設定します。

各分野の推進内容については、以下のとおりです。

ハート・ソフト・ハード分野の推進内容

ハート

  • 対象範囲
    • 障害のある人、高齢者、外国人など多様な特性を持つ方への、県民一人ひとりの思いやりの心や支え合いの行動の促進
    • 障害のある人、高齢者、外国人などの社会参加を促す仕組みの整備
    • 学校、職場、地域等における多様性を尊重する共生社会への意識の醸成
  • 施策内容
    • 講座等を通したユニバーサルデザインへの理解や他者を思いやり行動ができる「心のUD」の促進
    • 雇用・教育環境等の整備による社会参加の支援と、広報や啓発活動による多様な特性を持つ方への理解の促進

ソフト

  • 対象範囲
    • 利便性の高いサービスや必要な情報が得られる環境づくり
    • 使いやすい製品の開発や改良による、誰もが利用しやすいサービス・情報や製品の提供
  • 施策内容
    • ユニバーサルデザインに配慮した製品・サービスに関する情報発信
    • 誰もが安心、快適に楽しむことができる観光地域づくり
    • 利用しやすい行政サービス・情報の提供
    • 全ての人に配慮した災害時の対応
    • ユニバーサルデザインの製品の開発・利用の促進

ハード

  • 対象範囲
    • 建物や公園等の施設整備による利便性の向上や、道路や公共交通機関等の整備による誰もが暮らしやすいまちづくり
  • 施策内容
    • 利用しやすく配慮された建物、公園、住宅等の整備
    • 円滑に移動できる道路や公共交通機関の整備

施策体系

1<ハート>誰もが思いやりをもった共生社会づくり

  1. 一人ひとりが実践できる人づくり
    1. 理念の普及
    2. 心のUDの促進
  2. すべての人が社会参加できる土壌づくり
    1. 社会参加を促す仕組みの整備
    2. 社会における理解の促進

2<ソフト>誰もが利用しやすいサービス・情報や製品の提供

  1. 暮らしを豊かにするサービス・情報の提供
    1. 生活の質を高めるサービス・情報の提供
    2. 快適に観光を楽しめるサービス・情報の提供
  2. 利用しやすい行政サービス・情報の提供
    1. 利用者の立場に立った行政対応
    2. すべての人に配慮した災害時の対応
  3. 使いやすく魅力あるものづくり
    1. 製品開発の促進
    2. 製品の利用促進

3<ハード>誰もが暮らしやすいまちづくり

  1. 利用しやすく配慮された施設等の整備
    1. 快適に利用できる建物・公園等の整備
    2. 暮らしやすい住宅の整備
  2. 円滑に移動できる道路や公共交通機関の整備
    1. 安全で快適に移動できる道路等の整備
    2. 移動しやすい公共交通機関の整備

(2)指標

ア.成果指標

ユニバーサルデザインを進めるためには、ハート・ソフト・ハードの各分野の取組が不可欠です。第2章に記載したとおり、ソフト・ハード分野は、法制度の面からユニバーサルデザインを促進する環境が進んできた一方で、ハート分野は、これからも浸透を図っていく必要があります。また、第3章に記載したとおりハート分野には、ソフト・ハード分野を補う役割もあり、今後、ハート分野の進捗は、ユニバーサルデザイン全体の進捗に大きく関わってくると考えられます。

このため、この計画では、計画全体の進捗を確認する指標として、ハート分野の指標である次の指標を設定します。

  • 指標困っている人を見かけた際に声をかけたことがある県民の割合
  • 現状値2020年度33.0%目標値2025年度40.0%出典県政世論調査
イ.活動指標

ハート・ソフト・ハード分野ごとに進捗を確認する指標を設定します。各分野ごとの指標は、第4章に記載のとおりです。

このページに関するお問い合わせ

くらし・環境部県民生活局県民生活課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-3341
ファクス番号:054-221-2642
shohi@pref.shizuoka.lg.jp