しずおか文化財ナビ 熊野絵巻

よみ

ゆやえまき

指定区分、指定種別

県指定/有形文化財 ・ 絵画

指定日

2020年12月8日

員数

1巻

一般公開有無

無

公開情報

指定内容

【指定資料】磐田市の行興寺(ぎょうこうじ)に伝来する、謡曲「熊野」を絵画化した絵巻である。
本紙は縦30.2センチ、横38センチから39センチほどの紙を基本に23紙をつぎ、これを縦33センチの台紙上に貼る。
当絵巻の制作者は定かでない。対面する人物を詞章の合間に小さく描く室町時代後期の御伽草子系絵巻に共通する描写が用いられ、詞章の記述も室町時代後期の「熊野」の謡本とほぼ一致することから、室町時代後期の制作に位置付けられる。謡曲を絵画化した絵巻としては全国的にみても古例に当たる。
画風は大変独特である。登場人物すべての名前が書き込まれ、人物の顔が非常に細い筆で精緻に描かれる一方、建物は極めて簡便な描写で表現されている。朱色系統の赤、草色系統の緑、水色のような藍、茶色、墨という限られた色彩を用いて彩色されている。
当絵巻は、本県に関わりが深い謡曲を基に、独特な画風で描かれた県内で他に例を見ない作品であり極めて重要である。

県指定有形文化財指定基準
絵画、彫刻の部2