農地を潤す農業用水
農業用水は、地域の農地を潤し、「みのりの水」として重要な役割を果たしています。
中遠地域の農業用水
未来の収穫は今日の一滴から~農業用水の大切さ~
農業用水は、作物の成長と収穫に欠かせない重要な資源です。水が不足すると作物は十分に育たず、収量が減少し、農業生産に大きな影響を与えます。また、適切な用水供給によって土壌の質が保たれ、栄養分が均等に供給されるため、安定した農業経営が可能となります。
天竜川下流用水(天竜川左岸側)
- 受益面積:7,732ha
- 水源:天竜川
- 主要作物:水稲、茶
- 関係市町(中遠管内):磐田市、袋井市、森町
- 関係土地改良区:寺谷用水土地改良区、磐田用水東部土地改良区、磐田原土地改良区、豊笠土地改良区
太田川上流用水
- 受益面積:451ha
- 水源:太田川
- 主要作物:水稲、トウモロコシ、レタス
- 関係市町:森町
- 関係土地改良区:太田川上流部土地改良区
大井川用水(大井川の右岸側)
- 受益面積:3,584ha
- 水源:大井川
- 主要作物:水稲
- 関係市町(中遠管内):掛川市、菊川市、袋井市、御前崎市
- 関係土地改良区:大井川右岸土地改良区
牧之原用水(大井川の右岸側)
- 受益面積:1,862ha
- 水源:大井川
- 主要作物:茶
- 関係市町(中遠管内):掛川市、菊川市、御前崎市
- 関係土地改良区:牧之原畑地総合整備土地改良区
世界かんがい施設遺産
世界かんがい施設遺産とは
「世界かんがい施設遺産」は、国際かんがい排水委員会(ICID:本部はインド)が歴史的・技術的・社会的価値のあるかんがい施設を登録・表彰する制度であり、世界で17か国142施設(うち国内は47施設)が登録されています。静岡県内は寺谷用水はじめ4施設です。
中遠地域の世界かんがい遺産(寺谷用水)
寺谷用水の概要
- 受益面積:1,504ha(磐田市)
- 水源:天竜川
- 主要作物:水稲
- 関係市町:磐田市
- 関係土地改良区:寺谷用水土地改良区
- 施設構造:水路 12km(造成当時)
- 供用開始:1590年
寺谷用水の歴史
天竜川の度重なる氾濫や流路変更により、安定した用水の確保ができず、水不足に苦慮していました。そこで、徳川家康の命の下、家臣の伊奈忠次が企画、地域の代官であった平野重定が水路の造成工事を実施しました。河川と農地を分離する堤防(大囲堤)を建設した後、1590年までの2年間で幅4m・長さ12kmの水路を完成させました。新たに開田された400haを含む約2,000haの水田を潤し、農村の発展に大きく貢献しました。現在も約1,500haの農地を潤し、地域農業を支える重要な農業生産基盤となっています。
施設の特徴等
革新的技術の先駆けとなった大圦(おおいり)樋(ひ)(大型木製函渠)
天竜川からの取水口として、堤防機能を維持した大圦樋(幅4m、高さ2m、長さ21m)を設置し、取水と氾濫からの周辺農地の保全を同時に実現しました。この大圦樋は、釘を用いずに木製の柱や板を精巧に組み合わせて作られており、大河川の水流にも抵抗できる画期的な施設でした。これにより、大河川の利水と治水を一体的に行う革新的なかんがい技術導入の先駆けとなり、その技術は関東を中心に各地で用いられるなど、日本のかんがい技術の進展にも大きく貢献しました。
維持管理を行う農民共同体「井組」
造成当時の73ヵ村への円滑な配水と水路の維持管理のため、農民による共同体である「井組」を組織しました。天竜川は洪水により度々流路を変えたため、井組は多額の費用と努力を払い、取水口の位置を上流に移しつつ農業用水を確保してきました。
現在は、寺谷用水土地改良区に継承され、400年以上にわたり地域による用水管理を継続しています。
関連情報
このページに関するお問い合わせ
静岡県中遠農林事務所 農村計画課
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