2 県政運営の基本的な考え方 ~「経営」の方針~
令和6年6月県議会定例会知事提案説明要旨
2 県政運営の基本的な考え方 ~「経営」の方針~
次に、私の県政運営にあたっての基本的な考え方、「経営」の方針を御説明いたします。
行政運営は企業経営とよく似ており、これからの行政に求められるのは、明確な「経営」の方針であります。社会課題が複雑化し、自治体経営が難しさを増す中、リーダーである首長が、判断の物差しをもっていることが大変重要であります。私の経営方針は、大きく5つあります。
まず、第1の方針は、県政においても経営感覚を持ち、将来世代に対して責任を負うことであります。今を生きる人々や社会に対して的確な施策を講じ、福祉の向上や社会の発展に力を注ぐことは当然ですが、それと同等に将来世代に対して責任を負うことが必要であります。税金も資源も有限であり、将来と現在のバランスをとっていかなければなりません。こうした基本的な考えのもと、将来にツケを残さない健全財政の堅持に努めるとともに、将来を見据えた様々な施策にも取り組んでまいります。
第2の方針は、税金を無駄にしないことであります。私達が動かす大きなお金は、県民の皆様からお預かりした大切な税金であります。職員、そして私自身も、地方自治法に定める「最少の経費で最大の効果を挙げる」ことを、戒めとしてまいります。
第3の方針は、前例踏襲や役所の常識にとらわれず、新しいことに挑戦することであります。時代が大きく変化している中、時代の先を読み、新しいことに意欲的に挑戦する姿勢が求められております。そのためには、自治体の体質や組織の考え方を変えていくLGX(ローカル・ガバメント・トランスフォーメーション)を実行することが重要であります。新しいことに取り組めば必ず壁にぶつかりますが、職員とともに、私自身も知恵を出し、汗もかいて、先頭に立って取り組んでまいります。
第4の方針は、「巧遅より拙速」であります。これは、巧みで遅いよりも、多少拙くてもスピードが重要という意味であります。最近の経営用語で申し上げれば「アジャイル」です。まずやってみて、その結果を踏まえて改善を加え、より良いものに仕上げていくという手法です。拙速に事を進めてはいけないこともありますが、スピード感を持つことは自治体にとっても大変重要であります。職員とともに、スピード感を大切にして仕事をしてまいりたいと思います。
第5の方針は、人を活かすことであります。「人財」が育たなければ、県の発展も県民サービスの充実も図ることができません。人財たり得る重要な要件は、できない理由を並べるのではなく、どうしたらできるかを前向きに考える姿勢が必要であります。特に、物事が前に進まない場合には、私が率先して解決し、リーダーとして範を示してまいります。