所長あいさつ(令和6年4月コラム)
皆さま、こんにちは。
戸塚前所長に代わり4月に着任しました、下田土木事務所長の佐藤です。
●大切な基準点
私は、平成3年度に新規採用で県に入庁し、最初に配属されたのが、ここ「下田土木」でした。当時は大賀茂の独身用官舎が建設中であったため、柿崎にあった家族用官舎に同期の土木職員と相部屋で同居生活を余儀なくされました。当時は「そういうものなのだろう」と素直に受け止め、半年ほどではありましたが同期と合宿生活のような毎日を送っていたのを懐かしく思い出します。
見習い期間で正式採用にもならないうちの9月10日には、伊豆半島南部で局地的な集中豪雨による大規模災害が発生し、下田市の落合地区や河津町の河津谷津川流域で多くの土砂災害が発生すると共に、死者4名、負傷者7名、家屋の全半壊39戸という甚大な被害が発生しました。
豪雨の最中にパトロールに行って、びしょ濡れになって帰ってきた先輩職員から、「数分前まで歩いていた橋が目の前で落橋した」という危機一髪の話を聞いたり、私自身も翌朝の下田港にパトロールに行ったところ、港内に大量の流木などと一緒に牛の亡骸が浮かんでいるのを見つけたりと、その時の惨状は今でも鮮明に覚えています。
そのような訳で、私にとって下田土木は忘れられない最初の赴任地であり、公務員として、土木技術者として、今でも私の大事な「基準点」となっています。
平成6年に異動となり下田を離れましたが、以来、30年ぶりの下田土木事務所です。
皆様、どうぞよろしくお願いします。
●なんとかしたい…
さて、久しぶりに賀茂地域に来ての印象ですが、下田市内に昔はなかったコンビニも今では数件あり、街並みはだいぶ変化したように思います。
しかし、それ以上に感じたのは人通りの少なさでした。
それを裏付けるように衝撃的だったのは、管内市町の関係機関にご挨拶に伺ったり、地元の方のお話をお聞きする中で、
「所長さん、去年のうちの町の出生数、何人だと思う?10人だよ、10人!」
という声を聞いたことでした。「そんな馬鹿な…」と調べてみたら本当でした…。
賀茂地域の人口減少の状況については、観念的には承知していたつもりでしたが、個別の実数を目の当たりにすると、外を出歩けば見かけるはずの生産年齢層が30年前の半分になっているという現実も頷けます…。
これは、なんとかしたい…。なんとかしなければ!
●私たちの任務
我々下田土木の任務は、県の公共施設を整備・維持管理したり、津波や土砂災害などの自然災害への対策を考えたり、無秩序な開発を監視したりすることですが、それらの仕事は、賀茂地域の経済にも少なからず貢献し、住民の皆様の安全・安心の確立に寄与するはずです。
そのような側面から、私たちの仕事の効果が賀茂地域全体に還流するよう、そしてこの賀茂地域に人が集まり、人が戻ってくるように、安心感と魅力を向上させられるよう、微力ながら貢献していきたいと思っています。
地域の皆様におかれましては、是非、忌憚のない声をお聞かせ下さい。
我々ももっと変わらなければならないと思いますし、そのためには皆さんのニーズがどこにあるのかをしっかり把握する必要があります。
そして、何が最善策なのかを一緒に考えていきたいと思います。
●結びに
めまぐるしく変化する現代社会ですが、賀茂地域の素晴らしい環境と歴史と文化の資産を次の世代につなげていけるよう、SDGsの考え方にもあるように「持続可能な」賀茂地域のあり方を一緒になって考えながら、インフラ分野の側面からお手伝いしていきたいと思います。
とはいえ、我々の仕事は皆様のお力添えなしには進められない仕事です。何卒、ご理解とご協力を賜りますよう、今後ともよろしくお願いいたします。
令和6年4月30日
静岡県下田土木事務所長 佐 藤 雅 史
【参考文献】
棚田博人・高井利和・本橋和志(1998):平成3年9月 伊豆半島南部災害,砂防学会誌Vol51,No.3,p73-76
静岡県:第33回賀茂地域広域連携会議(令和5年3月29日賀茂地域局主催)資料6,p1-3
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