屋根修繕工事等の住宅リフォームの訪問販売業者に対し、特定商取引法第7条に基づく指示を実施
次の事業者は、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する訪問販売(以下「訪問販売」という。)を行うに当たり、法第3条及び第5条第2項に違反する行為を行ったことから、当該事業者に対し、法第7条第1項の規定に基づき、違反行為に係る規制の遵守を求め、違反行為の発生原因の検証結果、再発防止策及びコンプライアンス体制について報告するよう指示を行うとともに、法第7条第2項の規定に基づき、その旨を公表する。
1事業者の概要
- 名称
株式会社グッドハウス浜松(代表清算人西部勇) - 所在地
静岡県浜松市中区佐藤三丁目26番地9 - 業務内容
屋根修繕工事等の住宅リフォームの訪問販売
2不利益処分の内容
- 訪問販売に関して、次の事項を遵守すること。
- ア.訪問販売をしようとするときは、その勧誘に先立って、その相手方に対し、役務提供契約の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにすること。
- イ.訪問販売に係る役務提供契約を締結した際に、役務を提供し、かつ、役務の対価の全部を受領したときは、直ちに、法令で定めるところにより、役務提供契約の締結を担当した者の氏名等法令で定める事項を記載した書面を役務の提供を受ける者に交付すること。
- 株式会社グッドハウス浜松(以下「グッドハウス浜松」という。)は、次の行為を行っていたが、このような行為は法により禁止されているので、違反行為の発生原因について、それぞれの違反行為につき調査分析の上検証し、当該検証結果を踏まえて違反行為の再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築し、当該検証結果、当該再発防止策及び当該コンプライアンス体制について、令和2年7月27日までに、静岡県知事まで文書で報告すること。
- ア.法第3条に規定する勧誘目的等の明示義務に違反する行為
- イ.法第5条第2項に規定する書面交付義務に違反する行為
3処分の根拠となる法令の条項
法第7条第1項
4不利益処分の原因となる事実
- グッドハウス浜松は、静岡県浜松市中区佐藤三丁目26番地9に登記簿上の本店を置き、屋根修繕工事等の役務の提供を主な事業として行っており、営業所等以外の場所である消費者宅に訪問し、同所において屋根修繕工事等の事業に係る役務を有償で提供する契約の申込みを受けた上、役務提供契約を締結していた。
よって、グッドハウス浜松が行う事業は、法第2条第1項に規定する訪問販売に該当する。 - グッドハウス浜松は、屋根修繕工事等の役務提供契約を締結するに当たり、消費者に対し、次の(3)及び(4)に掲げる法に違反する行為に該当する行為を行っていたことが認められる。
- グッドハウス浜松は、訪問販売をしようとするとき、その相手方に対し、高額な屋根修繕工事等の役務提供契約の締結について勧誘をする目的であるにもかかわらず、「近所で工事をやっていたら、お宅の屋根瓦がズレているのが見えたんで気になって。このまま放っておくと雨漏りしちゃいますよ。」、「よければ3,000円で直しましょうか?」などと言って、簡易な補修工事を勧誘し、簡易な補修工事や点検を行った後、屋根の異常個所を指摘し高額な屋根修繕工事等の役務提供契約の締結について勧誘を行っており、その勧誘に先立って、その相手方に対し、高額な屋根修繕工事等の役務提供契約の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしていなかった。
また、グッドハウス浜松は、訪問販売をしようとするとき、その勧誘に先立って、その相手方に対し、「近所で屋根の工事をやっている者ですが。近くで工事をしていたら、お宅の瓦がズレている所があるのが見えました。これはもう雨漏りしているから、知らせてあげなきゃいけないと思って来ました。」、「今、下の方の家で屋根工事をやっているついでに上の方を回っているんですが、お宅の屋根瓦、隙間が開いていますよ。」などと告げるのみで、屋根修繕工事等の役務提供契約の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしていなかった。
これらは、法第3条の規定に違反する行為である。 - グッドハウス浜松は、訪問販売により簡易な補修工事契約を締結した際に、その役務を提供し、かつ、役務の対価の全部を受領したとき、役務の提供を受ける者に交付した「補修工事請負契約書兼領収証」に、役務提供契約の締結を担当した者の氏名を記載すべきところ、名字しか記載していなかった。
これは法第5条第2項の規定に違反する行為である。
5主な取引の手口
本来の目的である屋根修繕工事等の勧誘の目的であることを告げずに、「近所で工事をやっていたら、お宅の屋根瓦がズレているのが見えた。このまま放っておくと雨漏りしちゃいますよ。」などと言って消費者宅に訪問し、点検や3,000円から5,000円程度の比較的低額な補修を勧誘するなどし、依頼を受けた点検や低額な補修を行うなどした後、さらに屋根の異常個所を指摘するなどし、屋根修繕工事等の契約締結を勧誘する。
6取引事例
別記のとおり。
7第三者情報の公表
消費者被害の拡大防止などのため消費者に十分な情報を提供する観点から、グッドハウス浜松と組織的関係を有し、グッドハウス浜松が消費者と行う取引において重要な役割を果たす関係にある第三者の情報について、以下のとおり公表する。
- 名称
株式会社アミタ(代表取締役青木健至) - 所在地
静岡県浜松市中区寺島町17番地の1 - グッドハウス浜松の行為への関与の方法
株式会社アミタ(以下「アミタ」という。)は、グッドハウス浜松と業務提携契約を締結していた事業者で、グッドハウス浜松が消費者と契約した屋根修繕工事等の施工を請け負っており、工事後のアフターメンテナンス等も行っていた。
また、アミタはグッドハウス浜松の営業を請け負い、アミタの従業員がグッドハウス浜松の営業の一部を行っており、アミタの従業員がグッドハウス浜松の業務全般を統括していた。
(別記)取引事例
取引事例1
平成31年1月頃、従業員Zらは静岡県内の消費者A宅を訪問し、ZがAに「ここのお家の方ですか?」などと尋ねた後、A宅の平屋部分の屋根を見ながら、「近所で工事をやっていたら、お宅の屋根瓦がズレているのが見えたんで気になって。このまま放っておくと雨漏りしちゃいますよ。」、「よければ3,000円で直しましょうか?」などと言った。
Zから雨漏りすると指摘されたAは不安を感じ、Zに屋根瓦の補修を依頼した。
Zは、屋根に上がり瓦を止めるような作業をし、屋根から下りてくると、「それでは3,000円ください。」などと言った。
AがZに3,000円を支払ったところ、ZはAに「補修工事請負契約書兼領収証」に署名等を求めてきたので、Aが署名等をすると、ZはAに契約担当者欄に契約担当者の名字しか記載していない「補修工事請負契約書兼領収証」の控えを交付した。
次に、ZはAに「2階も瓦が割れているかもしれないから、2階の屋根も見せてもらえる?」などと聞いた。
Aが承諾すると、Zは屋根に上がり10分くらい作業した後、屋根から下りてくると、Aに携帯電話で撮ったという写真を見せ、屋根の異常個所を説明し、屋根工事を勧めた。
Aは屋根工事を即断できないでいたが、Zは屋根工事を繰り返し勧め、「細かい話は明日にします。」などと言って帰って行った。
翌日、ZはA宅に訪問してくると、書類を出してきて、Aに署名等を求めた。
とりあえず、雨漏りしない状態にはしたいと思っていたAは、グッドハウス浜松に頼むしかないという気持ちになり屋根葺き替え工事の契約をし、Zが持参した「工事請負契約書」に署名等し、「工事請負契約書」の控えを受け取った。
取引事例2
平成31年3月頃、従業員Yは静岡県内の消費者B宅を訪問し、「近所で屋根の工事をやっている者ですが。」、「近くで工事をしていたら、お宅の瓦がズレている所があるのが見えました。これはもう雨漏りしているから、知らせてあげなきゃいけないと思って来ました。」などと言った。
Yは続けて、持っていたメモ板の紙に屋根の絵を書き、それを基に屋根の異常個所を説明した。
さらに、Yは「簡単な作業で直せますよ。素人でも出来るからやり方を教えてあげますよ。ホームセンターで材料を買ってくれば自分でも出来ますよ。」などと言って、補修の方法を説明した後、「ところで屋根に上がれますか?」などと聞いた。
Bが「無理だよ。」と答えると、Yは「今、ちょうど時間が空いてるから、安くやってあげましょうか?」などと言ったので、Bは屋根の雨漏りを止めるには補修工事をお願いするしかないと思い、Yに屋根の補修を依頼した。
そこに、車に乗った従業員Xが来て、YとXでB宅の屋根に梯子を掛け、Yが屋根に上がって行き補修工事を始めた。
Bは一旦、家の中に戻ったが、数分後にXが玄関先にきて、書類を書き始め「3,000円になります。」などと言った。
BがXに3,000円を支払ったところ、XはBに「補修工事請負契約書兼領収証」に署名等を求めたので、Bが署名等をすると、XはBに契約担当者欄に契約担当者の名字しか記載していない「補修工事請負契約書兼領収証」の控えを交付し帰って行った。
後日、消費生活センターに相談に行き、クーリング・オフした。
取引事例3
令和元年9月頃、従業員Wは静岡県内の消費者C宅を訪問し、「今、下の方の家で屋根工事をやっているついでに上の方を回っているんですが、お宅の屋根瓦、隙間が開いていますよ。」などと言った。
Wは屋根の悪いところを教えるというようなことを言って外に出て行ったので、Cも外に出ると、WはC宅の2階の屋根の天辺の瓦の列を指差して、屋根の異常個所を説明したが、Cはどこに異常があるのかよく分からなかった。
さらにWは「まあ、あれぐらいなら自分でも直せますよ。ホームセンターで接着剤を買ってきて固定するだけだから3,000円から4,000円くらいで簡単に修理できるよ。」などと言った。
Cが自分で登って作業などできない旨をWに伝えると、Wは「現場監督を呼んできますよ。」などと言って立ち去った。
10分程すると、梯子を積んだ車がC宅にやってきた。
車からWと従業員Vが降りてきて、Vは「見てみなきゃ分からないですね。」などと言って、車から梯子を降ろし、C宅の屋根に梯子を掛けて屋根に上って行った。
Vは20分から30分ほど屋根の上で作業をした後、下りてきて、Cに「屋根の写真を撮ってきた。テレビに繋げば映せるので見てください。」などと言った。
CがVを部屋に通すと、Vはデジタルカメラをテレビに接続して、屋根瓦の写真を見せながら、屋根の異常個所を説明したが、Cは何がどのように悪いのか分からなかった。
さらにVは、持っていたメモ板の紙に瓦屋根の絵を描きながら、こういう所にできている隙間から雨水が浸み込んでいって雨漏りするというような説明をした。
また、Vの話では屋根全体の葺き替え工事をやると300万円から350万円かかってしまうが、修繕ならば80万円くらいで済むという話だった。
Cは、Vの話から早急に屋根工事をやらなければという気持ちになったが、工事代金が高額だったため、メモ紙に書いた工事内容だけでなく、見積書を見た上で契約をするか決めたいと思い、Vに「考えるから見積書を持って来てくれ。」と頼むと、Vは「明日、見積書を持ってきます。」などと言って帰って行った。
翌日、VはC宅に訪問してくると、「工事請負契約書」等を出してきて、Cに署名等を求めた。
Cは見積書を見て説明を聞いた上で契約するか決めようと思っていたので戸惑ったが、このまま、この会社に工事をお願いしてもいいだろうという気になり、「工事請負契約書」等に署名等をし屋根修繕工事契約をし、「工事請負契約書」の控え等を受け取った。
後日、消費生活センターに行き、クーリング・オフした。
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