教育長メッセージ(令和4年8月22日)
教育長挨拶
教育長室へお越しいただき、ありがとうございます。
7月22日の教育委員会定例会で、静岡県内の公立校で初めて「国際バカロレア教育」の導入を目指す学校が、「志榛(しはい)地区新構想高等学校」(仮称・令和6年度開校予定)に決定しました。今回はこの点について少し詳しくご紹介しましょう。
国際バカロレア教育とは
スイスのジュネーブに本部を持つ国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラムで、英語ではInternational Baccalaureate(以下IB)と表記します。国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を得ると海外大学進学のルートが開けることから、グローバル化に対応できる人材の育成や高度な英語教育プログラムとして語られることが多いですが、静岡県教育委員会では、探究学習を特色とする国際標準の体系的な教育プログラムという点に注目しています。IBのミッションでも、「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としています」と記されています。
IB教育には、3-12歳を対象とするPYP(Primary Years Programme)、11-16歳を対象とするMYP(Middle Years Programme)、16-19歳を対象とするDP(Diploma Programme)など年齢に応じた段階的プログラムがあり、どのプログラムを導入するかは学校ごとに判断し、国際バカロレア機構の認定を受ける必要があります。
札幌市のIB先進校視察
今回の決定に先立ち、5月下旬に札幌市立札幌開成中等教育学校を訪問しました。日本国内のIB導入校は私立や国立の大学附属学校が多いのですが、札幌開成中等教育学校は公立のIB導入先進校として参考になる点が多くあるだろうと考えてのことです。同校の前身は札幌市立開成高等学校でしたが、中等教育学校として開校したのは平成27年で、中学校と高等学校の6年間を通した課題探究的な連続した学びを実現するために、IBを導入しています(平成29年にMYP、平成30年にDP認定)。
中学1年から高校1年までの4年間は全生徒がMYPで学び、高校2・3年生は希望者がDPを選択します。この学びを通して、社会とのつながりを感じながら自立した学習者を育成しているのです。このように、IBの精神が学校の基調となっていることがわかります。
既存の高校の多くが入学偏差値主体の大学進学実績を誇る中で、札幌開成中等教育学校では、開校時から大学入試に特化しないことを明らかにして、進学実績ではなく課題探究的な学びの内容で勝負しています。新しいタイプの公立学校と言えるでしょう。
志榛地区新構想高校とIB
本県でも、志榛地区新構想高校でのIB導入を通じて、多様性や自由を尊重する新しい教育の象徴となる県立高校の実現を目指していきます。
志榛地区新構想高校は、令和6年度に新たに誕生する多部制単位制の「フレックスハイスクール」で、大学のように自分のペースで通学時間や時間割を決められ、また自分の興味・関心、進路希望等に応じて多様な科目を選択できる、多様性と自由にあふれた学校です。多様な生徒のニーズに応えるため、全教科で探究的な学びを通じて自信と意欲を持つ生徒を育成し、さらにそこに希望者にはIBのグローバル教育を加えることで、探究×グローバルの学校として進化していきます。具体的には、令和8年度のIB一期生入学を目指して、「ディプロマ・プログラム」(DP)認定に向けた準備を進めているところです。
IB教育導入によって、志榛地区新構想高校卒業生の進路も、国内の進学・就職だけでなく、海外へはばたく可能性が高まります。いずれは海外で起業する卒業生も出てくるかもしれないと期待しています。
これまでの偏差値輪切り教育から脱却し、多様性を尊重する新しい県立高校を作りたいという想いで、私も開校準備及びIB導入準備に全力で取り組んでいきます。
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