1 今後の県政運営
令和6年12月県議会定例会知事提案説明要旨
1 今後の県政運営
ただいま提出いたしました議案の概要を御説明申し上げますとともに、当面する県政の課題について、所信並びに諸般の報告を申し述べます。
はじめに、次期総合計画の策定についてであります。
「幸福度日本一の静岡県」を実現するため、現在、新たな総合計画の策定を進めているところです。私は、様々な主体の総力を結集して、オール静岡で、本県全体の均衡ある発展を目指す考えであります。
計画の構成といたしましては、基本的な考えや目指す姿を示す「経営方針」と、その実現に向けた具体的な施策を示す「行動計画」の2層構造とし、まずは今年度中に「経営方針」を策定することとしております。
「経営方針」案では、県政運営の基本理念として、意識・行動を常に見直し、変化に柔軟かつ迅速に対応できる組織への変革を遂げる「LGX(ローカル・ガバメント・トランスフォーメーション)」を位置づけております。また、県政運営全体に共通する新しい考え方として、県民一人ひとりの幸福実感を重視する「ウェルビーイング」の視点を取り入れました。これまで用いてきた客観指標は、政策の進捗管理等に適する一方で、県民にどのように捉えられ、影響しているかを把握することが困難でした。そこで、幸福実感という「主観的要素」を新たに追加し、この把握・分析を通じて政策を充実・強化してまいります。
また、「幸福度日本一の静岡県」の実現に向け、「未来を創る力」、「豊かな暮らし」、「県民の安心」の3つの視点で政策を体系化したほか、県内を自然的・社会的に一体性を有する4地域に区分し、地域ごとの「目指す姿」を掲げた上で、それぞれの特色やポテンシャルを最大限発揮できる地域づくりを行ってまいります。
新たな総合計画の策定に当たりましては、去る10月9日、先月11日に、各界各層の代表者で構成する総合計画審議会を開催し、「経営方針」案を御審議いただきました。委員の皆様から専門的な視点に立った貴重な御意見をいただき、「経営方針」案に反映したところであります。
さらに、本議会におきまして、二元代表制を担う県議会の皆様からも御意見を丁寧に伺い、「経営方針」案に反映してまいります。その上で、今年度策定する「経営方針」に基づき、来年度は具体的な取組等を盛り込んだ「行動計画」を策定してまいりたいと考えております。御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
次に、静岡県未来創造会議についてであります。
激変する時代の潮流を的確に捉え、本県の様々なポテンシャルを活かし、更なる発展を目指して戦略的に取り組むためには、日本の最先端で活躍する有識者による新たな識見や時代を見通す視点が不可欠であります。このため、本県の未来に向けて、新たな政策を検討するに当たり、特定のテーマについて御提言をいただく「静岡県未来創造会議」を設置し、先月1日、第1回会議を開催いたしました。
国内外で広く活躍される6名の有識者からなる会議の座長には、地域交通の確保やコンサルタント業務などを行う、株式会社IGPIグループの冨山和彦会長にお願いいたしました。冨山氏は、産業再生機構の最高執行責任者として、数々の企業を再生した経験をお持ちの経営者であり、政府関連の会議の委員も多数務められています。委員には、国の「AI戦略会議」座長も務める松尾豊東京大学大学院教授や、県内経済団体の代表者にも参加いただきました。
御議論をお願いしたテーマは、「県を牽引・創造する取組」及び「基盤となる財政状況」の2つです。委員からは、「富裕層を対象にした取組をさらに拡充すべき」、「AIやデジタルの人材育成を強化すべき」、県の今後の大きな歳出項目に対して「優先順位付けやより効率的な手法を検討すべき」など、具体的、実践的な御意見をいただいたところであります。
今後は、各委員から追加の御意見等もお聞きしながら、できるだけ速やかに議論の整理も進め、年明けには、第2回会議を開催したいと考えております。