平成28年12月県議会定例会知事提案説明要旨1-3
平成28年12月県議会定例会知事提案説明要旨
【1.県政の概要】(3)美しい景観づくり
次に、美しい景観づくりについてであります。
ビクトリア朝末期の19世紀末頃、世界の七つの海を支配し、興隆を極めたイギリスでは、中心市街地から郊外の観光地に至るまで屋外広告物が氾濫し、歴史や自然に彩られた本来の景観が損なわれておりました。これらの無秩序で派手な色彩の広告物に対し、大英帝国の誇りと気概に裏打ちされた、心ある知識人による抗議活動が世論や議会を動かし、1907年に英国議会で広告規制法が制定された結果、イギリスは、世界でも有数の美しい街並みや心和む田園風景を取り戻しました。
美しい景観は、その地の魅力を高め、人を惹き付けるものであります。この事例に照らし、本県におきましても、美しい景観形成が住民の愛着や誇りにつながり、ひいては、人々の憧れを呼ぶ地となるよう、違反広告物の撤廃に向けて、徹底して取り組んでまいります。
まずは、伊豆半島から始めてまいります。伊豆は、文豪川端康成が「伊豆序説」の中で、「詩(うた)の国」、「日本歴史の縮図」、「南国の模型」、「海山(うみやま)のあらゆる風景の画廊」、「半島全体が一つの大きい公園」であると、その魅力を讃えた地であります。今後、東京オリンピック・パラリンピック自転車競技の開催、ユネスコグローバルジオパークの認定を控え、ますます、世界からお客様がお越しになります。
この伊豆半島におきまして、屋外広告物の設置を原則禁止とする大方針を掲げました。これを伊豆半島13市町の広域景観の取組を示す「伊豆半島景観形成行動計画」に位置付け、市町と連携の上、規制の強化や違反広告物への徹底した是正を行います。これらの取組を通じまして、世界からお越しになるお客様に誇れる景観づくりを推進し、世界一美しい半島を目指してまいります。
将来的には、この取組を県下全域に広げ、景観づくりのモデルとして全国に発信してまいります。