令和2年6月県議会定例会知事提案説明要旨1-2
令和2年6月県議会定例会知事提案説明要旨
【1.新型コロナウイルス感染症への対応】(2)経済対策の推進
第2の柱、経済対策の推進についてであります。
昨年の消費税率の引き上げにより低迷していた消費需要は、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、さらに大きく萎縮し、日本経済は未曾有の危機を迎えようとしております。休業要請が解除されてもなお、消費の回復が進まない現在において、地域内での消費を喚起し、経済循環を拡大していくことが最も重要であります。
買う「buy」と、寄り添う「by」から名づけた「バイ・シズオカ」は、県民の皆様の県産品購入や施設の利用を通じて、消費を拡大し、資金を循環させ、新たな需要を生み出す県民運動であります。既に、WEB上の仮想店舗で、本県が世界に誇る農芸品などを販売し、多くの県民の皆様から御購入をいただいております。
先月28日、私は、山梨県南アルプス市の農園を訪問し、長崎幸太郎知事と「果物の宝石」とも呼ばれるさくらんぼに舌鼓を打ってまいりました。これをきっかけとして、今月12日から14日まで静岡伊勢丹において、山梨県産さくらんぼの販売会が開催され、短時間で完売するなど大変盛況でありました。
また、今月15日には、長崎知事を沼津市の内浦漁協直営食堂「いけすや」にお迎えし、日本一の生産量を誇る、鮮度抜群の養殖マアジを御試食いただきました。
富士山を共有する静岡県と山梨県、両県合わせて、人口が約450万人、GDPが約20兆円であり、これはニュージーランドにも相当いたします。この「ふじのくに」域内で、農産物などの特産物やサービスの消費の拡大により、「ふじのくに経済交流圏」の形成を目指す、いわば「フジノミクス」を長崎知事に御提案し、賛同を得たところであります。
今後、特産物の購入にとどまらず、医療健康産業の連携強化、感染防止を図りながらの観光交流、具体的には、静岡・山梨両県民の皆様限定の駿河湾フェリー半額キャンペーンやデジタルスタンプラリー、修学旅行での相互訪問など、「バイ・ふじのくに」の取組を拡大し、「フジノミクス」で両県経済の活性化を一層図ってまいります。
観光の振興につきましては、「ふじのくに型ニューツーリズムの実現」を、ウィズコロナ時代における本県観光の新たな取組として推進してまいります。
旅行者の安全・安心を重視する価値観の変化や、新しい生活様式に対応していくため、県内の宿泊施設や観光施設向けに「新型コロナウイルス感染症に関する対応指針」を作成いたしました。また、宿泊施設等が感染予防策を実践できるよう研修動画を配信するとともに、各地域が取り組む安全・安心な観光地域づくりの発信に対する支援など、旅行者への安心感の醸成に努めております。
今月16日からは、「バイ・シズオカ~今こそ!しずおか!!元気旅!!!~」と銘打ち、地域や観光関連事業者と連携して、まずは、県民の皆様による県内周遊を促し、落ち込んだ観光需要の喚起に取り組んでおります。さらに、自然・スポーツなどの開放感を味わう旅行等、本県観光の魅力を改めて実感できる新たなツーリズムを推進することにより、本格的な回復を図ってまいります。
文化芸術の振興につきましては、世界各国の演劇が静岡に集結する「ふじのくにせかい演劇祭」の中止をはじめ、多くの文化芸術活動の停滞を余儀なくされております。
今後は、オンラインでの演奏会や、ゆとりある空間でのコンサートなど、新しい生活様式に対応した文化芸術活動を支援してまいります。また、活動機会が失われているプロのアーティストの活動再開を支援するため、ワンストップ相談窓口を静岡県文化財団に開設いたします。本県の多彩な文化芸術活動を多くの県民の皆様に御鑑賞いただき、再び文化の大輪が花開くよう、芸術家や文化団体の活動を支えてまいります。
命を守る産業の創造につきましては、フランスの経済学者ジャック・アタリ氏は、新型コロナウイルスを機に、他者への共感を重視し、現在の経済の方向を変えて“生命を守る産業”を中心とした経済・社会へ転換することを提唱しております。これを受け、我が国におきまして、命を守る産業を創造していくには、まさに、医薬品・医療機器の合計生産金額日本一を誇る静岡県が牽引すべきであると、強く認識したところであります。
新型コロナウイルス感染症の収束後も見据えて、医療現場で必要とされる医薬品・医療機器の開発や、遠隔・非接触に対応した県内企業の新しいビジネスモデルの構築を支援する制度を創設いたします。優れた技術を有する本県企業が、社会的課題の解決に挑戦することで、医療健康産業など命を守る産業への転換を図ってまいります。
中小企業の事業継続につきましては、県制度融資により、昨年度末から切れ目なく、事業者の経済活動を支えているところであります。今後も、引き続き、資金需要が見込まれることから、今議会に約1兆円の融資枠の追加をお諮りし、資金繰りの支援をさらに強化してまいります。