あなたの「富士山物語」(富士を見て暮す日々/山本勝子)

ツイッターでツイート
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページID1019334  更新日 2023年1月13日

印刷大きな文字で印刷

富士を見て暮す日々/山本勝子

私が富士山を初めて見たのは、大阪から沼津へ嫁いで来た五十年前のことでした。

子供の頃から周りの山々はほとんど高い山でなく、自分で想像して書く富士山の絵は、なんとなくなだらかな山の形でした。目の前に本物を見た時の感動は、今でも忘れることができません。あの「富士山」の歌の様に頭を雲の上に出した、まさにそびえているという言葉がピッタリの姿でした。神々しいというか、その美しさに心をうばわれました。それから毎日富士山の見える沼津で生活をする様になりました。家事や育児に追われる日々でも、家々の間からや、広い道路に出ると見える富士山の姿に、いつもいつも感動を覚え、心も癒やされたものです。

二十三年前から狩野川辺りのマンションの五階に住む様になりました。玄関のドアを開けると、真正面に愛鷹山に乗っかった富士山が見られます。ドアを開ける度に必ず眺めます。夏は雲が多くてなかなか見える日が少なくて淋しく思います。たまに顔を出すと思わず見とれてしまいます。日の出には徐々に赤く染まっていき、夕暮れには紫色に変っていきます。秋から冬にかけて少しずつ雪を冠っていき、真冬の雨の後は裾まで真っ白な姿になって夏とは違った純白の美しい姿が望めます。その白い雪に朝日の紅がさす時の美しさは、沼津に住んでいて良かったと幸せを感じる瞬間です。

狩野川べりを散歩していても、いつも表情のかわる富士山を眺めていると、同じコースでもあきることがありません。じっと眺めているだけで人の心を勇気づけ、清らかにしてくれる富士山に、感謝感謝の毎日です。

このページに関するお問い合わせ

スポーツ・文化観光部文化局富士山世界遺産課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-3746
ファクス番号:054-221-3757
sekai@pref.shizuoka.lg.jp