あなたの「富士山物語」（富士山への想い／佐野英雄）

富士山への想い／佐野英雄

毎日富士山を仰ぎ見て七十年。朝、目が覚めると窓を開ける。まず目に飛び込んでくるのが、雄大な富士山の姿、ここから私の一日が始まるのです。

富士山には顔があり、表情があります。その日その日によって表情が違うのです。今日は一日天気がいいぞ、今日は午後には雨になるぞ、夕立があるぞ等々、朝の富士山の表情によって、その日の仕事の段取りが定まってくるのです。長い間見てくると、テレビの天気予報より正確に分かってきます。

私たちは物心ついた頃から、毎日富士山を眺めながら生活しているので、富士山の見える生活が、ごく当り前のことと感じています。

私も現役の頃、静岡県の西部の人達が、富士山が見えたと言って興奮しているのを見て、何を考えているのか不思議に感じていました。

しかし、私もこの歳になり、改めて富士山を眺めて見ると確かに美しい姿であり、気持に潤いと安心感を与えてくれるような気がします。特に朝の富士山は、「さあ、やるぞ。」と言う希望と勇気・元気を与えてくれるような気がします。私の生活の一部となり、元気を与えてくれる富士山が永遠に、今のままであって欲しいと願うのです。