県議会だより第127号(3) ピックアップ本会議(1)
くらし・環境
リニア中央新幹線の整備
Q.水資源問題及び水資源の利用に影響が出た場合の対応について知事の考えは。
A.現地を視察し、改めて水資源と自然環境の保全の必要性を強く胸に刻んだ。リニア整備との両立を目指し、JR東海との対話をスピード感を持ちながらも丁寧に進める。将来、水資源の利用に影響が出た場合に備えてあらかじめJR東海との間で補償内容などを定める協定等を締結することが必要であり、その際は国の関与も引き出していく。今後、補償等についての協議の進め方も検討していく。
ライドシェアの導入拡大
Q.導入に際し地域が抱える課題に対する支援策は。
A.市町等では導入や拡充に対する意向は強いが、導入方法の理解不足やアドバイザーの不在等が課題となっている。県では制度内容や導入方法の理解促進に向け、県内全市町や交通事業者等で構成する「ライドシェア専門部会」を設置し、全国の導入事例を基にしたノウハウ等について周知した。引き続き国に規制緩和を働き掛けるとともに、地域課題の解決に向けてアドバイザーを派遣するなど、市町等に寄り添った支援を行う。
用語解説:ライドシェア
一般ドライバーが自家用車を活用して有償で利用者を運ぶこと(いわゆる「米国版ライドシェア」)。令和6年3月には、タクシー事業者の管理の下で、自家用車・一般ドライバーを活用した運送サービスの提供を可能とする「日本版ライドシェア」が創設された。また、バス事業やタクシー事業による輸送手段の確保が困難な場合、市町村やNPO法人などが自家用車を活用して提供する旅客運送を「公共ライドシェア」という。県では、誰もが移動に困らない交通手段の確保を目指し、「公共ライドシェア」を推進していく。
文化・観光
観光分野のデータ活用
Q.県が収集している人流データや分析結果をどう活用していくのか。
A.人流データの活用を促すため市町にデータサイエンティスト等を派遣し、旅行者の属性や行動履歴等を把握するデータカルテの作成・誘客戦略の策定等を支援している。今後はデータ収集や分析体制をさらに充実させるとともに、市町、地域連携DMO、事業者等による人流データのマーケティングへの活用を促進することで、来訪客の滞在日数や消費額を拡大し、地域経済の活性化を図っていく。
用語解説:DMO(ディーエムオー)
「観光地域づくり法人」のこと。Destination Management(Marketing) Organizationの略。地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する地域経営の視点に立った観光地域づくりの司令塔。多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するために戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するために調整機能を発揮する。
しずおか遺産の活用促進
Q.活用の方向性と活用の促進に向けた取り組みは。
A.地域に点在する文化財をつないだ歴史ストーリーを認定するしずおか遺産は、郷土愛を育む機会の創出や新たな観光の切り口としての活用を目指している。今後はインバウンド促進に向けた外国語版PR動画制作のほか、しずおか遺産をたどるスタンプラリーの開催、秋葉街道のサイクリングルートにしずおか遺産を組み込んだ周遊観光モデルの造成などにより、さまざまな方々に関心を持ってもらえるよう来訪を促していく。
産業
大学生の地元就職
Q.大学生のUターン就職率低下への認識と対策は。
A.県外大学との就職支援協定締結などに取り組んでいるが、生活面での利便性重視や志望企業・職種の少なさを理由にUターン就職率は厳しい状況にある。まずは県内に魅力的な企業があることを知ってもらうため、UIターン就職で活躍している事例をホームページで紹介している。また、インターンシップについて企業が積極的に導入できるよう新たに相談窓口を開設したところ、導入につながった事例も出ている。
県とスタートアップとの共創
Q.県の施策との共創についてどのように考えるか。
A.スタートアップは地域経済活性化に大きな役割を果たすとともに、社会・地域課題の解決にも貢献し得る。養殖マアジの大量死発生メカニズムの解明やセルロースの特性を活かした車体の軽量化を進めており、今後も県内経済発展に結びつく成功事例の創出を図る。行政や金融機関の主導によりスタートアップのコミュニティが立ち上がっており、交通、福祉、教育等、さまざまな社会課題の解決に向け積極的に連携していく。
農作物の新品種開発
Q.気候変動に対応した新品種開発への取り組みは。
A.農林技術研究所において、高温でも栽培が可能なワサビやミカンの耐性品種を開発・普及し、現在イチゴ等を品種開発している。また県が保有する茶やイチゴ等の遺伝子情報をデータベース化することで品種の選抜を効率化し、開発期間の短縮を目指している。さらにAOI-PARCの次世代栽培装置を活用し、開発期間を短縮する技術研究に取り組む企業を支援している。こうした研究成果を着実に生産者に普及させていく。
デジタル林業の普及推進
Q.FAOIプロジェクトの評価と今後の展開は。
A.県内各地の生産団地のうち、丸太の生産現場において衛星情報を活用した測量機器の導入により作業時間が半減したほか、生産状況等の一元管理によりトラック輸送の最適化が図られるなど、森林・林業のイノベーションが動き出したと評価している。今後は、取り組みの成果を活用モデルとして県全域に展開するとともに、IT分野のスタートアップ等の参画を促進することで新技術を取り入れさらなる効率化を図っていく。
用語解説:FAOIプロジェクト(ファオイプロジェクト)
林業の効率化や省力化、安全性の向上を図るために、デジタル情報基盤の整備やドローン、丸太計測アプリなど先端技術の現場実装などに取り組む。令和4年度に発足した。FAOIは、Forestry ActionOpen Innovationの略。
エネルギーの安定供給
Q.原子力発電を含めたエネルギーの安定供給への考えは。
A.再生可能エネルギーの導入拡大に積極的に取り組んでおり、県内の電力消費量に対する比率は約4分の1まで拡大した。特に太陽光発電は、中小企業向けの設備導入への助成のほか、事業者が行う太陽光発電と蓄電池やグリーン水素を組み合わせた自立分散型システムの構築へも支援している。また風力発電や水素の導入可能性等を調査していく。原発は県民の安全・安心のため、中部電力に徹底した安全確保を求めている。
用語解説:グリーン水素
風力・水力・太陽光などの再生可能エネルギーをつかって水を電気分解して生成された水素のこと。酸素と結びつけることで発電したり、燃焼させて熱エネルギーとして利用したりすることができる。製造過程及び熱エネルギーとして利用する時の双方で二酸化炭素の排出がなく、脱炭素の取り組みを促進するエネルギーとして注目されている。
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