令和6年9月定例会意見書(令和6年10月11日可決)
防災・減災、国土強靱化対策のさらなる推進を求める意見書
本文
近年、地球温暖化に伴う気候変動等により豪雨災害が激甚化・頻発化しており、本年8月に発生した台風10号では、長時間にわたって日本各地が暴風雨に巻き込まれ甚大な被害が発生した。また、近年、大規模な地震も頻発化の傾向であり、本年1月に発生した能登半島地震では多くの尊い命が失われ、大規模崩落や地盤の液状化、隆起等により道路や港湾、上下水道等のインフラ施設にも甚大な被害が発生した。さらに8月8日には、南海トラフ地震の想定震源域である日向灘でマグニチュード7.1を観測する地震が発生し、南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されるなど、大規模地震への備えは喫緊の課題となっている。
国においては、昨年6月の国土強靱化基本法の改正により、「国土強靱化実施中期計画」の策定を法定化し、継続的・安定的に国土強靱化の取組を推進しているところである。
現在、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」により流域治水対策や道路網の強靱化、災害に強い市街地の形成など重点的かつ集中的な対策に取り組んでいるところであるが、当該期間は令和7年度が最終年度となっており、終了後においても切れ目なく、各分野における対策を着実に推進していくことが必要不可欠である。
よって国においては、激甚化・頻発化する豪雨災害等を踏まえた対策を強化するとともに、発生の切迫度が高まる南海トラフ地震をはじめとする大規模地震への備えを一段と加速させ、国民の生命・財産を守り、経済活動や国民生活を支えるよう、下記の事項に取り組むよう強く要望する。
記
- 「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の最終年度となる令和7年度においても、継続して必要な予算・財源を確保すること。
- 同対策の期間終了後も、切れ目なく継続的かつ安定的に強靱化に向けた取組を推進するため、令和6年中に「国土強靱化実施中期計画」を策定し、その実現に必要な予算・財源を通常予算とは別枠で確保すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月11日
提出先
- 衆議院議長
- 参議院議長
- 内閣総理大臣
- 総務大臣
- 財務大臣
- 農林水産大臣
- 国土交通大臣
- 内閣官房長官
- 国土強靱化担当大臣
- 内閣府特命担当大臣(防災)
地震財特法の延長に関する意見書
本文
東海地震に備えて、地震防災対策強化地域の関係地方公共団体は、地震対策緊急整備事業計画に基づき、各般にわたる地震対策を鋭意講じているところであるが、本計画が令和6年度末で期限切れを迎える中、依然として必要な事業が数多く残されている。
また、東日本大震災や能登半島地震をはじめとする近年の国内外における大地震により得られた教訓を踏まえ、緊急輸送道路、津波防災施設や山・崖崩れ防止施設の整備、公共施設の耐震化、避難地・避難路の整備等をより一層推進する必要が生じている。
加えて、令和6年8月8日には日向灘を震源とする地震に起因して南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されるなど、地震対策等の重要性は増大している。
東海地震による災害から地域住民の生命と財産の安全を確保するためには、地震対策緊急整備事業計画の期間の延長を図り、これらの事業を迅速かつ的確に実施することにより、地震対策の一層の充実に努めていかなければならない。
よって国においては、地震対策緊急整備事業計画の根拠となっている「地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」を延長するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月11日
提出先
- 衆議院議長
- 参議院議長
- 内閣総理大臣
- 総務大臣
- 財務大臣
- 文部科学大臣
- 厚生労働大臣
- 農林水産大臣
- 国土交通大臣
- 内閣府特命担当大臣(防災)
人生の望ましい最期を意思形成する「ACP」の理解醸成を求める意見書
本文
人生100年時代とも呼ばれる超高齢社会を迎えた我が国では、自分らしく生きたいと望む人が増加している。こうした中、人生の望ましい最期を本人、家族、医療従事者等により意思形成していくアドバンス・ケア・プランニング(以下「ACP」という。)の普及が求められている。
本県では、平成31年に医療・介護従事者等による「人生の最終段階における医療・ケアの在り方」に関する検討会を設置し、議論を重ねた結果、令和3年3月に提言書「人生100年時代における自分らしい晩年そして末期のために」が提出された。以降、提言書を広く公開するとともに、意思表明に用いる書式の提供、医療関係者や県民向けセミナーの開催などのACPの普及啓発を行っているが、決して十分とは言えない。
令和5年6月に厚生労働省が公表した意識調査によると、ACPの認知度は、医師や看護師、介護支援専門員では各4割程度になっており、一般国民では5.9%と1割に満たない低い状況である。
よって国においては、ACPの認知度が高い欧米諸国で行われているような、終末期医療について医療関係者を含めた教育や啓発を実施するプログラムを導入するなど、ACPの理解醸成に向けた対策に積極的に取り組むよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月11日
提出先
- 衆議院議長
- 参議院議長
- 内閣総理大臣
- 総務大臣
- 厚生労働大臣
ひきこもり支援に関する法整備を求める意見書
本文
内閣府が令和5年3月に公表した調査によると、ひきこもり状態にある人は、全国の15歳から64歳までの年齢層において約146万人おり、その割合は50人に1人と推計され、なかでも80代の親と50代のひきこもりの子が孤立・困窮するいわゆる「8050問題」や、親が亡くなった後の50代のひきこもりの子の支援等の課題が深刻な社会問題となっている。
令和元年度に静岡県が実施した調査においても、ひきこもり状態にある人のうち40代と50代で全体の5割以上を占めているほか、ひきこもりの期間が15年以上というケースが最も多くなるなど、ひきこもり状態の高齢化、長期化が進んでいる。
ひきこもり状態が長期化すると、身体的機能の低下に加え、年齢相応の学習や社会体験の機会を失うことから社会生活の再開が困難となる。またひきこもりの原因は多様かつ複合的であるため、当事者一人一人の状態・状況に応じたきめ細かで切れ目のない支援が必要となる。
国においては、「子ども・若者育成支援推進法」、「生活困窮者自立支援法」などの法整備に加え、ひきこもり支援推進事業により各自治体の体制整備を支援しているが、現状ではひきこもり支援に特化した法律はなく、制度のはざまで適切な支援を受けられない事例も少なくない。
自治体に、従来の就労支援などの「問題解決型」から、継続的に関わる「寄り添い型」への転換が求められる中、厚生労働省は本年4月に、「ひきこもり支援ハンドブック~寄り添うための羅針盤~」の骨子を公表した。本年度中に具体的な支援ポイントを盛り込んだハンドブックを策定する予定であり、自治体の取組を後押しするとされている。
こうした現状を踏まえ、さらに適切な支援を進めていくためには、ハンドブックの後ろ盾となるべき法律の制定が必要不可欠である。
よって国においては、「本人や家族の意思を尊重し、生きがいや希望を持って自律的に暮らせること」を基本理念とするひきこもり支援に関する法律を制定するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月11日
提出先
- 衆議院議長
- 参議院議長
- 内閣総理大臣
- 総務大臣
- 厚生労働大臣
このページに関するお問い合わせ
静岡県議会政策調査課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-2559
ファクス番号:054-221-3572
gikai_chousa@pref.shizuoka.lg.jp