令和6年2月定例会意見書・決議(令和6年3月18日可決)

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ページID1062290  更新日 2024年3月18日

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刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を求める意見書

令和6年3月18日

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 法務大臣

本文

 冤罪は、国家による最大の人権侵害の一つである。冤罪被害者の人権救済は、人権国家を標榜する我が国にとってはもちろんのこと、地域住民の人権を守る義務を有する地方自治体にとっても重要な課題である。
 しかし、冤罪被害者を救済するための再審手続に関する法律(刑事訴訟法第四編「再審」)上の規定は、僅か19か条しかなく、再審手続をどのように行うかは、裁判所の広範な裁量に委ねられていることから、再審請求手続の審理の適正さが制度的に担保されず、公平性も損なわれている。
 また、過去の多くの冤罪事件では、警察や検察庁といった捜査機関の手元にある証拠が再審段階で明らかになり、冤罪被害者を救済するための大きな原動力となっているが、現状では捜査機関の手元にある証拠を開示させる仕組みについて、現行法に明文化された規定がなく、再審請求手続において証拠開示がなされる制度的保障はない。そのため、裁判官や検察官の対応いかんで、証拠開示の範囲に大きな差が生じているのが実情であり、これを是正するためには、証拠開示のルールを定めた法律の制定が不可欠である。
 さらに、再審開始決定がなされても、検察官がこれに不服申立てを行う事例が相次いでおり、冤罪被害者の速やかな救済が妨げられている。再審開始決定は、あくまでも裁判をやり直すことを決定するにとどまり、有罪・無罪の判断は再審公判において行うため、検察官にも有罪立証をする機会が与えられている。したがって再審開始決定がなされたのであれば、速やかに再審公判に移行すべきであって、再審開始決定という、言わば中間的な判断に対して検察官の不服申立てを認めるべきではない。
 よって国においては、冤罪被害者を早期に救済するため、次の事項について、刑事訴訟法の再審規定(再審法)を速やかに改正するよう求める。

  1. 再審請求手続の審理の適正化に資する規定を整備すること。
  2. 再審請求手続において、全ての証拠を開示する規定を整備すること。
  3. 再審開始決定に対する検察官の不服申立てを禁止すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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緊急事態に関する国会審議を求める意見書

令和6年3月18日

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 法務大臣
  • 外務大臣
  • 厚生労働大臣
  • 経済産業大臣
  • 国土交通大臣
  • 防衛大臣
  • 内閣官房長官
  • 国家公安委員会委員長
  • 内閣府特命担当大臣(防災)

本文

 新型コロナウイルス感染症の長期にわたる拡大により、国民生活や社会経済活動は大きな影響を受け、医療提供体制は極めて逼迫するなど、我々はかつて想定したことのない事態に直面することとなった。
 また、今後30年以内には、高い確率で首都直下地震や、本県にも大きな被害が想定される南海トラフ地震の発生が予測されている。東日本大震災や熊本地震、本年元日に発生した能登半島地震では、道路を塞ぐ震災瓦礫等の撤去に時間を要し、支援物資の輸送に遅れが生じたほか、被災した地方自治体の行政機能の停止も問題となった。
 我が国においては、これまで、感染症や大規模地震などの緊急事態に対し、新型インフルエンザ等対策特別措置法や災害対策基本法などによって対処してきたが、今後、より重大な緊急事態が発生した場合には、従来の法体系では対応できなくなるおそれがある。
 感染症は一たび蔓延すれば広範囲にわたって影響を及ぼし、大規模地震などの自然災害はどこの地方自治体であっても被災地になり得ることから、感染症や自然災害など緊急事態に強い社会をつくるための法整備を進めることは、我が国の喫緊の課題である。
 よって国においては、緊急事態に対応できる国づくりに向け、関連する法令の見直しや根拠規定たる憲法の在り方等について、国会において建設的かつ広範な審議を行うとともに、広く国民的な議論を喚起する取組を進めるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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行政代執行費用の事前徴収の制度化を求める意見書

令和6年3月18日

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 財務大臣
  • 国土交通大臣
  • 環境大臣

本文

 近年、違法盛土や違法造成などを起因とする災害が全国で相次いでいる。本県においても28名もの犠牲者を出した熱海市伊豆山地区土石流災害や、島田市の採石場跡地の違法盛土の土砂流出による国道及び大井川鐵道の被災などがあり、いずれの災害も県民の生活に、大きな負の影響を及ぼしている。
 現状では、違法盛土等に対して改善義務者が指導に従わず、早期に行政代執行が措置されるべき事案が数多く存在するにもかかわらず、行政代執行は滞りがちである。この理由としては、我が国の行政代執行法においては、費用は代執行終了後に徴収することになっているため、改善義務者に財産隠匿や計画倒産など費用の徴収逃れの時間的猶予を与えてしまい、最終的に行政代執行を行使した地方自治体が巨額の費用を回収できず、一般財源から拠出する例が多いことから、地方自治体が代執行をちゅうちょしてしまうことが挙げられる。このため、地方自治体が法律上認められている強い権限を生かし切れず、違法盛土等を起因とする災害が引き起こされている事例は、本県のみならず全国で散見され、事態は深刻である。
 ドイツの行政代執行法では、費用を代執行の実行に先立って暫定的に見積もって徴収し、代執行後にその過不足を清算することが認められているため、執行官庁が費用概算見積額を事前徴収することは一般的に行われており、我が国においてもこのような事例を参考に早急な改善を行うべきである。
 よって国においては、国民の安全・安心を脅かす違法盛土等に対して、地方自治体が速やかな対策を講ずることができるよう、下記事項に早急に取り組むことを強く要望する。

  1. 行政代執行に要した原資の多くが税金で賄われているため、より実効性の高い費用回収の仕組みを導入すること。
  2. 地方自治体が行政代執行を速やかに行えるよう、国として令和8年度以降も財政支援を検討すること。
  3. 最終的に行政代執行法において、費用の事前徴収制度を創設すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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若者世代・子育て世代への経済的支援の強化を求める意見書

令和6年3月18日

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 財務大臣
  • 文部科学大臣
  • 厚生労働大臣
  • 経済産業大臣
  • 内閣府特命担当大臣(こども政策・少子化対策)

本文

 若年人口は令和12年(2030年)を境に大幅に減少する見込みであり、この10年間が我が国の少子化を反転させられるかどうかの瀬戸際である。若者世代・子育て世代が抱える課題として、結婚資金の不足や不安定な所得・雇用環境、さらには、子育てや教育費の負担が大きいことが指摘されている。
 国は令和5年12月に、こども基本法に基づくこども大綱及びこども未来戦略を決定し、「こどもまんなか」の理念の下、希望する誰もが安心してこどもを生み、育てることができる社会等の実現のため、子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組等を含めたこども・子育て政策の強化を行うとしている。我が国が直面する最大の危機である少子化を食い止めるためには、これらの施策を早急かつ着実に実施していくとともに、さらなる施策の充実を図ることが重要である。
 よって国においては、若者世代・子育て世代が将来に希望を持ち、安心して子育てができる社会の実現のため、下記事項について取り組むよう強く要望する。

  1. 若年層を重視した賃上げ、最低賃金の引上げなど、若年層の結婚につながる経済環境づくりを着実に推進すること。
  2. 国・地方自治体・企業が連携し、給付型奨学金等の拡充をはじめ、非正規雇用から正規雇用への転換や新たな女性雇用の創出など、不安定な所得・雇用環境を改善し、若者が経済的基盤を確保できるようにすること。
  3. 就学前児童を養育する世代への経済的支援として、幼児教育・保育の無償化の拡充を図り、安心して子育てができる環境づくりをより一層推進すること。
  4. 公立小中学生への就学援助の拡充や給食費の無償化などをはじめ、高校生等への就学支援金の拡充、高等教育における多子世帯等への修学支援制度の拡充など、勉学意欲のある若者が支援を受けられるよう、教育費の負担軽減策をより一層充実させること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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若者のオーバードーズ防止対策の強化を求める意見書

令和6年3月18日

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 厚生労働大臣
  • 孤独・孤立対策担当大臣

本文

 近年、処方箋がなくても薬局やドラッグストアで購入できる市販薬の乱用・依存や急性中毒が、重大な社会問題となりつつある。実際に、市販薬の過量服薬(オーバードーズ)による救急搬送が、2018年から2020年にかけて2.3倍に増加したという報告や、精神科医療施設を受診する患者のうち、市販薬を主たる薬物とする薬物依存患者は、2012年から2020年にかけて、約6倍に増加したといった報告がある。
 国立精神・神経医療研究センターの2020年調査によると、全国の精神科医療施設で薬物依存症の治療を受けた10代の患者の主たる薬物は、市販薬が全体の56.4%を占めており、また、過去1年間以内に市販薬の乱用経験がある高校生の割合は、60人に1人と深刻な状況にあることも明らかになった。
 不安や葛藤、憂鬱な気分を和らげたいなど、現実逃避や精神的苦痛の緩和のために、若者がオーバードーズに陥るケースが多い。実際、市販薬を過剰に摂取することで、疲労感や不快感が一時的に解消される場合があり、同じ効果を期待して、より過剰な摂取を繰り返すことで、肝機能障害や重篤な意識障害、呼吸不全などを引き起こしたり、心肺停止で死亡する事例も発生している。
 市販薬は違法薬物とは違い、所持することで罪にはならないことから、乱用が発見されにくく、オーバードーズによる健康被害は、違法薬物よりも深刻になる場合もある。
 よって国においては、薬物依存による健康被害から一人でも多くの若者を守るため、下記事項について特段の取組を行うよう求める。

  1. 乱用等のおそれがある医薬品の販売において、販売する容量等の制限や、対面またはオンラインによる購入者の状況確認及び情報提供の義務づけ、購入者の氏名・年齢等の確認及び記録などについて、法改正等を進め、速やかに規制の強化を図ること。
  2. 乱用のおそれがある医薬品の指定を的確に進めること。
  3. 繰り返して購入することによる過剰摂取を防止するため、購入履歴の一元管理等の環境整備を推進すること。
  4. 若者への薬剤の販売において、必要に応じて相談窓口を紹介するなど、適切な支援につなぐことができるよう体制を整えること。
  5. 若者のオーバードーズには、社会的孤立や生きづらさが背景にあると考えられるため、若者の居場所づくり等の施策を推進すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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県外で発生した大規模災害時の対応に関する決議

令和6年3月18日

本文

 令和6年1月1日の能登半島地震では、最大震度7を記録し、石川県を中心に甚大な被害が発生し、多くの尊い命が失われ、今なお被災された多数の方々が避難生活を余儀なくされている。
 こうした中、南海トラフ地震の発生が懸念される本県において、能登半島地震発災直後の川勝知事の対応について、一部の県民から不安の声が寄せられている。
 ついては、知事の有事における行動に対し、下記の事項を強く求める。

  1. 知事は、県民の生命と財産を預かる最高責任者であることを十分に自覚し、責任ある行動を取ること。
  2. 県当局は、本県にとって危機管理は重要施策であることを改めて認識し、知事に対して適切に助言すること。
  3. 今回の能登半島地震を教訓として、近隣県において大規模災害が発生した場合における知事の対応方針を明確にすること。

 以上、決議する。

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